かつて、MEN’S CLUB編集長を務めた名物編集者・戸賀敬城。現在は、「ナノ・ユニバース メンズ・ディレクター」「ヒルトン・アンバサダー」など、名だたるブランドをコーディネートする役割を務めながら、多岐に渡ってファッションアイテムの価値を啓蒙しています。また、そんな毎日をつづったブログ「トガブロ。」が、アパレル業界内外を問わず大きな反響を呼んでいます。
そんな戸賀さんのラグジュアリーな価値観を、一冊にまとめたムック本が先日発売されました。
トガ本。The Bag
多くのファッションメディアを牽引してきた戸賀敬城がプロデュースする、ラグジュアリーブランド読本。本作がテーマとするアイテムは、「バッグ」。定番品から新作まで、大人の男を格上げするバッグを独自の目線で紹介しています。また私物コレクションも披露した、豪華な仕上がり。
本記事では特別に、誌面で紹介している企画をチラ見せしたいと思います。
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戸賀さんが特に思い入れを持っている「エルメス」のストーリーを、ぜひご覧ください!
ヌメ革の経年変化を愉しみたかったが、しばらく眠らせていたワンショルダー。
「シューズは新品の卸したてが一番カッコいいけれど、バッグの新品卸したてはちょっと恥ずかしい」というのが、自身のフィロソフィー。使い込まれ、くったりと味の出た革バッグは、持ち主の使い方と性格がにじんで、唯一無二の味わいとなる。そこが男っぽくて魅力的なのだ。稀代の服飾評論家も、某ラグジュアリーブランドのブリーフを、わざと雨に濡らして汚し、味を出したと聞く。
「特に、ヌメの経年変化は最高にカッコいい。以前、ヌメのバーキンを持っていたぐらいですから」
このヌメ革のサコッシュは、革の状態から新品というわけではないが、味が出ているとも言いがたい。聞けば5〜6年前、街で見かけたモデル風の外国人が持っていたのに惚れ込んで、衝動買いしたものだとか。
「ところが、どんなスタイルで持てばいいのか、さっぱりわからなくて……。ジムに行くときのスタイルで持てばいいんだけど、小さすぎるし、自転車に乗る趣味もない。ずっと悩んでるんです(笑)」
いま、このバッグのためだけに服装を全面的にアスレジャー方向に変えるべきか悩み中だ。エルメスは、持ち主のクローゼットごと変えてしまうのかもしれない。
「トガ本。 The Bag」では、これらのようなエルメスに対する人並み外れた戸賀さんの思いをはじめ、さまざまな高級バッグへの思想が読み取れます。興味を持って頂いた方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか?
トガ本。The Bag
文/ゼロヨンラボ 撮影/鈴木泰之(Studio Log)