【きだてたく文房具レビュー】携帯用らしからぬ使い心地のハサミ2丁
ハサミは常に持ち歩こう、というのが筆者の主張である。ペンケースにハサミが一丁常備してあれば、開きにくいお菓子の袋を切ったり、うっかり付けっぱなしだったクリーニングのタグを切ったり、衣服のほつれを切ったりと、なんだかんだで助かる局面が意外と多いのだ。
そこでまず今回は、自分のペンケースの中を再確認するところから始めてみてほしい。中に、ここ半年ぐらい一度も書いていない筆記具が入っていないだろうか? もしあったとしたら、それをペンケースから抜いて、代わりにペン型ハサミを入れておくのをオススメしたい。いやほんと、騙されたと思って。少なくとも半年使ってないペンよりは、ずっと役に立つから。
元祖ペン型ハサミの最新進化版「ペンカット プレミアム」
そもそもペン型ハサミという存在すら知らなかった人もいるだろうが、実はそういう製品群がちゃんと存在していて、2010年に発売されたレイメイ藤井の「ペンカット」がその元祖だ。
まさにペン状の細いボディのハサミで、ペンケースにすんなり入る携帯性と、しっかりと切れる実用性が人気となり(レイメイ藤井というメーカーの微妙なマイナーさゆえ、ブレイクとまではいかなかったが……)、その後は他メーカーも追随するようにペン型ハサミを発売し、今やきちんとした刃物の一ジャンルとして成立するまでになっている。
その元祖ペンカットの進化版として、2018年に発売されたのが「ペンカット プレミアム」だ。
どこがどう進化したかというと、まずひと目で分かるのはサイズの違いだろう。ペンカットが全長128㎜なのに対してプレミアムは145㎜。大きくなって携帯性が損なわれたのではと思われるかもしれないが、145㎜は一般的なノック式ボールペンとほぼ同サイズなので、長さが他と揃う分だけ、逆に収納しやすくなったともいえる。
もちろん大きくなった分だけ刃渡りも45㎜→55㎜と延びて、切りやすくなった。
で、肝心のハサミとしての性能は? というと、これが実はかなり万能型の優秀なもの。そもそもペンカットシリーズは、刃が軸の末端まで貫通していることで「力を入れて切りやすい」のが売りのひとつだったのだが、プレミアムではさらに刃厚も1.2㎜→1.5㎜と分厚くなったことで、よりザクザクと切り込んでいけるようになった。
実際に試してみると、厚物は段ボールから、薄物は梱包用のプチプチシートやガーゼ、ティッシュなどがサクッと気持ち良く切れる。ペン型じゃない普通のハサミと比較しても、充分に勝負ができるレベルだ。
ペンカットシリーズは、元祖でありつつ、ペン型ハサミとしては独特な“ハンドルループ”という方式でホールドする。軸のスライダーを動かすと中から軟質樹脂のハンドルが飛び出してくるので、そこに指をいれてチョキチョキ動かす、というものだ。
柔らかなハンドルが指にフィットするので、使っていても見た目ほどの不安定さはない。むしろ他社が多く採用するバネ式(指を入れるハンドルはなく、内蔵バネの弾力を使って開閉するタイプ)では難しい、細かな曲線切りなども自在で、一般的なハサミと近い使い心地がある。
実はこのハンドルもわずかに進化しており、ペンカットのハンドルループは断面が円形だったのに対して、プレミアムは扁平な楕円形となっている。実際に使い比べてみても、プレミアムの方が指を入れた時によりしっくりと馴染んで安定する感覚があり、細かなところだけど確実に良くなっているなぁ、と感心した。
ダンボールや厚紙から薄いフィルムまで、かなり広域に使える万能の携帯用ハサミが欲しいというのであれば、ペンカットプレミアムを第一の候補としてオススメしたい。