冷蔵庫は大型化が進み、キッチンの中で圧倒的な存在感を放つだけに、デザインが重要となってきます。そんななか、アクアが世界的なプロダクトデザイナー、深澤直人(ふかさわ・なおと)さんと組んだ最上位の冷蔵庫「TZシリーズ」(品番AQR-TZ51H)を発表するとのこと。いったいどんなデザインなのか? これはぜひ見てみたい! というわけで、この「TZシリーズ」、実際に見に行ってきました。
扉の曲線から上下の扉の隙間までこだわったデザイン
本機は定格内容積512L、4ドアタイプの冷凍冷蔵庫。発売は3月上旬からで、実売予想価格は27万円(税抜)です。先述の通り、デザインを手掛けたのは、世界的なブランドのデザインやコンサルティングを多数手掛ける深澤直人氏。無印良品の壁掛式CDプレーヤーや±0の加湿器、auのケータイINFOBARなどをデザインして話題となり、ドイツのiF金賞やレッド・ドット・デザイン賞、英国のD&AD賞、アメリカのIDEA賞をはじめ、国内外のデザイン賞を多数受賞していることでも知られています。
そんな深澤氏がデザインした本機、かの名作チェア「HIROSHIMA」を彷彿とさせる美しい曲線が特徴です。扉には開閉時に手になじむ曲線を採用し、上下の一枚扉に見えるよう上下の扉の隙間を狭くするなど、細部にまでこだわっているとのこと。
トレンドに逆行して薄型化し、取り出しやすく、通路を広くした
なお、大型冷蔵庫では、買い換え時にフィットしやすいよう、横幅を狭くしつつ内容量を大型化するという傾向にあります。しかし、本機はその流れに逆行し、500Lクラスで最薄の635mmの薄型設計を採用し、そのぶん横幅は830mmと広くなっています。例えば、520Lの日立R-HW52Jは横幅650mm、517Lの三菱電機MR-WX52Dも横幅650mmですので、これらに比べて、約18cm横幅が広い計算になります。その理由を、アクアのマーケティング本部 冷蔵庫企画グループ ディレクター 山本陽護氏は以下のように説明してくれました。
「冷蔵庫の奥行きがあるということは、そのぶん引き出しも奥行きがあるということ。キッチンの奥に冷蔵庫を設置すると、カウンターにあたって引き出しが全部開けられず取り出しにくいことがあります。また、冷蔵庫の奥行きがあると、そのぶんキッチンの通路が狭くなるので、人がすれ違うのが難しいということも。実は、当社も深澤さんとお話するまでは、横幅を狭くすることにこだわっていたのですが、冷蔵庫の使いやすさについて深澤さんとお話をして、奥行きを薄くする方向で開発を進めることになりました」(山本氏)
省エネ面での不利を補うため、幅が広い真空断熱材を採用
ただし、薄型設計にすると、設置性以外でもクリアすべき課題が出てきたといいます。
「横幅が広くなると扉の開口部も広くなり、庫内の冷気が逃げやすくなるのでそのぶん省エネ性能では不利になります。それを補うため、同社では本機用に幅が広い真空断熱材を用意し、キワまでしっかり隙間なく真空断熱材を配置して省エネ性能にも配慮しました。ここまで幅広い断熱材を使っている製品は、なかなかないと思いますよ」(山本氏)