【きだてたく文房具レビュー】頑強なプラチップでシャッキリ書き味のカラーペン
昨年12月に、またしてもパイロットの「フリクション」シリーズから、新たなジャンルの筆記具が発売された。
フリクションと言えば、摩擦熱でインク色が消えるボールペンだが、そこから蛍光ペン、水性マーカー、色鉛筆、スタンプと様々な製品が派生している。で、その最新のものが、細字のカラーペン「フリクション ファインライナー」なのだ。
ペン先は細めのプラチップで、軸内から毛細管現象で液体インクを直接供給する直液式なのだが、このプラチップがなかなか優秀で、力をかけても先端が潰れにくい頑丈なものだ。書き味もプラチップとしてはキシキシとした軋みがなく、かつ滑りすぎることもない。適度に紙にごく軽くシャリッとした摩擦感があるので、カリカリ系の筆記感が好きな人ならかなり快適に書けるはず。
なにより、太字ボールペンは全体的に、どうしてもヌルッとした書き味になりがちなので、「サラサラ・シャリッとした書き味で中~太字の日常筆記具が欲しい」という人には、選択肢としても充分にアリ。
また、ゲルインクのボールペンと違って筆記に一切の筆圧が必要ないので、お年寄りや力の弱い人でも、はっきりとした線で書けるのもポイントだろう。あとは、立ったままの筆記で筆圧が乱れやすい、手帳への書き込みにも使えそうだ。
描線は、ボールペンで言うとだいたい0.7㎜~1.0㎜の間って感じ。以前にこの連載でフリクションボール1.0㎜を「学生さんがノートの強調文字や線囲いを書くのに最適」と紹介したが、そういう用途もファインライナーの方がより書きやすいと思う。
カラーが12色ラインナップされている(1.0ボールは4色)という点でも、ノート用にはファインライナーがおすすめできる。筆圧である程度は線の強弱もつけられるので、お絵描き用にもいいかもしれない。
ただ、インク色はやや薄い。特に使用頻度が高めなブラックやレッドは、ボールペンと比べると「うん、薄いなー」と感じられるレベル。
とはいえ線がはっきり太いので、文字や線が見づらいと感じることはまずないと思う。もともとフリクションボールも、発売当初は「うすブラック」などと揶揄されていたのが、少しずつバージョンアップして現在の黒になっているので、ファインライナーも今後に期待したい。また、現状でもブルーあたりはなかなかきれいな色が出るので、こちらを日常筆記に使うというのも良さそうだ。
フリクションシリーズでお馴染みのゴム消し具は、キャップ先端に備えている。筆記時にはキャップを軸の後端に装着しておけば、書く・消すの動作はスムーズだ。個人的には、キャップ式筆記具の面倒さというのが苦手なんだけれど、これは直液式という構造上、ノック式にするのが難しいので仕方ないところだろう。
消え具合はもちろん、何の問題もなし。従来のフリクションと同様に、消し具でゴシゴシとこするときちんと消える。描線は太めだが、ボールペンのように尖った先端で紙にわだちを掘ることがないので、むしろ1.0㎜フリクションボールよりも跡形なく消えているように感じられた。
それにしても、細字カラーペンが出たから、もう普段使いの筆記具はほとんどフリクションでいけるんじゃないだろうか。よくぞ、ここまでバラエティ豊かな筆記具シリーズに育ったものである。
この次はファインライナーのインクを改良して、万年筆用フリクションインクが出るか、それとも段ボールに書き消しできる極太マーカーが出るか。どういう展開になるか楽しみだ。