ジェラートは、イタリアの国民食と言っても過言ではありません。イタリア人が1年間に消費するジェラートは、1人平均なんと6キロ! 盛夏の食欲が落ちる昼食時、食事代わりにジェラートを食べる人も少なくありません。そんな老若男女に愛されるジェラートは毎年、奇抜なテイストが現れるんです。2019年はどんなものが出てきているのかチェックしてみましょう!
1: 野菜やお肉などと組み合わせた斬新なジェラート
いままでいくらイタリア人がジェラートを愛そうとも、それはあくまでジェラートというカテゴリーの範疇内でした。しかし、この春はローマ郊外に料理と組み合わせる斬新な試みにチャレンジしたレストランが登場! 通常のジェラートも販売している「Gelato d’Essai」では、ジェラートと野菜・肉類・魚介類という組み合わせをベースに、その料理に合わせたワインも提供しています。
オーナーによると、最も困難だった組み合わせは野菜。そのため、レモンやヘーゼルナッツ、甘草など、野菜と合わせやすい食材が使われています。アーティチョークと甘草のジェラート、チキンカレーとココナッツミルクのジェラート、スズキのグリルにカカオシャーベットを添えたものなど、味の想像ができない奇抜なメニューがずらりと並んでいます。
奇をてらった戦略かと思いきや、健康や環境への配慮も忘れていません。ジェラートの原材料はすべて「クリーンラベル(原材料に化学調味料を一切使わず、消費者がすぐにわかる材料を使っている製品)」または「e-free」と呼ばれるオーガニック食材が用いられているとのこと。地元メディアはこの斬新な試みを報道しつつも、味そのものについては評価を控えている様子。イタリア人は、食に関しては案外保守的なところもあったりします。冷たいジェラートと料理のマリアージュがローマっ子の心を射止めるか、お手並み拝見といったところ。価格は通常のジェラートが2ユーロ(約250円)~ですが、料理は最大で30ユーロ(約3800円)と強気の価格設定になっています。
2: ハーブを使った健康的なジェラート
「おいしいジェラートはローマより南に多い」というのがイタリア人の常識。それを覆すためか、実験的なジェラート開発に北イタリアの人々が奮闘しています。ミラノとパルマにジェラート店「Ciacco Lab」を持つステファノ・グイゼッティ氏もその一人。イタリアは南北で経済格差が激しく、「健康への留意が低めでたらふくおいしいものを食べる南部」と「インテリで富裕層が多く、食事の量や質にこだわる北部」といった2つの異なるイメージがあります。しかし南イタリアは長寿で知られ、こうしたイメージと実情には落差があるのかもしれません。
グイゼッティ氏が考案のジェラートもひたすら健康志向。彼の製造するジェラートは63~70%が季節の果物で構成されています。今年はジェラートの材料に甘草やハイビスカス、ジンジャー、ターメリックを用いる予定とのこと。
グイゼッティ氏は、世界保健機関(WHO)が推奨する「砂糖摂取は1日25グラムまで」を遵守するため、できるだけ糖分を削除したいと考えているのだとか。彼の真剣な取り組みは教育方面でも評判を呼んでおり、パルマ大学に講師として招かれています。価格は2.5ユーロ(約320円)~。
3: カクテルやシャンパンと組み合わせた大人向けジェラート
「ワインの国」のイメージがあるイタリアですが、実はイタリア生まれのカクテルも少なくありません。ベッリーニやスピリッツに加え、今年はネグローニ誕生100周年に当たります。ジェラートとアルコールの組み合わせにおいてイタリアで定評があるのは、マッテーオ・スピノーラ氏。リグーリア州にジェラート店「Cremeria Spinola」を構えるスピノーラ氏は、すでに昨年からシャンパンやカクテルをジェラートに導入していました。奇しくも、時を同じく大手ハーゲンダッツがカクテルを基調にした新しいテイストの販売を開始しています。
スピノーラ氏の場合、シャンパンとグレープフルーツ、カンパリとラズベリーなど、甘さと苦みを絶妙に組み合わせた独自のジェラートが人気を集めています。夫婦や恋人同士でゆっくりと味わってみたいですね。価格は1.8ユーロ(約225円)~。