【きだてたく文房具レビュー】文房具を入れる以外の能力を高めたペンケース2種
「ペンケース」と「筆箱」、どちらも要するに読んで字の如く「筆記具の容れ物」を意味する言葉である。もちろん筆記具以外にも、定規や消しゴムやなんやと入れるので、もうちょっと広義に「文房具を収納して持ち歩くための容れ物」と言ってもいいだろう。
そんなペンケースが進化すると、コンパクトでも大容量だったり、狭い机でも使いやすいように自立したり、文房具の整理収納ができたり、というものになる。そりゃ、ペンのケースだもの。そういう方向で便利になるのが正しい。
なんでそんな当たり前の話をしてるんだ、と思われるかもしれないが、ちょっと待って!今回紹介したいのは、文房具を入れる以外の能力をやたら高めてきた、最新ペンケースなのである。
快適な昼寝はペンケースから
まず紹介したいのは、サンスター文具の「ネムミ」。枕にもなって快適に眠れるペンケースである。何を言っているのか分からないと思うが、別にあなたが悪いわけじゃないと思う。何を言っているのか分からなくて当然すぎる話だからだ。
なので、あえてもう一度書くが、「ネムミ」は枕にもなるペンケースである。
見た目はペンケースと言うよりもクッションに近いサイズ感で、とにかく分厚い。さらにその厚みを用途で仕分けると、2割がペンケース部で、残り8割が枕となるクッション部だ。つまり「ほぼ枕だけどペンケースに使えなくもない感じのフワフワした塊」と表現する方が、より正解に近い。
ペンケース部のスペースはわずかとはいえ、そもそもの底面積が大きいので、容量もペンが6~7本+ハサミや定規、消しゴムぐらいは余裕。小物用のメッシュポケットやペンベルトなども備えており、整理収納能力も意外と優秀だ。
枕になる、という部分が引っかかりすぎてどうしても穿った目で見てしまうが、ペンケースとしてはそれなりに実用レベルだろう。
で、肝心の枕部分だが、恐ろしいことに「ネムミ」は、感触によって3タイプから選ぶことができる。マイクロファイバー綿がふわふわ柔らかい「もこふわタイプ」、マイクロビーズのもっちりした肌触りが楽しめる「さらもちタイプ」、ソフトパイプのサラッとハードな「ちょいカタタイプ」だ。どれもかなりリアルに枕っぽい触り心地で、思わず笑ってしまう。
じゃあ実際に寝てみるか、とパッケージを開けたばかりの「ネムミ」に頭を乗せてみると、沈み込み過ぎる気がする。どのタイプを試しても、かなり柔らかいのだ。
ところが、ペンケースに文房具をしっかり入れてからもう一度頭を乗せると、今度はしっくりくる。要するに、文房具を収納した状態で最も寝やすい弾力になるようにチューニングしてあるらしい。サンスター文具、文房具メーカーとして本気で作ってきたな、という感じ。
そもそも、どうしてペンケースが枕にならなきゃいけないのか? というと、実はそれなりに理由がある。
昼休みの残り20分ぐらいにオフィス内を見渡してもらうと、机に突っ伏して仮眠をとっている同僚がそこそこいるはず。ところが、机に突っ伏して腕を枕にした睡眠はいろいろとよろしくない。成人の頭の重量は体重の約10%なので、例えば体重60kgの人の頭は6kg。ボーリングの14ポンド玉とかそれぐらいの重さだ。そんな荷重を腕に乗せっぱなしで、快適なわけがないのは自明である。
そこで必要になってくるのが、仕事中はペンケースとして使えて、昼休みには枕にもなるツールというわけだ。
寝方としては、額を乗せるフェイスダウンポジション、横向きで頬を乗せるサイドポジションともに頭をふかっと受け止めてくれて、快適そのもの。特に横向き寝だと、枕タイプそれぞれの肌触りがしっかり感じられて気持ち良い。
なにより、腕に頭が乗ってないだけで昼寝がここまで快適になるか、というのが驚きである(コツとしては、椅子の高さを、普段座っているときよりも少し下げると寝やすい)。ランチ後に快眠を取ることで、午後からの仕事も効率アップしそう。これ、いいぞ。