【きだてたく文房具レビュー】見た目に分かりづらい変則ギミックのペンケース
文房具に限らないが、ユーザーに新製品を手に取ってもらうために、まず必要なのは“意外性”である。
筆記具の書き味とか消しゴムの消字性能といったものは、使い続けてみないと良さを理解しにくい。対して、ペンケースなのに自立してペン立てになる、というのは分かりやすく意外だし、目に見えて従来の製品と違うわけだから手に取ってみたくなる。さらに、その意外性の部分が便利さに直結していたら最高だ。そうなるともう、周囲に自慢して「へぇー」と言わせたくなる、というのも道理だろう。
結局のところ、昨今の機能性ペンケースブームというのは、そういう形で発展してきたのではないだろうか。
そこで今回は、見た目はすごく普通で地味、だけど予想外の開き方や変形をして、さらに便利、という最新の機能性ペンケースを紹介しようと思う。この意外性は、思わず人に見せびらかしたくなるはずだ。
箱なのにロールペンケース! という意外性=「クルマーレペンケース・スクエア」
レイメイ藤井の「クルマーレペンケース・スクエア」は、見た目はまったく普通の箱型。こんなペンケース今までにいくらでもあったよなー、という地味さである。正直、ペンケース売り場に置いてあっても、新製品だとは気づかないレベル。
ところが、マグネットホックをプチッとはずしてフラップを開けると……あれ? どこまで開くの? と思っているうちに一枚の平らな布状になるまでフルオープンしてしまう。実はこれ、まったく新しいタイプの“箱形ロールペンケース”なのである。
これまでのロールペンケースといえば、複数のペンポケットがついた布をクルクル巻いて、持ち運ぶ時は筒状になるというもの。ところがこの「クルマーレペンケース・スクエア」は、布の内側に板が入っており、パタンパタンと畳んでいくと四角い箱に変形する。
果たしてこれを“ロール”と呼んでいいのか。でも振る舞いと機能は、確かに従来のロールペンケースと同じなのだ。
では、筒になる普通のロールペンケースと比べて、箱の「クルマーレペンケース・スクエア」は何がどう良いかというと、収納時の厚みがポイントになる。
そもそもロールペンケースは収納時に余分な空間をギュッと絞めて圧縮できるので、コンパクトになるのが大きなメリットのひとつ。ただ、くるくる巻いていく関係上、複数本のペンの直径が重なり合って厚みをつくってしまう。
対して「クルマーレペンケース・スクエア」は箱形になることで、最大でペン2本分の厚みにしかならないような構造なのである。
さらにペンのクリップ同士が干渉しないよう、箱になったときに上のペント下のペンがずれて配置される仕組み。結果、幅は広くなる代わりに厚みがかなり少なくできるのだ。これなら荷物でギツギツのカバンや高さのない引き出しにもスッと入れやすいのではないか。
・ペンなどが一本ずつポケットにきちんと収まることで、高価な万年筆などが輸送中に傷つく心配が少ない。
・中の見晴らしが良いので、使いたいペンも素早く見つけて取り出すことができる。
……といったロールペンケースの機能的な良さはそのままに、薄い箱形で取り扱いもしやすい。これはかなり新機軸のペンケースと言えそうだ。
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