アメリカの企業が開発した極小イメージセンサーが、ギネス世界記録で「世界で最も小さなイメージセンサー」として認定されました。その大きさは、0.575ミリ四方。米粒よりも小さく、指先にのせてみても小さなゴミのカケラのようにしか見えません。ここまで極小のイメージセンサーが開発された目的とは、一体何なのでしょうか?
ギネス世界記録に認定された「世界最小の商業用イメージセンサー」は、アメリカのサンタクララでデジタルイメージ関連の開発を行うオムニビジョンテクノロジー社が発表した「OV6948」という製品で、大きさは0.575ミリ×0.575ミリ×0.232ミリ。指先にのせても、ゴミのカケラのようでイメージセンサーだとは誰だって気づかないほどです。
ここまで極小サイズのイメージセンサーが求められているのは、主に医療現場での利用のため。カテーテルや内視鏡に組み込まれ、検査や手術で体内の状態を捉えることができるようになるのです。当然ながら、身体に挿入する医療機器は小さいほど身体への負担が少なく、小型化が求められています。また、医療機器の利用は感染などのリスクが生じるため、使い捨てタイプにするとそのような問題が解決できると考えられています。
医療分野で幅広く活用可能
そんな医療現場での活用を想定し開発されたこの極小イメージセンサーなら、直径わずか1ミリのカテーテルや内視鏡に組み込むことができ、細い血管はもちろん、神経や眼、心臓、泌尿器など、さまざまな診療部門での処置に利用が可能。画角は120度、3ミリから30ミリまでフォーカス可能、静止画は200×200ピクセル、動画なら30fpsで撮影可能です。さらに大量生産によってコストも削減し、使い捨て利用ができるよう設計されています。
Happy Friday! Our OV6948 imager was just named by @GWR as “The Smallest #ImageSensor Commercially Available” at just 0.575 x 0.575mm. The sensor brings #FutureInSight to medical applications. Visit @MDM_Events Minneapolis booth 1248 to witness it and get a chance to win prizes! pic.twitter.com/Ulxmks1MVS
— OmniVision Tech (@ovt_tech) 2019年10月18日
内視鏡関連の使い捨て器具は、今後5年間に35.9%という年成長率で伸びていくと言われるほど、急成長が期待されているマーケット。そのため同社では、このイメージセンサーを使った0.65ミリ×0.65ミリ×1.158ミリのカメラモジュール「OVM6948 CameraCubeChip」も発表しており、今後の医療分野での幅広い利用が見込まれています。
こんな極小イメージセンサーの開発が進み、さらにその精度やクオリティが向上していけば、カテーテルや内視鏡を使った手術や検査でも、より高度な処置が可能になっていくかもしれません。