デジタル
2019/6/3 21:00

医師より精度が高い! Googleの「医療向けAI」が大きく進歩

世界のIT業界を牽引するGoogleが、3年ほど前から医療分野に進出していることをご存知でしょうか? 同社ではAIやARの技術力を活用して、がん細胞発見などの病理診断を支援するサービスの開発を進めています。そんななか、同社は5月20日に肺がんを検出するAIを開発したと発表。人間の医師よりも高い精度でがんを検出できるそうです。

 

医師よりも高い精度でがんを検出

WHOによると、肺がんで亡くなる方は毎年世界で170万人以上と、世界的に見て6番目に死に至る人が多い病気だそうです。早期発見が大切ですが、多くのがんと同じように、ある程度のステージになるまで発見されにくいという課題があります。

 

Googleでは2017年後半から、3Dモデルとノースウェスタン大学などから得たデータを使用して、肺ガンを検出するAIの開発に取り組みはじめました。そして開発されたAIの精度をはかるため、アメリカ国立衛生研究所とノースウェスタン大学から提供された、匿名の胸部CTスキャンのデータ4万5856件について実験。また6名の放射線医師にも肺ガンの検診を行ってもらいました。

 

すると、Googleが開発したAIが放射線医師よりも5%多くの肺がんを検出し、本来は陰性なのに誤って陽性と判定される「偽陽性」については11%以上少ないという結果となったのです。

 

網膜症や乳がん検出も

肺がん以外の医療分野でGoogleがこれまでに取り組んでいるものには、糖尿病による網膜症の前兆を画像診断で検出するAIや、乳がんを検出するAIなどがあります。転移性の乳がん検出については、なんと99%の精度で検出可能とグーグルは発表しています。

 

がんなどの病気をCTやレントゲン画像から判断する際、医師の経験則に頼っている部分が大きいでしょう。しかし膨大なデータをAIに学習させることで、人間では判別しえない早期の時点でも、病気を検出して予防に活かすことができるかもしれません。さらに医師不足の問題も深刻化しているなか、医師の負担軽減にもつながる可能性があるでしょう。

 

今回の肺がん検出AIについては今後、臨床実験を重ねていく必要性がありますが、医療の世界でもAIが活躍する日はそう遠くないのだと予感させてくれるニュースではないでしょうか? Googleがいつの間にか、私たちの日常生活に当たり前にあるようになったのと同じように、病院でもGoogleなどの技術が当然のように活用されるようになるのかもしれません。