結婚しなくても幸せになれるこの時代に、
私は、あなたと結婚したいのです。
一度は聞いたことがあるフレーズではないだろうか。初めてこのコピーを見たとき、結婚情報誌「ゼクシィ」のものだということに驚いたし、今の時代にマッチしているなと感じた。以来、強く心に残っている。
広告のコピーは、わずかな言葉で商品や企業の魅力を伝える手段のひとつである。同時に、読み手に言葉の背景にあるストーリーをイメージさせ、さまざまな気づきを与えてくれる。
『毎日読みたい365日の広告コピー』(ライツ社・刊)は、宝石のように輝く広告コピーを、365日分集めてまとめた一冊。日めくりカレンダーのように、1日1コピーが並ぶ。
どの企業のコピーかを確認して、二度楽しむ。
味わい深いのは、コピーを読んだ後、それがどの企業のものかを確認したときだ。たとえば、1月3日に掲載されている
「残りもの」
は嫌い。「最後のひとつ」
は好き。
は、そごう冬市/そごう・西武のショッピングバッグに採用されたもの(コピーライター:岩崎俊一)。
コピーだけを読んだときは、ショーウインドーに並ぶケーキや、きょうだいでおもちゃを奪い合っている様子など、いろいろなシーンが浮かんだが、なるほど、新春初売りにかけたコピーだったのか。
バーゲンで人がごった返している様子とともに、偶然手にした「最後のひとつ」を抱えてホクホクしている誰かの顔が浮かぶ。
6月18日(おにぎりの日)には、
ごはんで立ち直れる
くらいの
失恋でした。
というコピーが。
JA全農ふくれんのポスター(コピーライター:近藤成亀)とわかり、ニヤリ。この一行を見て、大好きだったドラマ「カルテット」の「泣きながらご飯食べたことがある人は、生きていけます」という台詞が頭をよぎったのだが、ページ下部に添えられている解説のような一言メッセージにも同じことが書かれていて、さらににんまり。
そうだよね、辛くても悲しくても、お腹は空く。だって、生きているんだもの!
心に残るコピー=自分の好みが再確認できる
365のコピーの中には、言葉遊びが秀逸なものから、思わず涙ぐみそうになるようなグッとくるもの、よくぞ言ってくれた! と爽快な気分になるものまで、実に多種多様な作品が並ぶ。
1ページごと味わいながら眺めているうちに、だんだんと自分の好みが明白となってくるから面白い。私が「お!」と思って付箋を貼ったのは、
ずっと一緒には
いられないから、今はずっと
一緒にいよう。【グリコ幼児のみもの/グリコ乳業】雑誌 コピーライター:石田文子
といった、親が子を想うような家族もののコピー。そして、
脂がのっていても
うれしくない生き物に
生まれてしまった。【ビートストレックス】ポスター コピーライター:米田恵子
などのダイエット、フィットネス系のコピーだ。本当に、皆うまいことを言う。コピーライターという職業の人たちの技とセンスには脱帽だ。
自分用にも大切な人へのギフトにも
『毎日読みたい365日の広告コピー』は、装丁も美しい。12か月それぞれ違った色のページになっていて、ページを開くだけで気持ちがほんわかする。
そして、その日付ごとにピッタリのコピーが集録されている点にも、改めて感激。一から365日に合ったコピーを生み出したのでは、ここまでバラエティ豊かで、誰の胸にもグッとくるコピーは揃わなかっただろう。
手に届く場所に置いておき、その日の日付や自分の誕生日、適当に開いたページなど、何度でも楽しみたい一冊。そして、これから電車の中吊りや雑誌の広告ページに出会うたび、今まで以上に“言葉が持つチカラ”を堪能できそうだ。
【書籍紹介】
毎日読みたい365日の広告コピー
著者:WRITES PUBLISHING(編)
発行:ライツ社
365日、その日その季節にぴったりの「広告コピー」を並べてみたら、大切なことを思い出せる素敵な名言集ができました。