Android系を中心にイヤホン端子を搭載するスマホが再び増えています。いま多くの人々がスマホを音楽再生に限らず、動画視聴やゲームなど様々なエンターテインメントのサウンドを楽しむことに活用していますが、やはり有線イヤホンはスマホや音楽プレーヤーにプラグを挿すだけなのでお手軽。
日本のオーディオブランド、ALPEXが発売した有線イヤホンのHi-Unit(ハイユニット)シリーズが注目を集めています。ロックバンド“凛として時雨” のドラマーであり、ポータブルオーディオのマニアでもあるピエール中野氏がサウンドチューニングを監修した「HSE-A1000PN」です。価格は驚きの1700円。人気のミュージシャンが太鼓判を押すイヤホンの実力を確かめてみたいと思います。
ミュージシャンのピエール中野氏が真剣勝負のチューニング
今回紹介するHSE-A1000PNは、コンパクトで剛性の高いアルミニウム製ハウジングの中に10mm口径のダイナミック型ドライバーを搭載するイヤホン。本体は2017年にALPEXが発売したHi-Unitシリーズのイヤホン「HSE-A1000」をベースにしています。その実力を認めたピエール中野氏が中国にあるHi-Unitシリーズの開発・製造拠点まで足を運んで、自らエンジニアと膝を詰めながら議論を交わして理想の音質に追い込んだという入魂のカスタムチューニングモデルなのです。
HSE-A1000PNとベースモデルの主な違いはサウンドのチューニングが異なること以外にもあります。ひとつはピエール中野氏の提案によりオリジナルデザインのキャリングケースが付属すること。
有線イヤホンをバッグやポケットに裸のまま入れて持ち歩く方も多いと思いますが、取り出す際にケーブルが絡まったり、引っ張られてテンションがかかると断線して音が聴けなくなる場合もあります。音楽プレーヤーにイヤホンを巻き付けた状態でバッグにしまうのも、ケーブルや端子部に負担が掛かるためできれば避けるべき。使っていない間はキャリングケースに収納して持ち運ぶことが、お気に入りの有線イヤホンを長く楽しむためのコツです。
ほかにもう1点、ピエール中野モデルのHSE-A1000PNには通常モデルに付属しないXSサイズのほか、全4種類のサイズが違うシリコンイヤーピースが付いています。本体のカラバリはガンメタリックとピンクから選べるので、男女を問わず広い音楽ファンが楽しめるイヤホンといえるでしょう。
ピエール中野モデルとベースモデルを聴き比べる
今回はピエール中野モデルのHSE-A1000PNとベースモデルのHSE-A1000を揃えて、ソニーのストリーミング音源を高音質に楽しめるウォークマン「NW-ZX507」をリファンレンスの音楽プレーヤーとして試聴しました。
Amazon Musicで配信されている女性ボーカルの楽曲を聴くと、どちらのイヤホンもハイトーンがとても煌びやかで透明感にあふれています。ベースモデルは声の輪郭がシャープで切れ味に富んでいるのに対し、ピエール中野モデルは歌声の肉付きが良く、余韻もふくよか。やはりそれぞれのモデルは明らかに音の個性が異なっているようです。
ビートの打ち込みが鋭く、スピード感を前面に出してくるベースモデルに対して、ピエール中野モデルの低音は重心に安定感がある印象。やはりロックのドラムスは空気を力強く押し出してくる感じなど、血の通ったリアリティに引き込まれます。
ベースモデルのHSE-A1000はアップテンポでエネルギッシュなJ-POPやアニソンの女性ボーカルとよくマッチしました。ピエール中野モデルのHSE-A1000PNは特別な死角が感じられないバランスの良さを特徴としているイヤホンですが、あえて挙げるのであれば洋の東西を問わずロック・ポップス系の楽曲がとても良く合うと思います。EDM系の楽曲を聴くと各イヤホンの個性がよく見えてきました。
ゲームや動画再生用のイヤホンにも最適
続いて、ピエール中野モデルのHSE-A1000PNをLightning-3.5mmヘッドフォンジャックアダプタを間に挟んで、最新の第2世代iPhone SEにつないでYouTubeやNetflixの動画もストリーミング再生してみました。“人の声”がとても明瞭に聞こえるイヤホンなので、動画やゲームを楽しむ用途にも向くモバイルイヤホンではないかと思います。
ワイヤレスイヤホンに対する有線イヤホンのメリットは、音声信号をスマホからイヤホンに伝送する場合にワイヤレスイヤホンが必ず経なければならない音声信号のエンコードプロセスによる遅延が発生しないことです。シビアな操作のタイミングが求められる音楽系・格闘系、FPSゲームをスマホで楽しむ際には遅延が発生しない有線イヤホンを選ぶとよいでしょう。
ピエール中野氏の監修によるHSE-A1000PNと、Hi-Unit渾身のHSE-A1000はどちらも甲乙付けがたいイヤホンです。真面目な高音質探求の成果を土台にした個性豊かなイヤホンを聴き比べると、ふだん良く聴いている楽曲がイヤホンを変えることによって全く違う表情を見せることへの興味がエンドレスにわいてくると思います。
幸いなことに2つのイヤホンをまとめて買っても3000円もしません。両方買い揃えて家でじっくりと2つのイヤホンと音楽プレーヤーに向き合いながら、時間を掛けて聴き比べてみても面白いかもしれません。
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