AV
イヤホン
2020/3/17 18:00

イヤモニの神が創った“神イヤホン”! JH Audio「ROXANNE AION」を話題のハイレゾDAPで聴く

読者の皆様は“カスタムイヤホン”をご存じでしょうか。ユーザーの耳型を採取して、最適なフィットと遮音性にカスタマイズしたオーダーメイドのイヤホンです。

 

元々はステージで活躍するミュージシャン、演奏や制作を支えるエンジニアたちの耳を難聴のリスクから守るためにカスタムイヤホンが生まれたともいわれています。爆音がうずまくステージ上で、自身の声や楽器による演奏の“返し(フィードバック)”をモニタリングするためのカスタムイヤホンは、いまでは多くのミュージシャンが使うアイテムです。

 

最先端の成形技術により本体を小型化、装着感が格段にアップ

JH Audioのファウンダーであり、全ての製品を手掛けてきたジェリー・ハービー氏はカスタムメイドによる「インイヤーモニターの神」として、多くの音楽制作者とオーディオファイルにリスペクトされている人物です。そのジェリー・ハービー氏のイニシャルを冠したJH Audioからはブランドの創立以来、多くの名機と呼ばれるイヤホンが誕生しています。2013年に発売され、日本には翌年2014年に上陸した「ROXANNE(ロクサーヌ)」の、耳型採取が要らないユニバーサルフィットのモデルはその代表格です。

↑JH Audioのファウンダーであり、ファンの間では「インイヤーモニターの神」として尊敬を受けるジェリー・ハービー氏

 

本機は片側に12基ずつのBA型ドライバーを搭載するマルチドライバー構成のイヤホンです。高中低域に各4基ずつのドライバーを搭載しながらコンパクトなシェル(筐体)の中に収めた匠の技にも驚きですが、新製品の「ROXANNE AION(ロクサーヌ エイオン)では最先端の3Dプリンティングの技術を駆使して、内部の無駄な容積をさらに省いて、小型化へさらに大胆な一歩を踏み出しています。

↑JH Audioの最新イヤーモニター「ROXANNE AION」(直販価格29万9980円)

 

↑3Dプリンターで成形したコンパクトなシェルに12基のBA型ドライバーを内蔵。いっそう心地よい装着感を実現しています

 

シェルの中にはノズルの先端から反対方向にたどっていくと、それぞれが異なる距離にドライバーユニットが搭載されています。等間隔でないにもかかわらず、ノズルの出口の箇所で音の位相をピタリと合わせて一体感あふれるサウンドを実現する「freqphase(フリークフェーズ)」はJH Audioのコアテクノロジー。ジェリー・ハービー氏が長年に渡るイヤホン開発の経験から獲得した、いわば秘伝の技のひとつです。

 

「Sonic Tube Chassis(ソニック チューブ シャーシ)」と名付けられた、3Dプリンターにより設計した最適形状のシェルは、AIONとして生まれ変わった段階で素材も一新。数百にもおよぶカーボン繊維の織物に樹脂を注入しながら重ね合わせてから、外側を丁寧に磨き上げたシェルは軽く、剛性にも富んでいます。白と黒の大理石のようなシェルのフェイスプレートにはパールの風合いを持たせて、クローム調のブランドロゴを堂々と配置しています。

 

ノズルの先端には音道管への汗や異物の侵入を防ぐための「Acoustic Sound Chamber」と名付けられた空間を設けました。着脱可能なケーブル側にはドイツ製ミリタリーグレードのイリジウム金属製コネクターを採用。方向性を定めた7ピンタイプとして、さらに根元の側にリング形状のキャップを付けたことで汗など水分の侵入を防ぎます。着脱がスムーズに行えて、しかも安定したグリップ感が得られる抜群に安定性の高いコネクターです。ROXANNEがこれまでコネクターに採用していたスクリュー式のロック機構は廃止されました。

↑ノズルの先端に「Acoustic Sound Chamber」と呼ぶ空間が設けられています

 

↑イヤホン側の端子は独自の7ピン形状

 

着脱可能なケーブルの線材は4N銀メッキ処理の高純度OFC(無酸素銅)。しなやかに曲げられるので取り回しが良く、軽量で耐久性にも優れています。さらにROXANNEといえばお馴染みの低音調節機能も継続して搭載されています。マイナス形状のミニドライバーを使ってダイヤルを回すと、左右のイヤホンそれぞれに好みの低域のバランスが得られます。筆者は時計の5時の位置が低音のMAXだとしたら、3時半ぐらいの位置でどんなタイプの楽曲にもぴたりとくる低音感になりました。なおプレーヤー側のコネクタは3.5mmのアンバランス仕様です。

↑付属のケーブルは柔軟性にも富んでいて取り回しがスムーズにできます

 

↑低音調節機能も引き続き搭載しました

 

↑アルミケースや低音調節に使うドライバー、各種イヤーチップが付属しています

 

AKの限定ハイレゾプレーヤー“LUNA SEA 30周年記念モデル”で聴いてみた

ジェリー・ハービー氏はYouTubeに公開しているROXANNE AIONの解説動画の中で、新製品の音は「元祖・ROXANNEで多くのオーディオファンやミュージシャンから好評を得た、ダイナミックでリアリティにあふれるサウンドをそのままに継承している。省サイズとより快適な装着感を追求した会心のイヤホンだよ」と語っています。

 

今回はAstell&Kernから発売された、LUNA SEA結成30周年を記念して作られた限定生産500台という話題のハイレゾプレーヤー「SA700 LUNA SEA 30th Anniversary Edition」を借りてROXANNE AIONを聴きました。プレーヤーの本体背面にはバンド結成30周年の記念ロゴをレーザー刻印。電源を起動すると同じロゴが画面に点灯する贅沢な特別仕様のプレーヤーです。

↑本体背面にはバンド結成30周年の記念ロゴをレーザー刻印

 

↑「LUNA SEA結成30周年記念ロゴ」入りオリジナル本革ケースが付属します

 

aikoの代表曲「カブトムシ」の96kHz/24bitハイレゾ音源を聴いてみました。澄んだクリアなボーカルにうっとり。声に雑味が感じられず、ビブラートのゆらぎと生々しいブレスの息遣いを耳の奥のところで感じられて、背筋がむずかゆくなるほど。バンドの演奏とボーカリストとの距離感が生む奥行きの情景にも深みがあります。録音された音源を聴いていることを思わず忘れてしまうほど、音楽が演奏されているステージやホールのリアルな情景に引き込まれてしまいます。

↑ROXANNE AIONをSA700 LUNA SEA限定モデルで聴いてみました

 

とてもクリアな再現力を持つイヤホンなので、プレーヤーの力量や音源の出来栄えも素直に引き出してしまう正直者です。同じ楽曲をROXANNE AIONをスマホとSpotifyの組み合わせで聴き比べてみると、力強さと解像度に物足りなさが感じられて、音楽のリアリティにもあきらかな力量の差が露呈してしまいます。イヤホンのせいではないのであしからず。ソースの実力を丸裸にしてしまうJH Audio渾身の最新モデルは、やはり「SA700 LUNA SEA 30th Anniversary Edition」のような実力派のプレーヤーと組み合わせて楽しむのがベストです。

 

筆者も今回、取材であることを忘れてお気に入りの楽曲を端から端までROXANNE AIONで聴きまくってしまいました。さすがの実力に脱帽です。これは欲しいなあ。でも約30万円は思い切った決断が必要ですね。プレーヤーを合わせれば約47万円。ただ、愛おしみながら楽しめる一生物のオーディオシステムを揃えるつもりで考えれば、もしかするとお釣りが来るぐらいにおトクな買い物かもしれません。

 

【フォトギャラリー(画像をタップするとご覧いただけます)】

 

【この記事を読んだ方はコチラもオススメ】

定番ブランドから中華メーカーまで「ポタフェス2019冬」で気になる製品を聴きまくり!

全部合わせて140万円超! 超高級イヤホン「Layla II」を超高級ポータブルプレーヤー「AK380 Copper」で聴いてみた