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2020/7/15 21:00

孤軍奮闘のPND、パナソニック・ゴリラの最新作「CN-G1400VD」をインプレ! 根強い人気がわかる実力機だった

ポータブル型ナビと言えば、ひと昔前、一世を風靡したカーナビゲーションですが、今やスマートフォンに押されてすっかり姿を見なくなってしまいました。しかし、その中でも孤軍奮闘しているのがパナソニック「ゴリラ」です。ゴリラが誕生したのは今から25年前のこと。当時は旧三洋電機が販売していましたが、その流れは今、パナソニックに引き継がれ、累計出荷台数は529万台を突破。今もなお根強い人気を保ち続けているというわけです。

↑2020年型『ゴリラ』の最上位モデル「CN-G1400VD」(実売価格6万9800円)。他にFM-VICS非対応/地図更新なしの7V型モデル「CN-G740D」(実売価格5万8630円)と、同5V型モデル「CN-G540D」(実売価格4万1930円)をラインナップする

 

そこまでやるか!!の市街地カバーエリア拡大と、3年に一度の“全地図更新”機能

そのゴリラが今年、魅力的な進化を遂げました。その最大のポイントは、市街地図のカバーエリアを全国100%にまで広げたことです。これまでもゴリラは市街地図を1295都市で実現していましたが、2020年モデルではこれを全国すべてを対象とした1741都市へと拡大。カーナビで初めて、都市部だけでなく全国津々浦々、どこまで行っても建物の形状や土地の様子までも確認できるようになったのです。

↑2020年モデルでは家の形状が一軒ごとにわかる市街地図を全国の街へ広げた

 

もう一つは、上位機に無料搭載されてきた地図更新を3年に一度の全更新までもサポートしたことです。これまでも3年間にわたって2か月に一度、差分更新することができましたが、今回はそれに加えて、3年間に一度だけ“全地図更新”もサポートすることになったのです。これにより、3年の無料更新期限が近づいたところで全地図更新を行えば、そこから先も新しい地図データの下でゴリラを使い続けられるわけです。

 

今回のテストはダイハツ・ムーブのダッシュボードの上に取り付け、東京都内~千葉市周辺を往復して実施しました。

 

取り付けはとても簡単です。付属する電源ケーブルをシガーライターソケットに差し込み、FM-VICS用アンテナを本体に接続します。次に、付属の取付用プレートをダッシュボード上に貼り、ここに本体に取り付けた吸盤式スタンドを装着すればOKです。これだけでゴリラならではのGジャイロや、トリプル衛星による高精度測位が行われるのです。おそらく15分もあれば誰でも取り付けられるのではないでしょうか。

↑電源はシガーライターソケットから取るだけ。他にクルマと接続するものがないので、誰でも簡単に取り付けられる

 

目的地は多彩なカテゴリーから絞り込んで設定。操作に小気味よく反応するので、使っていてストレスはほとんど感じないでしょう。スマホのように音声入力することはできませんが、50音入力は知っている名称の一部を入れれば候補がリスト表示されます。

 

さらに目的地を設定する際に「周辺検索」「ガイドブック」を選べ、ガイドブックではJTBが監修した「るるぶDATA」を呼び出すことが可能。本体にはバッテリーも内蔵されていますから、出かけた先のホテル内で通信環境に左右されず周辺の見どころを簡単に探せます。これもゴリラならではの魅力なのです。

↑JTBが提供する「るるぶDATA」を収録。目的地設定時に簡単に周辺のガイド情報が呼び出せる

 

↑ワンセグTVにも対応。バッテリーも内蔵しているので、外へ持ち出して視聴することもできる

 

目的地を設定すると、ルートは条件別に最大5ルートまで候補を表示できます。通常は「自動」で選んでおけば間違いはないでしょう。ゴリラが案内するルートは安心して任せられるほどレベルが高く、スマホナビのような「?」が付くような案内をすることはほとんどありません。

 

さらに、FM-VICSで受信した「VICS-WIDE」による渋滞情報も反映する「スイテルート案内」が機能するので、交通状況の変化にもその都度対応してくれます。テスト中も何度もルート変更を提案し、そこにはどのぐらい時間を短縮できるのかも表示されていました。

↑方面案内の表示にも対応。進むべき方向も描かれているので安心して従える

 

↑FM-VICSで提供される「VICS-WIDE」に対応。一般道での旅行時間情報に基づき、目的地に早く着く「スイテルート」を案内する

 

↑「スイテルート」を反映したときの画面。ピンクの旧ルートに比べ、イエローの新ルートは距離も短くなり、目的地に6分早く到着することを示している

 

きめ細かい交通規制案内も魅力的!

きめ細かな交通規制の案内もゴリラならではの魅力です。一時停止に始まり、速度規制や合流案内、急カーブ、踏切案内、指定方向が禁止案内など、実に多彩な規制を画面上に音声案内を伴いながらポップアップ。交通規制を守るべきなのは言うまでもありませんが、初めての土地へ出掛けた時などは周囲に気を取られてつい見落としがちになります。そんな時でもこの案内があれば大いに助かるというわけです。一軒ずつ家の形や一方通行までがわかる市街地図は50mスケール以下で表示できます。12mスケールでは歩道の状況まで分かります。

↑各種交通規制や注意喚起に役立つ道路標識を、音声と共に画面上にポップアップして知らせる

 

↑渋滞情報は過去の統計情報(白抜きの渋滞情報)も反映される※CN-G1400VDのみ

 

また、高速道路では逆走に対してもしっかりサポートします。サービス/パーキングエリアで休んだ後に走り出すと画面上には「逆走注意アラーム」が音声と画面上で注意してくれるのです。それでも合流部まで進んで逆走を始めたら、アイコンと音声でそれを警告します。テストではさすがに再現は不可能でしたが、スタート時の注意アラームについては確認できました。逆走が社会問題化している現在、この機能の搭載は特に判断が鈍りがちな高齢者にとってもメリットは大きいと思います。

↑高速道路のサービスエリアやパーキングエリアで休憩した後、出発すると逆走のアラートが音声と共に案内される

 

↑高速道路など自動車専用道路の分岐点に近づくと、車線や方面案内までも正確に描いて進行方向ガイドする

 

測位精度はどうでしょうか。ビルが建て込んだ銀座周辺を走ってみましたが、位置がずれることは一度もありませんでした。エンジンを切って再スタートする時でも正確に位置を憶えていて、ここでも問題なし。ただ、地下駐車場に入ってエンジンを切り、再び地上へ出たときは正しい位置を示すのに1分程度かかりました。それでもクルマの向きはかなり早い段階で認識してくれ、どの方角に向かっているかは把握できました。

↑政令指定都市の主要交差点では、周囲の状況を正確に描く3Dビューで進行方向を案内。路面のカラー舗装まで描かれている

 

一方、道路の高低差は思ったほど正確ではありませんでした。首都高と一般道が重なる場所で正確に認識できたのは、今回のテストでも数回程度。インダッシュ型ナビのような精度は発揮できないようです。ただ、ゴリラにはこんな時に役立つ「道路切替」ボタンが用意されていて、これを押せばワンタッチで並行している道路に切り替えてくれます。

 

このボタンはデフォルトではメニュー内に用意されてますが、「G-LAUNCHER」ボタン内に設定しておくとより便利に使えると思います。ゴリラは高精度を追求する人にとっては能力的にも不足を感じるでしょう。かといって、停止すると自車位置が不安定になるスマホを使うよりははるかに安心できるとも言えます。

↑首都高など、都市高速の入口では3Dビューで入口を案内して進行方向をガイドする

 

↑並行する道路は正確に反映されないときはメニュー内にある「道路切替」を押せばいい。「G-LAUNCHER」内に設定すると便利だ

 

では、このゴリラはどんな人におすすめなのでしょうか。最適と思えるのが、すでにダッシュボードにオーディオなどが搭載されていて、これを交換せずに簡単にナビを追加したいという人です。運転に不安をおぼえ始めた高齢者などにも、ゴリラのきめ細かな規制案内が役立つでしょう。

 

一方、車速パルスを取ることができない旧車に乗っている人にとっても貴重なナビとなるはずです。全国津々浦々まで市街地図表示を実現し、交通規制までサポートすることで、分かりやすさと安心・安全をもたらした新型ゴリラ。ポータブル型ナビとして見逃せない一台となることは間違いありません。

 

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