〜〜売り上げ減に悩む鉄道各社の苦肉の利用促進策〜〜
新型コロナウイルスの影響により鉄道各社はどこも大幅な減収に悩んでいる。夏休みの期間に、少しでも利用促進に結びつけばと、おトクな「パス&きっぷ」を発売している会社が目立つ。とはいえ今年の夏休みは気軽に旅に出る気持ちにはなれないという方も多いことだろう。
しかし、心配はご無用。夏休み向け「パス&きっぷ」だが、調べてみると秋まで、一部はそれ以降も使えるものが多いのだ。「GoToトラベルキャンペーン」に合わせて宿が用意する割引宿泊プランと組み合わせれば、さらにおトクな旅が楽しめる。この機会を有効に活かしたい。
*紹介の「パス&きっぷ」は内容、利用条件を必ず確認の上でご購入・ご利用ください。
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【注目のおトクきっぷ①②】20日前までに新幹線を予約すれば半額に
【その①】JR東日本 お先にトクだ値スペシャル(2021年3月31日まで)
まずはJR東日本が運行する新幹線と特急から。
8月20日の利用分から発売されるのが「お先にトクだ値スペシャル」(乗車券つき)。ネット申し込み限定(えきねっと)だが、乗車日の20日前の午前1時40分までに予約をすれば、JR東日本の新幹線と特急列車の運賃+指定席特急料金が50%割引となる。
例えば、東京駅〜盛岡駅を乗車しようとすると、通常期、新幹線eチケット乗車券+指定席特急券は1万4810円かかる。だが、20日前までネットで購入申込をすれば7400円となり、7410円もトクすることになる。首都圏からJR北海道の新函館北斗駅までの購入も可能だ。在来線の特急も同じで、あずさ、ひたち、いなほなどの各特急の運賃+指定席特急券が半額となる。
さらに13日前の午前1時40分まで予約すれば「お先にトクだ値(乗車券つき)」というきっぷもあり、こちらは30%の割引価格で購入できる。
なおネット予約には「えきねっとトクだ値(乗車券つき)」というきっぷも用意され、こちらの購入は乗車当日の午前1時40分までに購入すれば、5%〜15%といった割引率で購入ができる。
いずれも座席数に限りがあり、同商品用に用意した席数が埋まれば、販売終了となる。とはいえ、前々から出かける日が決まっている人にとっては、利用すればかなりおトクな旅が楽しめるわけだ。なお、申し込みには、えきねっとへの会員登録が必要となる。
【その②】JR西日本 eチケット早特21(2020年9月9日まで)
一方、JR西日本では北陸新幹線のおトクなきっぷの発売を始めている。きっぷの名称は「eチケット早特21」。早特21とあるように、21日前までの申し込みが必要。金沢駅〜東京駅間が通常期の新幹線eチケットの発売額1万4180円が50%割引の7090円となる。こちらは9月9日までの発売で、9月30日までの利用が可能だ。
さらに「eチケット早特14」は14日前までに購入すれば、30%割引になる。こちらの発売期間は長く2021年3月17日までで、3月31日までの利用が可能だ。
【注目のおトクきっぷ③】東海道・山陽新幹線の早特が気になる
【その③】JR東海・JR西日本
EXのぞみファミリー早特(2020年12月11日まで平日割引あり)
東海道・山陽新幹線でおトクなきっぷがないかを探してみると――チケットレス乗車が可能なEXサービスがあった。すでにかなり普及しているサービスだが、その一つの割引サービスとして「EXのぞみファミリー早特」がある。2名から最大6名までのグループ向けの割引サービスだが、土・休日のみに利用日が限られていた。このサービスが12月11日までは平日まで拡大されている。
ちなみに東京駅〜新大阪駅の片道、のぞみの普通車指定席を利用の場合に、通常期1名料金が1万4720円。このファミリー早特を利用すると1万2570円で、2150円もトクになる。ちなみに早特は1か月前から乗車3日前までの購入が必要となる。
JR西日本では8月31日までの利用期間ながら山陽新幹線限定の「オフピーク・ファミリーきっぷ」(e5489専用)を販売している。こちらは「J-WESTネット会員」への登録が必要。2名以上で、7日前までに購入すると、かなりおトクな料金で乗車できる。
【注目のおトクきっぷ④】北海道の鉄道周遊の旅がかなりおトクに
【その④】JR北海道:HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パス(2021年1月31日まで※)
※補助金の予算が無くなり次第販売終了
ここからはエリア別にJRのおトクなパス&きっぷを見ていこう。
まずは北海道から。JR北海道が7月23日に発売した「HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス」(大人1万2000円)。北海道内のJRの路線が6日間、特急の普通車自由席、普通列車が乗り放題で、通常2万4000円の発売金額が半額となる。特急は自由席だけでなく、普通車の指定席も4回まで利用できるというのもありがたい。
発売はJR北海道の主な駅の指定席券売機、みどりの窓口、旅行センターで。利用期間は2021年1月31日まで(お盆期間、年末年始を除く)と長い。ただし、北海道からの補助金により半額割引となっている周遊パスのため、補助金の利用が上限に達した場合には、期間中であっても発売終了となる。
発売は利用日の1か月前から前日まで。ところで、どのぐらい使えるのか。通常の運賃+特急券代と比べてみた。例えば、函館駅から旭川駅まで札幌駅で特急列車を乗り継いだと仮定すると、自由席の利用で計1万2720円。もうこの行程だけで元がとれてしまうのだ。
北海道を鉄道でのんびり旅したい人に、まさにぴったりの周遊パスだ。ちなみに発売終了になった時には、JR北海道のHPで発表されるということなので、しっかり確認して旅のプラン作りに活かしたい。
【注目のおトクきっぷ⑤⑥】東日本でおトクなのは南東北と新潟だ!
【その⑤】JR東日本 小さな旅ホリデー・パス(2020年10月31日までの毎日)
JR東日本の管内ではこの夏から秋まで、南東北と新潟県内のおトクなパスが売り出されている。南東北で利用できるのが「小さな旅ホリデー・パス」(大人2720円)。通年、販売されている同名称のパスと異なり、10月31日まではこれまでの土日・祝日の利用に加えて平日も使える。
福島県、宮城県、山形県内のフリーエリアが設定されていて、そのエリア内の在来線区間ならば自由に乗り降りできる。なお山形新幹線の福島駅〜新庄駅のみは別途特急券が必要となる。
発売は利用開始日の1か月前からで利用当日の購入が可能、フリーエリア内のJR東日本のみどりの窓口、指定席券売機(一部)などで販売される。同パスの提示で、一部の物販店の商品や入館料などが割引される利点もある。さらに応募すればプレゼントが当たるチャンスもある。
首都圏からの旅であれば、「週末パス」(大人8880円)というかなり広いエリアでの乗り降り自由なパスがあって便利だが、名前のとおり利用が週末に限定されている。さらに前日までの購買が必要となる。「小さな旅ホリデー・パス」ならば、当日の購買が可能で、さらに平日まで利用日が広げられたことで、より利用価値が高いパスになった。ちなみに「お先にトクだ値」などの新幹線の運賃+普通車指定席券を利用すれば、より安く南東北の旅が楽しめそうだ。
【その⑥】JR東日本 えちごツーデーパス(2021年3月28日まで)
南東北とともに、おトクなパスが発売されているのが新潟地区。県内のJRの路線と上越新幹線(新潟県内)、北越急行ほくほく線、えちごトキめき鉄道が乗り放題となる「えちごツーデーパス」(2日間大人2740円)が発売されている。発売の期間は2021年3月27日までで、金・土・日・祝日と、8月中と12月25日〜1月11日の期間は連続する2日間の利用が可能だ。
大人の休日倶楽部会員ならば、1690円とさらにおトクになる。「小さな旅ホリデー・パス」と同じように、こちらも週末パスが利用できない平日などの、エリア内の鉄道利用に役立ちそうだ。
【注目のおトクきっぷ⑦】九州全域か北部九州かを選べるきっぷ
【その⑦】JR九州 みんなの九州きっぷ(2020年9月27日まで)
非常事態宣言の期間中、列車の大幅に減便を行ったJR九州。さらに7月の豪雨災害で久大本線と肥薩線の運休が続いている。そんなつらい状況の最中のJR九州だが、積極的な営業姿勢を崩さない。ネットで検索するだけで多くのおトクなパスやきっぷが販売されているのが分かる。
そんな中でもっとも注目したのが「みんなの九州きっぷ」。JR九州の全路線が大人1万円、北部九州の路線用が大人5000円で、土・日祝日の2日間が有効期間となる。この有効期間中は九州新幹線と特急列車の普通車自由席が乗り放題。さらに普通車指定席を6回利用できると、かなりの使えるきっぷだ。
利用できる期間が9月27日まで。発売は利用3日前までなので、9月23日が“最終発売”となる。ネット予約限定のきっぷで、列車の乗車だけでなく、九州全県の特定物販店や公共施設などで割引特典などが得られる。秋に九州の旅行を楽しむ時に、このきっぷを念頭においてのプラン作りがお勧めだ。