従来のメディアを通さず、Twitterで自ら情報を発信するアメリカのトランプ大統領。1日の投稿回数が多く、過激な内容が含まれているときもあり、大手メディアでも盛んに取り上げられていますが、Twitterの投稿からトランプ大統領について何かわかるのでしょうか? 最近、コロンビア大学の研究者たちがトランプ大統領の投稿について分析を行い、政治活動への影響を検証したので、その結果をご紹介しましょう。
就任当初に比べて深夜の投稿が3倍増加
研究者たちは、トランプ大統領が就任した直後の2017年1月24日から2020年4月10日までの期間、大統領が滞在していた場所の現地時間で投稿時間帯について分析しました。その結果、朝の投稿は午前6時台から始まり、午前8時頃には1時間に1ツイートとなり、その後は2~3時間に1度のペースで投稿。これが深夜12時頃まで続きます。これまでの約3年間で、朝の投稿は必ず6時台から始まるのに対して、深夜の投稿については就任当初より現在のほうが大幅に増加していました。午後11時〜午前2時の投稿頻度は2017年が週に1度未満だったのに、2020年は週3日以上と317%にもなっているのです。
このデータによれば、朝は6時ごろに起床する大統領のスケジュールは変わっていないのに、就寝時間は現在のほうがずっと遅くなっている可能性があるのです。激務のせいか、SNSのせいか、はたまたほかの原因か、就寝時間が遅くなった理由は明らかではありません。
怒りに駆られている?
これと似た研究は過去にも行われています。NBA選手のSNS利用と試合でのパフォーマンスの関連性について調べた論文では、深夜にツイートした翌日はシュートの精度や得点などのパフォーマンスが低かったという結果が出ていました。
睡眠時間が少なくなると、翌日の行動にさまざまな影響をもたらすことが予想されます。それと同じように、トランプ大統領も深夜までSNSを行っていると仮定した場合、睡眠時間が減ったら、翌日の仕事に影響は出ないのでしょうか?
そこで研究チームは、大統領就任以降のおよそ1万1000の投稿内容と大統領が行ったスピーチやインタビューの内容についても収集し、使われた言葉を分析しました。すると、深夜にツイートを行った翌日には、幸福感と比べて怒りの感情が3倍近く大きくなっていることが推測されるようです。しかし、ここからではトランプ大統領の仕事ぶりを判断することはできません。
SNSを始めると、夢中になってついつい夜更かしをしがち。でも睡眠時間が削られれば、翌日の体調が悪くなることは、誰もが実体験で学んでいることでしょう。アメリカの大統領選挙まで残り数週間となり、トランプ大統領の投稿頻度がますます上がっていますが、それが選挙戦にどう影響するのかにも注目です。
【参考】Almond, D. & Du, X. (2020). Later bedtimes predict President Trump’s performance. Economics Letters, 197. https://doi.org/10.1016/j.econlet.2020.109590.