赤土で覆われた一帯に巨大な岩がそびえたつ、米ユタ州の砂漠地帯。そんな人里離れた場所に、正体不明の金属の柱が埋められていることが偶然発見されました。その様子はまるでSF映画のワンシーンでしたが、この柱が忽然と姿を消したというから、さらに世界中が騒然としています。
グランドキャニオンをはじめ、モニュメントバレーやザイオン国立公園など壮大なスケールの自然に囲まれたユタ州。その砂漠地帯で11月、ユタ州公安局の職員が上空からオオツノヒツジを数えていたときに、異質なものがあることに気づきました。
柱は金属製で、高さはおよそ3.6メートル。一部が地中に埋められるように立っており、職員が柱や周囲を調べても、誰がここに置いたのかわからなかったそうです。ただその後の調査で、この柱は5年ほど前から存在していた可能性があると言われています。
太陽の光を反射してキラキラ光る金属の柱が砂漠のなかに埋め込まれている風景は、まるで映画の世界のよう。この存在をユタ州が発表するや否や、このニュースは瞬く間に世界中をかけめぐり、「謎のモノリスが出現した!」「地球外生命体が置いた?」など、さまざまな憶測が飛び交うこととなったのです。
※モノリス:SF映画「2001年宇宙の旅」に出てくる石柱状の物体
この柱が見つかった地点はあまりにも人里離れたエリアであり、ここを訪れようとする人は道に迷い救助を求める可能性が高いことから、ユタ州当局は詳しい位置を明らかにしませんでした。しかし情報が開示されないことで、かえって余計に刺激を受けたのか、州当局のヘリコプターの飛行経路を分析し、Googleアースを駆使して柱の場所を特定し、ネット上で発表する人が現れたのです。また、その情報をもとに現地まで辿り着く人も登場するようになりました。
しかし驚くことに、この柱が突然消えたのです。ユタ州当局がこの柱を発見したと発表したのが11月23日。それからわずか1週間もたたない11月27日には柱が消えたことが確認されたのです。柱があった場所には三角形の金属板だけが残されているだけ。もしかしたら現地を訪れた人が撤去したのかもしれません。匿名のアート集団がこのモノリスを設置したことを認めていると言われていますが、誰が撤去したのかは不明です。
その後、この柱は欧州各地で発見されています。ルーマニアではピアトラ・ネアムツにある丘で同じような金属の柱が見つかりました。こちらの柱は黒っぽい金属製で、高さは約3.9メートル。表面にはたくさんの円が描かれていたそうですが、この柱も発見されてから間もなく突然姿を消したとのこと。さらに最近では、イギリスとオランダにも同様の柱が出現したと報じられていますが、いずれも模倣品ではないかという見方もあります。いまだに謎だらけのこのモノリス騒動はもうしばらく続くかもしれません。