暖かくなると出現してくる蚊。世の中には蚊取り線香や虫よけスプレーなどさまざまな製品がありますが、もっと劇的に蚊を追い払うことはできないものか? ロシアではコンピューターサイエンティストがレーザーで蚊を仕留める機械を制作しています。
南ウラル国立大学の科学者は、Raspberry Pi(ARMプロセッサ搭載のシングルボードコンピューター)を使って、蚊をレーザーで殺すマシンの開発に取り組んでいます。この人はRaspberry Piと一緒に使えるPiカメラとか電流を検知する検流計、さらに人の皮膚に影響を与えない450ナノメーターの波長を持つ市販のレーザーポインターを用意して、それらを組み合わせました。
現段階ではまだプロトタイプを制作していませんが、開発は行われています。例えば、このマシンは蚊の大画像を使って、色、音、体温などから蚊を検出するディープラーニングに挑戦。また今後は望遠レンズを取り付けて、蚊の動きを追跡する機能を実験する予定でいるそうです。開発者の計画では1秒間に2匹の蚊を撃退し、将来的にはドローンにレーザーガンを取り付けて、空中を飛ぶ蚊をやつけるマシンを構想しているそうです。
このプロジェクトが始まったのは、ちょうど蚊がいない冬の時期だったため、一度中断していたそうですが、今後蚊が増える季節になれば、実際の蚊を使いながら実践に近い形で改良が行われるでしょう。
蚊はさまざまな感染症を媒介するという点で厄介な害虫です。蚊が媒介する感染症にはデング熱、チクングニア熱、日本脳炎、ウエストナイル熱、マラリアなどがあり、これらは特に東南アジアや中南米地域などで流行しています。蚊を媒介した感染症で亡くなる人の総数は年間70万人以上にのぼると言われ、蚊が「世界で最も多くの人を殺す危険な生物」とされているのには、そんな現実があるからなのです。
この科学者は、大学の仕事とは関係なく個人的にこのレーザー蚊取りマシンを制作しているそう。このような自主的な活動で救われる命が増えたら本当に素晴らしいことですね。
【参考】Rakhmatulin, I. (2021). Raspberry PI for Kill Mosquitoes by Laser. Preprints, 2021010412. doi: 10.20944/preprints202101.0412.v1