最近の軽量コードレススティック掃除機は単に「軽い」だけでなく、「吸引力」「機能性」を兼ね備えた上級モデルが人気。そのなかでも注目の5ブランド(ダイソン、シャープ、パナソニック、日立、アイリスオーヤマ)を多角的に検証していく連載企画の第3弾。「吸引力」を検証した第1回、「操作性」「静音性」を検証した第2回に続き、「ゴミ捨て」と「お手入れ」のしやすさをチェックしていきたいと思います。
ゴミ捨てやお手入れがラクな製品を選べば掃除のストレスが減る!
掃除機を選ぶ際には、基本性能とともに、掃除後のゴミ捨てや掃除機そのものの手入れ(メンテナンス)のしやすさもチェックすべき。ゴミ捨てをしにくい機種だとついサボりがちになり、それが掃除機の吸引力低下や本体の故障につながります。さらに、ダストカップやフィルター、ヘッドの回転ブラシのメンテナンスを怠ると、集じん力に影響が出ることも。特にヘッドブラシに絡まった髪の毛やペットの毛の除去はかなり大変なので、こうしたお手入れの手間が少ない機種を選ぶほうが、結果的にストレスなく部屋をキレイに保てるわけです。
というわけで、今回は5モデルのゴミ捨ての手順、ダストカップ~フィルター、ヘッドブラシのお手入れの手順を、詳細にチェックしていきたいと思います。
【今回テストした5機種はコチラ】
エントリーその1
ダイソン史上最軽量ながら高いゴミ除去能力を実現
ダイソン
Dyson Micro 1.5kg
実売価格5万3900円(税込)
ダイソンのコードレススティック史上最軽量の1.5kgを誇るモデル。毎分最大10万5000回転するDyson Hyperdymiumモーターと独自のソフトローラークリーナーヘッド(Micro Fluffyクリーナーヘッド)により、大きなゴミから微粒子ゴミまでパワフルに取り除く。0.3μmの微粒子を99.99%キャッチし、部屋の空気よりきれいな空気を排出。最長運転時間は約20分(※)、強モードでは最長約5分の連続運転が可能だ。●サイズ/質量:W207×H1091×D222mm/1.5kg
※:モーター駆動でないツールをエコモードで使用した場合
エントリーその2
着脱式バッテリーを2個付属し最長約100分の連続掃除が可能!
シャープ
RACTIVE Air EC-AR5X
実売価格4万8000円(税込)
モーターとパイプの軽量化で重さ1.2kgを実現。小型軽量ながら高効率のモーターを開発し、メイン掃除機としても十分使えるパワーで掃除できる。バッテリー1個あたりの最長運転時間は約50分(すき間ノズル等の付属吸込口使用時)で、同梱の予備バッテリーを付け替えれば最長約100分の連続運転が可能。立ったまま吸込口を着脱してすき間掃除に移行できる「スグトルブラシ」など便利機能も多数。●サイズ/質量:W210×H985×D150mm/1.2kg
※画像は昨年モデル。8月26日より運転時間とパワーが進化した新製品が発売されている
エントリーその3
クリーンセンサーや壁際まで届くパワーノズルなどでゴミの取り逃がしを低減!
パナソニック
パワーコードレス MC-SB51J
実売価格3万9240円(税込)
小型ながら吸込仕事率100Wの吸引力と使いやすさを備えた機種。クリーンセンサーが約20μmの見えないゴミまで検知しランプを点灯、自動的に吸引力をアップする。独自形状のパワーノズルが壁際までしっかり届いて逃さずゴミ除去。毛先がY字のブラシと硬質ブラシの2種類のブラシ毛を採用し、フローリングから絨毯まで幅広い床質に対応。●サイズ/質量:W220×H1106×D182mm/1.6kg
エントリーその4
破格の軽さ1.1kgに加え、掃除の快適さを高める機能も満載!
日立
ラクかるスティック PV-BL2H
実売価格4万3300円(税込)
本体や延長パイプ、ヘッドの徹底的な軽量化で標準質量1.1kgを達成。新開発の「ハイパワー3D ファンモーター」で空気の流れを効率的に制御し、軽さと強力吸引を両立した。ノズルには拭き専用の毛「かるふきブラシ」を採用し、ゴミを吸引しながらフローリングに貼りついた菌も拭き取る。暗い場所でゴミを照らし出すLEDライトをヘッド前面に搭載するなど使い勝手への配慮も万全。●サイズ/質量:W205×H994×D230mm/1.1kg
エントリーその5
静電モップなど豊富なアタッチメントで家中の掃除をサポート!
アイリスオーヤマ
充電式サイクロンスティッククリーナー マルチツールセット SCD-L1P-B
実売価格3万8700円(税込)
同社サイクロン史上最軽量の1.4kgながらパワフルな吸引力と豊富な便利機能も兼備。自走式パワーヘッドのパワーは落とさずヘッドの重さを約60%カットし、狭い場所も快適に掃除できる。人気の静電モップクリーンシステムやほこり感知センサーも搭載。付属ツールは5種類を備え、家中を快適に掃除できる。準HEPAフィルター搭載で0.3μm以上の微粒子を99.5%以上捕集。●サイズ/質量:W224×H1035×D235mm/1.4kg
【ゴミ捨て・お手入れのテスト内容はコチラ】
ゴミ捨て頻度に関わるダストカップ容量と、ゴミを捨てるまでの手順をチェック。また、ゴミ捨てを容易にする機能や工夫も合わせて確認しました。
お手入れの面では、ダストカップと集じん部の分解・組み立て、掃除のしやすさを確認。それらのパーツが水洗いに対応しているかどうかをチェックしました。さらに、掃除機のメンテナンスで最も面倒な作業のひとつである、ヘッドブラシの毛絡み除去のしやすさも検証しました。
【ゴミ捨て・お手入れのテスト結果はコチラ】
【エントリーその1】ダイソン Dyson Micro 1.5kg
ゴミに触れずにゴミ捨て完了。ブラシの毛絡み除去がほぼ不要なのもとにかく便利!
クリアビン(ダストカップ)の容量は非公表(一部通販サイトには0.2Lとの表記あり)。ゴミ捨ての手順は、まず本体から延長パイプを抜き、赤いレバーを押しながらクリアビンを前に押し出すと底部のふたが開いてゴミ捨て、という2ステップ。ゴミに触らずゴミ捨てできるのは大きなメリットです。
本体集じん部内の、ステンレス製のシュラウド(筒型のメッシュのパーツ)には髪の毛やペットの毛が絡まりやすいですが、ゴミ捨て時にクリアビンを押す際に、ゴム製のスクレイパーが絡まった毛ゴミをこそげ取ってくれます。
↑クリアビンの根元の赤いリングがスクレイパー。これがシュラウドの表面をスライドしながら毛ゴミを取り去ります
クリアビンと集じん部のお手入れについては、クリアビンは水洗い不可で、水に濡らして固く絞った布などで拭き掃除する必要があります。なお、本体後部のフィルターは取り外して水洗いできます。
ちなみに、クリアビンを本体に戻すとき、うまく戻せず苦労しました。戻す際に本体とクリアビンの溝をぴったり合わせる必要があるので、最初に溝の位置を確認しながらクリアビンを外すのがオススメです。
ヘッドブラシに関しては、ナイロン製ローラー形状のため、髪の毛やペットの毛がほとんど絡まず、毛絡み除去の必要がないのが大助かりです。さらにこのブラシは水洗いにも対応。簡単に清潔な状態に戻すことができます。
【エントリーその2】シャープ RACTIVE Air EC-AR5X
ゴミ捨ての行程はスムーズ。ダストカップ周りがすべて水洗いできる
ダストカップの集じん容積は0.13L。ゴミ捨ての手順は本体からダストカップセットを外し、さらにダストカップからフィルターカバー部を取り外してゴミを捨てます。その際は取り外しボタンを使いますが、表示がわかりやすく初めてでも簡単にゴミ捨てできます。
メンテナンスは簡単で、本体に付属のクリーニングブラシで各パーツについたホコリを掃除できるほか、ダストカップ、高性能プリーツフィルター、筒型フィルター、フィルターカバーのすべてが水洗いできます。
ヘッド部の回転ブラシは毛絡み除去がやや面倒。ブラシはベルト駆動タイプなので、お手入れの際に取り外し、お手入れ後はまた装着する必要があります。これが慣れないうちはかなり手間取ります。
【エントリーその3】パナソニック パワーコードレス MC-SB51J
ダストボックス周りや回転ブラシは水洗い可。ブラシの毛絡みがしにくいのもうれしい
ダストボックス容積は0.3Lですが、メーカーが推奨する集じん容積は0.15L。ゴミ捨て時には取り外しボタンを押しながらダストボックスを外し、次にダストボックスからネットフィルターを外す2ステップでゴミ捨てできます。
ダストボックス周りや回転ブラシなどは水洗いに対応。静電気でなかなかキレイに落ちない微粒子ゴミも一瞬で洗い流せます。ただし、プリーツフィルターは風通しの良い場所に丸1日置いてしっかり乾燥させる必要があります。
ヘッドの回転ブラシは他モデルに比べてブラシ毛が密に植えられているせいか、テストした限りはかなり毛絡みが少ないと感じました。ブラシはベルト駆動で着脱がやや大変ですが、毛絡み除去の頻度が減るのはうれしいポイントです。
【エントリーその4】日立 ラクかるスティック PV-BL2H
「からまんプレス構造」が便利。フィルター類の汚れも水でスピーディに洗い流せる
ダストケースの集じん容積は0.15L。ゴミ捨ての際は、ダストケース正面の取り外しボタンを引きながらケースを取り外し、次にダストケース下の「ゴミ捨てボタン」を押してゴミを捨てます。ゴミに触れずに捨てられますが、ペットの毛などが多い場合は内筒フィルター周りにゴミが絡まりやすいので、その場合はフィルターを外してゴミ捨てする必要があります。
お手入れ面ではダストケース、各種フィルターから回転ブラシ、各種付属ツールまで、数多くのパーツが水洗い対応になっています。特にクリーンフィルター(プリーツフィルター)、スポンジフィルターのゴミはお手入れブラシだけで除去するより、水洗いするほうが断然スピーディ。ただし、洗浄後は24時間以上かけてしっかり乾燥させる必要があります。
回転ブラシはシャープ同様毛絡みしやすく、引っかかった毛ゴミを取り除くのがやや手間。ただしブラシはベルト駆動ではないため、お手入れする際の着脱は簡単でした。
【エントリーその5】アイリスオーヤマ 充電式サイクロンスティッククリーナー マルチツールセット SCD-L1P-B
ダストカップや回転ブラシのほか付属ツールの静電モップも丸洗いできる!
ダストカップ容量は0.3Lながら、メーカーが推奨する集じん容積は0.15L。ダストカップに表示された「ゴミ捨てライン」までゴミがたまったらゴミ捨てがオススメです。ゴミ捨ての手順は、ダストカップ底部のボタンを押してロックを外し、本体からダストカップを取り外してからダストカップ内のサイクロンユニットを外してゴミを捨てます。
メンテナンス面ではシャープやパナソニック、日立と同様ダストカップ周りが水洗いに対応。カップやメッシュフィルター、排気フィルターなどに付着したゴミをかき取るのに使うクリーニングブラシも付属しています。ヘッド部の回転ブラシはシャープや日立同様、長く使うと毛絡みができるのがやや面倒。またブラシがベルト駆動なので、手入れする際の着脱にも最初は手間取るかも。
【今回の検証のまとめ】
ゴミ捨ては全モデル2手間で完了。ダストカップの水洗いとブラシの毛絡みに違いが出た
ゴミに触りたくないならダイソンと日立がベター
ゴミ捨てのしやすさに関しては全モデル2手間で完了し、とてもスムーズ。特にダイソンと日立はゴミ捨てボタンがついていてゴミに触らずゴミ捨てできます。近年のダイソンの掃除機はクリアビンが延長パイプと一直線に配置される構造になっているため、ゴミ捨ての際にクリアビンをゴミ箱の奥まで突っ込みやすくなっており、ホコリが舞いにくいのもうれしいポイント。ただし、ダイソンも日立もゴミがたまってくるとフィルター部にゴミがつくようになり、これをブラシなどで取るときはゴミに触れるリスクが高くなります。
また、モデルによって集じん容積の差が多少ありますが、それはあまり意識しなくても良いように感じました。というのも、集じん容量ギリギリまでゴミをためようとすると結局上限を超えてゴミをためがちですし、そこまでゴミがたまると吸引力が落ちるうえ、メッシュフィルターなどに絡みついたゴミを取る手間が増えます。どのモデルもたった2手間でゴミ捨てできますので、掃除後のこまめなごみ捨てを習慣づけておきましょう。
ダイソン以外はダストカップ周りがすべて水洗いできる
メンテナンスについては、シャープ、パナソニック、日立、アイリスオーヤマがダストカップ周りの水洗いに対応。掃除機本体もキレイな状態で使いたい人にはこれは大きなメリットです。ちなみにダイソンもローラーヘッドは水洗いできて、その部分は評価できます。……とはいえ、できればクリアビンも水洗いに対応してほしいところ。
一方、回転ブラシのお手入れ、特に毛絡み問題に関しては「ほぼ毛絡みゼロ」のダイソンが優秀。また、パナソニックの回転ブラシも毛絡みが少なく、好印象でした。同社が上位モデルで採用する「からまないブラシ」には及ばないとはいえ、今回試したMC-SB51Jのブラシも毛絡み除去の手間を十分軽減できると思います。一方、回転ブラシの着脱しやすさについては、ベルト駆動でないダイソンと日立が有利です。
そのほか細かい話ですが、ダイソンはお手入れブラシが同梱されておらず、別途用意する必要あり。また、アイリスはお手入れブラシを搭載本体に装着できないのが惜しいところでした。
次回は、5モデルの「設置性」「独自機能」「汎用性」をチェックしていきたいと思います。