モトローラ・モビリティ・ジャパンが、スマートフォンの新ラインナップとして「motorola edge」シリーズの日本発売を発表しました。同社によるとこのシリーズは、カメラ、ディスプレイ、デザインに注力したミドルハイレンジのシリーズになるとのこと。
第1弾として「motorola edge 20」(税込5万4800円)と、その廉価モデルに位置付けられる「motorola edge 20 fusion」(税込4万3800円)が、10月22日に発売。ここでは、motorola edge 20の使い勝手を中心にレビューします。
薄さと軽さが魅力、チープにならないリッチな質感もよい
motorola edge 20の最大の特徴は、薄くて軽いこと。最薄部は約6.99mm、重さは約163gに抑えられています。200gを超える端末が少なくない中、本機は誰が手にしても驚くであろうほどの軽さで、長時間スマホを持ち続けても疲れなさそうです。
軽いとモックのようなチープな印象を持ってしまうかもしれませんが、そんな質感にはならず、背面パネルはガラスのような手触り。実際にはガラスではなく、アクリル素材を使い、軽さとリッチな質感を両立させています。
また、TPU素材のスマホケースが同梱されていますが、それを装着しても、なお薄いと思えることも利点。カメラ部が出っ張っていますが、ケースを着けることで卓上などに置いてもレンズが直接当たらず、保護できる仕組みです。
フロント面には、パンチホール型のインカメラを搭載。また本体右サイドに音量ボタンに加え、電源キーと指紋センサーを兼ねたサイドキーを搭載し、一方の左サイドにはGoogle アシスタントを起動する専用キーを備えています。
底部にはUSB Type-CポートとSIMスロットを搭載。2枚のnanoSIMを挿して、2つの回線を使い分けることができます。ただし、microSDカードは装着できません。
内蔵スピーカーは底部に1基だけのモノラル仕様。音量はそこそこ上げられますが、音楽や映画の音声を楽しむには物足りなく感じる人もいるでしょう。なお、3.5mmのイヤホンジャックは搭載していませんが、3.5mm-Type-Cの変換アダプターとイヤホンは同梱。手持ちのイヤホンで音楽を楽しむことも可能です。
1億800万画素のメインカメラは明るく撮れて、特に夜景は鮮明
アウトカメラはメイン(1億800万画素/F1.9)+超広角(1600万画素/F2.2)+望遠(800万画素/F2.4/光学3倍ズーム)という構成。超広角カメラは、マクロモードでの撮影時にも使われます。
1億800万画素カメラは、9つの画素を1つに結合させて、多くの光を取り込む「ウルトラピクセルテクノロジー」に対応するほか、撮影すると1200万画素で記録されます。実際にカメラを使用してみると、撮影シーンに関係なく明るく撮れて、従来のmoto gシリーズなどと比べると、夜景がすっきりと鮮明に写るようになった印象。なお、「Ultra-Res」モードを選択することで、1億800万画素の画像を記録することもできます。
【作例フォトギャラリー】※画像をタップすると閲覧できます。一部SNSからは閲覧できません。
カメラアプリの機能はモトローラの従来モデルを踏襲しており、多彩な撮影モードも健在。指定した色だけを残してモノクロにする「スポットカラー」、指定した範囲の動きだけを残してGIF画像などを作成できる「シネマグラフ」など、ユニークな機能を楽しめます。
インカメラは3200万画素(F2.25)で、自撮りも高画質で楽しめます。また、アウトカメラとインカメラで同時に撮影できる「デュアル撮影」機能も搭載しており、こちらはVlogユーザーに重宝しそうです。
【カメラアプリの機能フォトギャラリー】※画像をタップすると閲覧できます。一部SNSからは閲覧できません。
ディスプレイのリフレッシュレートは最大144Hz、映画を楽しめる最新規格にも対応
ディスプレイは、6.7インチの有機EL液晶を採用し、解像度はフルHD+(2400×1080ドット)。アスペクト比が20:9のやや縦長の画面なので、WebやSNSを見るには適している印象です。
リフレッシュレートはモトローラのスマホでは最高の144Hzに対応。操作中に自動で最適なリフレッシュレートになるよう初期設定されていますが、常に速度を優先する設定にも変更可能です。
最近では、ミドルクラスで90Hzに対応する機種が増えてきており、ハイエンドでは120Hz対応のモデルもざらにあります。144Hzはそれらを上回るゲーミングスマホ向けのスペックとも言えるでしょう。ただし、144Hzに対応するコンテンツは限定的なほか、筆者が実質的に使った印象では、120Hz対応モデルと遜色はないです。
また、10億色の階調を表示できるうえに、映像のシーンごとに付加したメタデータを利用して映画監督などの製作者らが意図したHDR表現にする「HDR10+」や、デジタルシネマ向けの色域の基準「DCI-P3」にも対応。これらにより、映画を高精細に楽しめます。加えて、軽くて片手でも楽に持てるので、移動中の電車の中で視聴するにもちょうどいいでしょう。
端末を動かすだけでカメラを起動できるなど、モトローラ独自の便利機能も継承
OSはAndroid 11を搭載。操作性はAndroid端末としてはベーシックで、プリインストールされているアプリもほとんどはAndroid純正のもの。ただし、ユーザーがより使いやすくなるための独自機能は充実しています。
たとえば、端末を持った手首を素早く2回ひねってカメラを起動したり、2回振ってライトを点灯したりできる機能は、従来モデルから引き続き搭載。これに加えて、電源キーをダブルタップするとショートカットメニューが表示され、よく使うアプリなどを素早く起動できるといった機能も便利です。
さらに、パソコンやテレビなどと接続して外部ディスプレイとして利用できる「Ready For」という機能も搭載。筆者の環境では実際に使ってみることはできなかったのですが、専用アプリをインストールしたWindowsパソコンにUSB経由で接続して、ファイルを共有したり、motorola edge 20をウェブカメラとして使ったりできます。
テレビとの接続はMiracastで、映像をワイヤレス出力し、テレビの大画面に最適化された状態でコンテンツやビデオ通話などを楽しむことが可能です。
廉価モデル「edge 20 fusion」との差分はスペック、カメラ、インターフェイスと多岐にわたる
冒頭でも述べたように、motorola edge 20には下位モデルのmotorola edge 20 fusionがあり、1万1000円ほど安く買えます。両モデルの違いはどこにあるのか、主なスペックの差分を比べておきましょう。
motorola edge 20 | motorola edge 20 fusion | |
プロセッサー | Snapdragon 778G | Dimensity 800U |
リフレッシュレート | 最大144Hz | 最大90Hz |
アウトカメラ | メイン(1億800万画素)+超広角(1600万画素)+望遠(800万画素) | メイン(1億800万画素)+超広角(800万画素)+深度センサー(200万画素) |
外部メディア | なし | microSD(512GB) |
イヤホンジャック | なし | あり |
バッテリー容量 | 4000mAh | 5000mAh |
サイズ | 約163×76×6.99(最薄部)mm | 約166×76×8.25(最薄部)mm |
重さ | 約163g | 約185g |
スマホのパフォーマンスに大きく影響するプロセッサーは、motorola edge 20がクアルコムのSnapdragon 778Gを採用し、motorola edge 20 fusionがメディアテックのDimensity 800Uというチップを採用しています。
どちらもミドルハイ向けのチップですが、Snapdragon 778Gのほうが処理性能は高いはずです。基本アプリの操作で大きな違いは体感できませんでしたが、ベンチマークアプリで比較すると、やはりmotorola edge 20のほうが高いスコアを記録しました。なお、メモリーは両機ともにRAMが6GBで、ROMが128GBです。
ディスプレイはどちらも6.7インチで、解像度も同じ2400×1080ドット。ただ、リフレッシュレートに差があります。とはいえ、motorola edge 20 fusionも最大90Hzなので、従来の一般的なスマホよりも滑らかな表示を楽しめます。カメラはmotorola edge 20 fusionに望遠レンズがないことが大きな差分です。
ただ、motorola edge 20 fusionはmicroSDでストレージを拡張できるうえに、イヤホンジャックがあり、さらには5000mAhの大容量バッテリーを備えるという、motorola edge 20にはない魅力もあります。
どちらを選んだ方がいいかという話になると、薄くてスタイリッシュなデザインとカメラの性能を重視するならmotorola edge 20、電池持ちやコスパを重視するならmotorola edge 20 fusionを選ぶのをおすすめしたいと思います。
とはいえ、それぞれ5万円台と4万円台で手に入る端末としては完成度が高いため、どちらを選んでも不満はないでしょう。