「マグカップの取っ手が折れた」とか「子どもの玩具のパーツが割れた」というようなことは、日常的にちょくちょくあること。そういう際に役立つのは接着剤だ。特に、くっつくまでの速度が速い瞬間接着剤は、そういった“ちょい補修”の強い味方と言える。いざという時に備えてストックしておくと、役立つことも多いのではないだろうか。
買うとなれば、ネット通販で「瞬間接着剤」を検索するか、ホームセンターの接着剤売り場に行くことになるだろう。そして、だいたいの人がそこでいったん、ちょっと固まってしまうはずだ。「“瞬着”っていっぱいあるけど、どれ買えばいいの?」問題の発生である。
ざっと普通に購入できるものだけでも、お馴染み「アロンアルフア」をはじめ、「セメダイン3000」や「ロックタイト・ピンポインター」、アメリカ大手の「ゴリラスーパーグルー」などなど。そこに液状/ゼリー状という選択肢まで加わるのだから、迷うのも当然だ。100均ですら、売り場に瞬着が3~4種は並んでいるくらいなのだ。
瞬間接着剤は“接着力以外“の要素で選ぶ!?
接着剤を選ぶ基準として「ガッチリ接着できるか」……いわゆる接着強度の部分が第一に気になるだろう。
だがご安心を。いま市販されている瞬間接着剤は、だいたいどれでも問題なくガッチリとくっつく。さらに、接着できるまでの時間も誤差レベルの違いしかないときたら、なおさら「どれ買えばいいの?」となるだろう。
UHU(ウフ)
瞬間接着剤 超速乾ピペット
390円(税別)
そこでおすすめしたいのが、いま筆者が気に入っている瞬間接着剤、UHU「瞬間接着剤 超速乾ピペット」(以下、超速乾ピペット)である。UHUはドイツの接着剤メーカーで、世界的にもかなりのシェアを持つブランド。ただ、日本での本格展開が2019年からということもあって、まだまだ馴染みは少ないのではないだろうか。
1.液量を調整しやすいボトルか?
ほとんどの人にとって「はじめまして」な接着剤が、どう優れているか? まずポイントになるのが、ピンポイントに接着できる優れたボトル容器である。
瞬間接着剤を使う時は、ボトルをぐっと押して液剤を出すのだが、このとき狙った以上に液が出過ぎることがよくある。実は、これが接着不良を起こす原因のかなり大きな部分なのだ。
瞬間接着剤で上手に接着するには、少ない量を広い面にできるだけ薄く広げるのがコツ。だいたい10円玉の面積に1滴ぐらいが適量とされている。逆に量が多いと、硬化までに無駄な時間がかかったり、接着強度が落ちたり、さらには白化(接着した周囲が白く曇るトラブル)の原因にもなる。
一般的な瞬間接着剤のボトルは、出過ぎた液剤をボトルに戻すことができない。だから液がドバッと出た時点で、“接着失敗”がほぼ確定してしまう。ところが「超速乾ピペット」は、ボトル内側が弾性の強い樹脂製で、指を離すと弾力によって陰圧がかかるダイレクトストップ機構を搭載。液剤が出過ぎそう! と感じた瞬間に指を離せば、吸い戻されて流出が止まるのだ。これなら液剤の量もコントロールしやすく、接着をミスる確率も大幅に減らせるというわけ。
2.耐熱・耐水性は高いか?
これだけでも充分に“強い”のだが、さらにもうひとつ、高い耐熱・耐水性を持つのもポイントだ。例えば指に瞬間接着剤がついてしまったとき、40~50℃のお湯に指をつけてもみ洗いすると剥がれるぐらいで、そもそも瞬間接着剤は水と熱に弱い。(ほどんどの製品は耐熱限界が80℃)
対して「超速乾ピペット」は耐熱限界が120℃と、かなり高め。一度硬化してしまえば耐水性も充分なため、なんと接着したものを食器洗浄機にかけてもまったく平気なほど。食品衛生法によって、直接口に触れる食器を瞬間接着剤で補修することは許されていないが、マグカップの持ち手が折れたのを接着するぐらいなら問題なしだ。
最近は国産の瞬間接着剤でも、液剤のコントロールができたり、耐熱・耐水性をもっていたりする製品がいくつか出ているが、さすがに「食洗機OK」を謳うほどの性能のものは見つからない。そこで、今のところはこれが最も使いやすくオススメの瞬間接着剤、ということになるわけだ。