文房具
2022/1/28 22:00

プロ仕様に物欲がうずく! 強度3.5倍のステンレス鋼製ツメでマルチツール化するタジマの最強カッターはこれだ

「文房具店では売られていない文房具」というものがあることをご存知だろうか。謎解きとかいじわるクイズのような話ではなく、単に販路の問題というか、ジャンルの問題……要するに、ホームセンターで売られている“工具寄りの文房具”というやつだ。

 

例えば、ホームセンターで売られているマスキングテープは、本来の用途である塗装マスキング用なので、カワイイ柄なんて一切なし。その代わり、粘着力やテープ自体の硬さ(カーブした面を貼るのに関係してくる)なんかは、あれこれ選び放題だ。建築用や自動車塗装用など、文房具店の棚には基本的に並んでないやつばかりである。

 

こういった“ホムセン文房具”の魅力といえば、まず挙げられるのは「プロスペックである」ということ。建築現場などハードな環境下で使われることが多いため、耐久性とか作業強度が一般的な文房具とは大きく違う。もちろん、我々素人が普通に使うには過剰なことが多いのだけど……でも、どうせなら、そういうプロツールを使ってみたい! という気持ちもあるだろう。

 

そこで今回は、“プロ向けホムセン文房具”の代表格とも言える名品、タジマのカッターナイフを紹介したい。

 

強度3.5倍のツメを持つ! プロのためのカッターナイフ

ホームセンターでカッターナイフの棚を眺めると、やはりお馴染みOLFA(オルファ)の黄色いボディ(ただしL刃ばかり)がズラリと並んでいるのが見て取れるはず。ただ、そのOLFAと同じくらいの勢いで棚を占めているのが、タジマのカッターナイフだ。文房具好きにとっては「えっ、タジマ? どこそれ」だろうけど、工具ジャンルでは超メジャーメーカーである。

タジマ
ドライバーカッター L560 オートロック 黒
940円(税別)

 

そんなタジマのカッターナイフのなかでも、その機能とタフさでファンが多いのが、「ドライバーカッター」の名前で知られる「L560」である。正直、見た目はちょっと野暮ったい雰囲気なのだが、一度ハマってしまうと抜け出せない魅力があるのだ。

 

↑基本的にはタジマの専用L刃(写真は「タジマ凄刃黒」)を使用するが、OLFAなど他メーカー製の刃もほぼ問題なく使える

 

その最大のポイントが、ホルダー先端部分。刃を収納した状態で見える先端が、少し突き出した特殊なツメ状の形をしているのが分かるだろうか? 実はこのホルダー先端のツメが、マイナスドライバーとして使える、タフ過ぎな強度を持っているのである。

 

なにしろホルダー全体が、焼き入れによって硬度を高めた1mm厚のステンレス鋼製。なんと従来のカッターナイフのボディと比較して約3.5倍の強度を持っているのだ。

↑名前の元にもなっているホルダー先端のドライバー状ツメ。こじる・押さえる・挿し込むなど、マルチに活用できる多用途ツールだ

 

これが本当にめちゃくちゃ頑丈で、成人男性が力尽くで固くなったネジを回そうが、ペンキの缶フタに差し込んでグイグイこじ開けようが、ビクともしない。一度使ってみれば、このツメが潰れたり曲がったりするイメージが湧かなくなるほどの頼りがいを感じられるはずだ。

 

普通のカッターナイフのホルダー先端でも同じようなことはできなくもないが、数回もやればグニッと曲がってしまうのは間違いないだろう。

↑充分な強度があるため、ドライバーと変わらない感覚でネジを回すことができる

 

この強靱なホルダー部を包んでいるのが、エラストマー製のボディだ。ボッテリとしていて見た目は良くないが、すべり止め効果は抜群。軍手をつけた状態で握った安定感は、おそらく国産カッターナイフのなかでも最強だと思う。軽く持つだけでも安定して、本当に握りやすい。

 

作業現場ではカッターナイフを腰ホルダーに挿して持ち歩くこともあるが、ボディ全体がすべらないため、ホルダーからの抜け落ちといったトラブルが発生しにくいのもポイントだ。

↑ボディのどこでも、軍手で握って不安を感じないグリップ力がある

 

また、このボディの後端には、予備刃2本をストックできるマガジンを備えている。底部を引き抜くとすぐに予備刃が手に入るため、現場でいちいち刃を交換しに戻る手間がかからない。これもプロツールとして人気の機能だ。

 

“ご家庭DIY”レベルでは、予備マガジンのありがたみはほとんど感じられないかも知れないが、とはいえいざという時のために刃がストックできる安心感はありがたいのではないだろうか。

↑ボディ後端の替え刃マガジン。屋外作業などでは活躍しそうだ

 

正直なところ、見た目は格好良さに欠けている。が、グリップの良さと先端ツメの便利さは他に代え難い。正直なところ、これ1本が手に取れる場所に常備してあれば、「なにかをこじ開けるのに硬いものが欲しい」「ドライバーがいるけど工具箱を出してくるのがめんどくさい」みたいな状況がサッと解決できるわけだ。現場のプロでなくても、わざわざホームセンターにまで買いに行く価値はあると思う。

 

上位モデルは「ドラ」+「フィン」でより使い勝手がアップ!

「便利なのはともかく、もうちょっと見た目にスマートなのはないのか」というのは、ごもっとも。であれば、同じくタジマの「ドラフィン L560」はいかがだろうか。

タジマ
万能ツールカッター ドラフィン L560
1400円(税別)

 

焼き入れステンレス鋼製のドライバー状ツメは先の「L560」と同じだが、予備マガジンを排してボディをスリム化。エラストマーグリップも、握った際に掌に触れる部分だけに限っているため、かなりスッキリとした印象だ。白いボディカラーと合わせて、これならもう“野暮ったボディ”とは言わせないぞ。

 

さらに、「ドラフィン」の「フィン」(「ドラ」は先端のドライバー状ツメ)こと、ボディ後端のヒレ状のツメも大きなポイント。OLFAのハイパーシリーズにも同様のツメを備えた製品があるが、こちらもダンボールの開梱やこじ開け、折り筋つけなど、用途が広いマルチツールである。

↑先端のドライバー状ツメ(左)+後端のツメ(右)。作業によって使い分けるとより便利だ

 

ドライバーとして、もしくは狭い部分に差し込んでのこじ開けは先端の「ドラ」で、力を込めて押し込んだりするなら「フィン」で、と使い分けられるのが便利なのだ。

↑後端のツメは開梱作業にも使える。先端が丸いので、中身を傷つける心配もない

 

個人的には、一般家庭に備えておくなら「ドラフィン」の方がオススメしやすい。価格は「L560」よりも定価ベースで500円ほど高くなるが、使い勝手のよいカッターが欲しいのであれば、間違いないチョイスだ。

 

 

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