【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】
文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第19回となる今回は?
第19話
パイロット
ドクターグリップ 30カラーズ
500円〜(税別)
“疲れにくい筆記具”として登場した人気シャープペンの30周年記念モデル。初代モデルをベースに、発売当初の復刻カラーや1999年前後に流行したスケルトンカラー、新色のネオンカラーなど30色を揃える。振ると芯が出る「フレフレ機構」を搭載。
●2021年10月より数量限定販売中のため、すでに在庫切れの店舗もあります
駆け出し時代から変わらず信頼を置く相棒
1991年に発売された、パイロットのボールペン&シャープペンシリーズ「ドクターグリップ」。2021年には発売30周年を記念した歴代カラーモデルが発売され、そのなかには懐かしい初代モデルもラインナップされていました。当時画期的だった「人間工学に基づいた軸径」──その効果もさることながら、そもそもこうしたうんちくを筆記具に持ち込んだこと自体が画期的だった──を強調するためだったという、医療用品をイメージしたカラーリング。当時もいまも、なんぞ? という印象そのまま、しかしいまとなっては時代を超えた貫禄さえ感じさせます。
個人的にドクターグリップと言えば、初代シャープペンが発売された当時(92年!)から愛用していた思い入れの深い一本。学生生活の終わりからライターの駆け出し時代、つまり最も不安で最も期待に満ちた時期、常に身近にいてくれた頼もしい仕事仲間でありました。握り込んで飴色に光るグリップから、「文房具へ愛着を持つこと」の歓びを学んだと言っても過言ではありません。
今回、10数年ぶりに初代モデルを使ってみたのですが、あまりの現役ぶりに驚き、そしてうれしくなりました。旧モデルならではの、硬いゴム製グリップの安定感たるや! これまで何度もお勧めのペンを尋ねられては、「量を書くならまずはドクターグリップを」と答えてきたのは間違いじゃなかった。これからもずっと、迷える若者の頼れる相棒であり続けてください。
【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー
【第1話~第17話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第18話】珍奇な「回転繰り出し式の高級太軸マーカー」が予想外! ゼブラ「フィラーレ ディレクション」が常備したくなる使い勝手だった
https://getnavi.jp/stationery/703519/