2022年2月4日に4Gの人口カバー率が96%に達したことを発表した楽天モバイル。加えて、大都市部を中心に5Gにつながるエリアも徐々に広がっているようです。
また、2月14日には、5G対応の楽天モバイルオリジナルスマホ「Rakuten Hand 5G」が発売されました。持ちやすいスリムなボディが人気を集めた「Rakuten Hand」を5Gにアップデートさせたモデルです。
着実に通信が可能なエリアが広がっていますが、気になるのはやはり、楽天モバイルのネットワークは、大手3キャリアと比べて遜色がなく使えるのか? という点でしょう。また、5Gエリアでは、どのくらいの実行速度が得られるのでしょうか? 今回は、Rakuten Hand 5Gを2週間ほど使い、検証してみました。
片手でサクサク操作できるコンパクトさが魅力
まず、Rakuten Hand 5Gの使用感から見ていきます。本体サイズは4Gモデルと同じ約138×63×9.5mm。重さは約129gからわずかに増えて約134gになりましたが、軽くてコンパクトであることに変わりはありません。片手でラクに持てて、ほとんどの操作も両手を使うことなくこなせます。
ただ、普段から大画面のスマホを使っている筆者が持つと、小さくて不安になったりもしました。ストラップ穴があるケースに収めて、首からぶら下げるなど、工夫するといいかもしれません。
カラバリはブラック、ホワイト、クリムゾンレッドの3色。筆者が借りたのはブラックで、光沢が強めなほか、ツルツルとした手触りです。
【Rakuten Hand 5Gの外観をチェック】※画像をタップすると閲覧できます。一部SNSからは閲覧できません。
Rakuten Hand 5G にはSIMスロットがなく、eSIM専用であることも大きな特徴。さらに、2回線に対応したので、楽天モバイルのeSIMに加えて、他社のeSIMもインストールして有効化できます。万が一、楽天回線につながりにくい場合は、他社のSIMを併用でき、海外渡航時にも重宝しそうです。
ディスプレイは約5.1インチの有機EL。解像度はHD+(1520×720ドット)なので、画質に不安を感じる人もいるかもしれませんが、実際には明るくパキッとした画質で、小さな文字もクッキリと表示されます。大画面化にともない、フルHDのディスプレイを採用する機種が増えていますが、Rakuten Hand 5Gの画面サイズでは、HD+がちょうどいいように思えました。
なお、指紋センサーはディスプレイ内に搭載されており、登録には多少時間を要しましたが、ロック解除自体はスムーズでした。
パフォーマンスは及第点。電池持ちは1~2日程度
Rakuten Hand 5Gのスペックを見て気になっていたのがパフォーマンスです。4GモデルのRakuten HandのプロセッサーはSnapdragon 720G(最大2.3GHz)でしたが、Rakuten Hand 5GはSnapdragon 480(最大2.2GHz)。ミドルハイの7シリーズからミドルローの4シリーズにダウングレードしています。
しかし、実際に使ってみると、Rakuten Hand 5Gのアプリ起動やタッチレスポンスは的確で、ストレスなく操作できました。
「Geekbench 5」というアプリで処理速度のベンチマークを測定してみても、Rakuten Hand 5Gのスコアは、以前に測定したRakuten Handのスコアとほぼ同等でした。これは、5G向けのSnapdragonが、4G向けよりも性能が大きく向上していることを意味しています。数字はダウンしているものの、Snapdragon 480は、4G向けのミドルクラス相当のパフォーマンスを出せると期待していいでしょう。
メモリーはRAMが4GBで、ROM(ストレージ)は128GB。microSDには対応していませんが、よほどのヘヴィユーザーでなければストレージは足りるでしょう。
バッテリー容量は2630mAh。5Gスマホは4000mAh以上のバッテリーを内蔵する機種が多いので、かなり少ないという印象は否めません。ディスプレイやプロセッサーのスペックが低めなため、そもそも消費電力が少ない仕様にはなっていますが、電池持ちは1〜2日程度と考えるべきでしょう。
カメラの画素数は向上したが……
アウトカメラは2眼で、広角(約6400万画素)+深度測位(約200万画素)という構成。AIによる自動補正にも対応しています。ただ、実際撮影してみたときの画質は、昨今のスマホの中では低め。ナチュラルな色調で撮れるのですが、やや暗めで、鮮やかさに欠けるように感じました。
【Rakuten Hand 5Gのカメラをチェック】※画像をタップすると閲覧できます。一部SNSからは閲覧できません。
ただし、スリムで持ちやすいので、片手でサクッと撮影できることは利点です。また、1600万画素のインカメラはビューティー補正や「SNOW」のようなエフェクト機能を備えており、必要十分と言えます。ただ、やはりカメラ性能を重視するなら、ほかのモデルを選ぶべきでしょう。
都内ではほぼ全域で楽天モバイル回線につながる
さて、多くの人が気になっているであろう “つながりやすさ” について報告しましょう。ただし、ネットワークの状況は場所や時間帯によって大きく異なるので、あくまでも東京で行動する場合の例として参考にしてください。
楽天モバイルは自社回線だけではなく、パートナー回線としてau(KDDI)の回線も使っています。自社回線の人口カバー率は96%に達して、パートナー回線につながるエリアは徐々に少なくなっているのが現状です。東京都では、すでにパートナー回線へのローミングは実質的に停止し、パートナー回線につながるのは一部の地下や商業施設内などに限られています。
筆者は、東京都世田谷区に住んでいて、自宅で仕事をし、取材や買い物などで、ときどき都心部に足を延ばします。その筆者の行動範囲では、ほとんど圏外になることはなく、楽天回線の4Gにつながりました。通信速度を測ってみると、50Mbpsを超えることが多く、快適にネットが使えています。
5G対応エリアでは600Mbps超を記録
筆者の日常的な行動範囲に、すでに5Gに対応しているエリアがあり、そこでは下り600Mbpsを超える速度を記録しました。ただし、渋谷や銀座に出かけたときに、5Gに切り替わることはなかったので、5Gエリアはまだまだ限定的という印象です。
また、楽天回線にはつながらず、パートナー回線につながったのは、地下鉄、デパート、ホテルなど。なお、どちらの回線につながっているかは「楽天モバイル」アプリで確認できます。パートナー回線は5GBまでを高速で利用でき、5GBを超過すると最大1Mbpsに減速されますが、パートナー回線になる場所を把握しておけば、そこでの通信をセーブするなどの対策を取ることができます。
ちなみに筆者が「地下鉄」と書いたのは、具体的には東急田園都市線の地下部分。東京メトロはすでに多くの駅・区間で楽天回線が開通しているそうなので、今後、私鉄の地下区域にも広がることを期待したいところ。
なお、渋谷の「スクランブルスクエア」や「ヒカリエ」など、比較的新しい商業施設では楽天回線につながりました。
以前、まだ東京都内にパートナー回線エリアが多かった頃には、楽天回線からパートナー回線への切り替えがスムーズにいかなかったり、電話が途切れたりといった不具合が報告されていました。しかし、今回筆者が使った範囲では、そうしたトラブルはなく、回線の切り替えを意識することなく使えました。
ただ、古い建物の奥のほうや地下では、つながりにくくなったり、圏外になったりすることもありました。飲食店などでは、なるべく窓に近い席を選ぶなどの意識づけが必要、と注意しないといけない部分があるのは惜しいところでしょう。
4Gモデルよりも高いが、実質1万4800円で買える場合も
最後に、Rakuten Hand 5Gの価格は3万9800円(税込)。4GモデルのRakuten Handは1万2980円(税込)なので、2万円以上高いのですが、それでも5Gスマホとしてはお手頃です。
また、初めての申し込みで5000ポイント、他社からの乗り換えで1万5000ポイント、さらに「10分通話かけ放題」の申し込みで5000ポイントの、合計最大2万5000円相当の楽天ポイントが還元されます。つまり、実質的な購入費用は1万4800円に抑えられるわけです。お手ごろに5G対応スマホを手にしたいのであれば、Rakuten Hand 5Gを選ぶのが得策でしょう。
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