家電
オーブン・レンジ
2016/10/11 18:23

シャープ、ヘルシオ グリエは電子レンジとどう違う? 味気ないレンチン飯と一線を画す「作りたて」の温もり

過熱水蒸気(後述)で脂や塩分を落としつつ、おいしく焼きあげるとして一世を風靡したシャープのオーブンレンジ「ヘルシオ」。このスチーム機能は、いまや各メーカーの高級オーブンレンジの定番機能となっています。そして今回、過熱水蒸気のパイオニア、シャープから新製品「ヘルシオ グリエ AX-H1」が出ました。面白いのは、電子レンジの機能を省き、ウォーターオーブンのみの機能に絞ったこと。見た目はまるでトースターですが、一体何ができるのか、さっそく使ってみました。

 

↑今までのヘルシオカラーより明るく、キッチンに映えそうな「ヘルシオ グリエ」
↑いままでのヘルシオカラーより明るく、キッチンに映えそうな「ヘルシオ グリエ」

 

「トースターだよね?」と誰もが思う見た目とサイズ感。実際にトースターと並べてみても、ほとんど違いが感じられません。決定的に違うのは、加熱方法。トースターは上下のヒーターを熱源として食品をこんがり焼き上げますが、ヘルシオ グリエの熱源となるのは、「ヘルシオ」にも搭載されている「過熱水蒸気エンジン」です。

↑右が、一般的なトースター。大きさはほとんど同じです
↑右が、一般的なトースター。大きさはほとんど同じです

 

そもそも過熱水蒸気とは、100℃以上に加熱した水蒸気のこと。この状態の水蒸気は非常に熱量が高く、短時間で芯までしっかり温められるという特徴があります。さらに過熱水蒸気には、余分な脂を落とす脱油作用や、油を使わないノンフライ調理、温度帯の異なる食材の同時加熱が可能など、いいことずくめなのですが、オーブンレンジに搭載しても「使い方が難しそう」と使いこなせていない人も多いのが現状のようです。

 

そこで今回、「ヘルシオ」の機能を削ぎ落とし、過熱水蒸気による加熱のみに特化したのが、このウォーターオーブン専用機「ヘルシオ グリエ」。得意とするのは「作りたてのおいしさを復元する」ことだそうで、いろいろと蘇えらせてみたいと思います!

 

冷凍唐揚げを温めたら表面はカリカリ、中はふっくら!

まずは使い方をチェック。一番の特徴は、過熱水蒸気を作るための水をセットすることでしょう。操作は、水タンクをセットしてダイヤルを回すだけ。実にアナログ感がありますが、水を使うという点で、いわゆるトースターとは違うのは一目瞭然です。ちなみにヒーターも搭載されていますが、あくまで庫内温度が下がらないようにするためだけのもので、水がないときちんと加熱できません。

↑水タンクに水を入れ、ぐっと押し込んでセット
↑水タンクに水を入れ、ぐっと押し込んでセット。これで電源が入るため、水の入れ忘れも防げます

 

↑中央の過熱切替ボタンで、過熱のパワーを3段階から選び、ダイヤルを回して時間を設定するだけ
↑中央の過熱切替ボタンで、過熱のパワーを3段階から選び、ダイヤルを回して時間を設定するだけ

 

 

いずれにしても操作は実に簡単! さっそく冷凍の唐揚げを加熱してみました。トレーに冷凍唐揚げを並べ、過熱「中」、時間8分で設定。8分後には、まるで揚げているようなジューッという音を立て、こんがり出来上がりました。

↑まるで挙げたてのよう
↑ヘルシオグリエで加熱した唐揚げ。表面がカリッと熱く、揚げたての香ばしさを再現。肉の内部温度は62℃でした

 

一口食べてみると、表面はカリッとあつあつ! 中もふっくらジューシー! やはり芯まで温まっています。脂っこさを感じさせないのは、やはりジューッと油を落としてくれたからでしょうか。いずれにしても、揚げたてのような食感と味わいです。その違いは、トースター、電子レンジで温めたものと比べれば、いっそうハッキリ分かります。

 

トースターで8分加熱したときは、表面はカリッカリになっていた半面、内部温度は48.5℃と低め。一方、電子レンジで600Wで1分加熱した場合は、表面がしっとりして温度も低く、内部は75.7℃と、温度にかなりムラがありました。

 

同じ唐揚げでも、食感と温度が違うだけで、こんなに味も変わってくるとは……。逆に言えば、いくらおいしいものでも、適切な方法で温めないと、そのおいしさが活かしきれないというわけです。実にもったいない話ですね。

 

温め直しが難しい天ぷらも「サクッ」という状態に復活!

続いて天ぷらを温めてみました。天ぷらこそ、温め直しが難しい惣菜。電子レンジでチンすると、表面がしなしなになってしまうし、もともとスーパーで買ってきた天ぷらはあまりおいしいと思わないので、苦手だったのですが……。ヘルシオ グリエで温め直してみると、これがビックリ! かじると、本当に「サクッ」という音が鳴り、家族からは「お〜!」と感嘆の声が上がりました。

↑スーパーで買ってきた天ぷらのエビ天。衣がしなしなで白っぽく、揚げ物感ゼロ
↑スーパーで買ってきた天ぷらのエビ天。衣がしなしなで白っぽく、揚げ物感ゼロ

 

↑ヘルシオグリエで、揚げたてのようなきつね色とカリカリの衣を再現。これなら人にも出せるレベル
↑ヘルシオ グリエで温めると、揚げたてのようなきつね色とカリカリの衣に。これなら来客にも出せるレベル

 

トーストはいま一歩だがクロワッサンがスゴイ!

本機はパンを焼くのも得意のようなので、こちらも試してみました。まずは食パンをトーストしてみましたが……表示通りに加熱しても、あまり焼けている感じはありません。さらに2分ほど追加したものの、一部にこんがり焼き色がついた程度。食感も、カリッとした感じはなく、香ばしさを求める人には、物足りないのではないかという焼き上がりでした。

↑トーストの目安は、過熱パワー「強」、時間は3〜3.5分。こんがり感がなく、トーストとしてはいまいち?
↑トーストの目安は、過熱パワー「強」、時間は3〜3.5分。こんがり感がなく、トーストとしてはいまいち?

 

しかし、次にクロワッサンを焼いてみて、「クロワッサンを焼くならコレしかない!」と確信しました。バターたっぷりでトーストが難しいとされるクロワッサンが、焼きたてのようなおいしさに復活。表面のサクサク感はいわずもがな、内部がしっかり温まったことで、バターが溶け出し、豊かな風味としっとりした食感が味わえました。

↑トースターとヘルシオグリエでそれぞれ焼いたところ、トースター(左)のは1分で焦げ目がついてしまいました
↑トースターで焼くと1分で焦げ目がついてしまいましたが(左)、ヘルシオ グリエだと焦げ目もなくキレイに焼けました(右)

 

↑表面はサクサクですが、中はしっとりバターの風味もたっぷり!
↑表面はサクサクですが、中はしっとりバターの風味もたっぷり!

 

モーニングセットを同時に仕上げることも可能

さらにヘルシオ グリエが便利なのは、様々な食材を一度に焼けること。過熱水蒸気の性質上、温度が低いほうを集中的に加熱するため、食材の温度が違っても(たとえば冷凍食品と常温食品を同時に温めても)、同じように仕上げることができるという点です。食パンやベーコン、アスパラガス、生卵を入れ、一度にモーニングセットを仕上げることが可能なのです。

↑同じトレーに食パンやベーコン、アスパラガスを並べます。生卵はアルミトレーに入れて
↑同じトレーに食パンやベーコン、アスパラガスを並べます。生卵はアルミトレーに入れて

 

↑約6分でモーニングセットが完成!忙しい朝もきちんと食事が摂れるのがうれしいですね
↑約6分でモーニングセットが完成! 忙しい朝もきちんと食事が摂れるのがうれしいですね

 

ほかにも、惣菜のとんかつや、フランスパンなどいろいろ焼いてみましたが、いずれも電子レンジ、トースターには出せない外サクサク、中まで熱々の仕上がりに。コンパクトで手軽に使えるので、日常的に活用するには、とっても便利! 反面、コンパクトで一度に焼ける量が少ないため、大人数の家族ぶんを温めるのは時間がかかりそう。そのため、一人暮らしや共働きの夫婦世帯などにオススメといえます。

 

また、電子レンジは、お弁当や冷凍食品を温めるだけといったイメージですが、ヘルシオ グリエは揚げたて、焼きたて同様の温め直しができ、「時短モーニング」などの調理も可能。いわば「ほぼ手作り」状態の料理が楽しめます。ただ温めただけの食事では味気ない……そう思っている人にもぴったりの製品ですね。

 

シャープ

ウォーターオーブン専用機

ヘルシオ グリエ AX-H1-R

実勢予想価格4万3070円

 

【SPEC】

サイズ/質量:W412×D315×H218mm/約6.3kg

定格消費電力:1410W

加熱方式:過熱水蒸気 パワー3段階(弱・中・強)

タイマー:15分