【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】
文房具をこよなく愛す、放送作家の古川耕氏による連載。「手書き」をテーマとし、デジタル時代の今だからこそ見直される“手書きツール”を、1点ずつピックアップしている。第24回となる今回は?
第24話
ラミー
ラミー サファリ ホワイトレッドクリップ万年筆 漢字ニブ
6000円(税別)
1980年に登場した「ラミー サファリ」の漢字筆記に特化した数量限定モデル。新開発のペン先は柔軟性が高く、“トメ”“ハライ”など漢字特有の表現をサポートする。2022年5月の発売後すぐに完売し、8月以降再販予定。
デザイン文房具の最高峰が発売40年目にしてリブート
万年筆のペン先はアルファベット圏と漢字圏とで求める性能が異なり、ゆえに日本語を書くなら国産品がいい、と言われています。画数が多くてハネやハライのある漢字はペン先の繊細なコントロールが必要となるため、専用にチューニングされたペン先のほうが向いている、と。
それを踏まえて今年5月に限定発売された「ラミーサファリ ホワイトレッドクリップ万年筆 漢字ニブ」を見ると、ペン先(ニブ)は両サイドのカットによって従来品よりも柔らかく、手作業で研磨されたV字状のペンポイントのおかげで、細さ・太さを書き分けられるようになっています。これはまさに漢字に特化した仕様。実際これで漢字が上手く書けるかどうかは別問題なわけですが(拙連載・第22話参照)、間違いなくいままでのサファリ万年筆よりは明らかにふくよかな書き味となり、万年筆らしい豊かなニュアンスが楽しめるようになりました。
「サファリ」シリーズと言えば、ドイツ・ラミー社が誇るデザイン文房具の世界最高峰。いわば“殿堂入り”モデルとして、性能をそこまでシビアに問われる地位にはいませんでした。しかし、ペン先ひとつにチューニングを施しただけで、ペン全体が丸ごとリブートされたような進化を遂げたのです。これで本品は現代カジュアル万年筆のトップランナーに仲間入り。しかも外見は発売40年を超えてなおこのクールさですから、これはパワフルな一本の誕生です。
【文房具愛好家・古川耕の手書きをめぐる冒険】バックナンバー
【第1話~第22話】https://getnavi.jp/tag/furukawakoh-handwriting/
【第23話】ニードルチップの書き味も超優秀! 最強のSDGsボールペン「ペノン」が果たす意外な役割とは
https://getnavi.jp/stationery/764549/