〜〜「8月3日からの大雨災害」+全国の「鉄道不通区間」〜〜
地球規模の温暖化が取りざたされ、毎年のように豪雨が各地を襲う。先週末も台風14号が列島を縦断し、各地にその爪痕を残した。この台風14号とともに鉄道に深刻な影響をもたらしたのが、今年の「8月3日からの大雨災害」だった。今も複数の鉄道路線が影響を受け不通となっている。
豪雨により不通が続く路線(9月22日現在)を見るとともに、過去に起きた自然災害と台風14号により、不通となっている路線の現状を見ていこう。
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【8月の大雨災害①】大雨が東北地方に甚大な被害をもたらした
この夏、8月3日から断続的に降り続けた大雨が多大な被害を各地にもたらした。まずは降り続いた日々をふり返っておこう。なお、情報は主に今年の9月2日に国土交通省から発表された「災害情報」を元にした。まずは、雨の経緯から。数日のみで終わらなかったことが、災害の拡大につながった。
◆8月3日〜5日:低気圧が8月3日に東北地方を通過、低気圧に伴う前線が4日にかけて停滞。5日にかけて東北地方と北陸地方を中心に断続的に猛烈な雨が降り、記録的な大雨となった。
◆8月8日〜13日:6日〜7日の局地的な大雨に続くように、再び前線が北日本にのびて停滞し、13日にかけて北海道地方や東北北部で大雨となり、北海道地方や青森県では記録的な大雨となった。
◆8月15日〜22日:前線や低気圧の影響により、北日本から西日本で大雨となった。その後の24日〜26日にも東日本、西日本で局地的に大雨となった。
このように数日で終わらず、複数回にわたり、北海道・東北地方で大雨が降り続いた。当時のテレビ報道などで、当地に住む人々から「こんなひどい大雨、浸水被害は初めて」という声が多数聞かれた。今まで氾濫被害などがほとんど起きなかった地区に、猛烈な雨が降り続き多くの河川で氾濫が起きた。国土交通省の調べでは51水系132河川が氾濫したというから尋常ではない。
8月3日からの大雨災害により、公共交通機関にも大きな被害をもたらした。降り続いた豪雨は、短期間で終わらなかったことが、さらに被害を悪化させる要因となっていく。道路は国道5路線6区間、道道・県道も10道県32区間が通行止めとなった。そして鉄道は、2事業者7路線が被害を受け、今も不通となっている。7路線は東北地方を走る路線が大半で、一部、新潟県にまたがる路線も影響を受けた。9月16日現在も続く、不通区間とその被害状況を確認しておこう。
【8月の大雨災害②】青森県内では2本のローカル線が被害に
まずは青森県の北側から。
◇津軽線・蟹田駅(かにたえき)〜三厩駅(みんまやえき)間が不通
津軽半島を走るJR津軽線。大平駅(おおだいえき)〜津軽二股駅間で路盤が流出、復旧工事が進められている。この影響で非電化区間の蟹田駅〜三厩駅間の列車がストップしている。ちなみに津軽二股駅は、北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅の接続駅だ。同駅の駅舎の浸水被害はあったものの、北海道新幹線は高架を走っている区間が多く、被害は出なかった。
◇五能線・岩館駅(いわだてえき)〜鯵ケ沢駅(あじがさわえき)間が不通
五能線は青森県の川部駅と秋田県の東能代駅(ひがしのしろえき)を結ぶ。この五能線では青森県内の複数箇所で被害が出てしまった。各区間の被害状況を記しておこう。
・大間越駅(おおまごしえき)〜白神岳登山口駅間、橋梁被害→復旧工事中
・千畳敷駅(せんじょうじきえき)〜北金ケ沢駅(きたかねがさわえき)間、土砂流入→復旧工事中
・風合瀬駅(かそせえき)〜大戸瀬駅(おおどせえき)間、路盤流出→復旧工事中
・陸奥赤石駅〜鯵ケ沢駅間、橋梁傾斜→詳細調査中
五能線は日本海の海景色と白神山地の山景色が美しい路線。特に千畳敷駅付近は、駅前に日本海が広がる風光明媚な場所で、被害の様子が気になる。通年、人気の観光列車「リゾートしらかみ」が走っているが、路線不通の影響で鯵ケ沢駅〜青森駅間(川部駅〜青森駅間は奥羽本線を走行)のみの運転となっている。詳細調査中の区間があり、また複数箇所が被害にあっていることもあり、路線復旧まではかなりの日数がかかると思われる。