家電
2022/10/13 20:00

3万円で憧れの自家焙煎が実現!バリスタ絶賛のダイニチ「コーヒー豆焙煎機」飲み比べレポート

加湿器と石油ファンヒーターのリーディングカンパニーであるダイニチ工業が、家庭用コーヒー豆焙煎機の新製品を発表しました。発売は2023年1月末を予定。実売予想価格は税込3万3000円です。

↑写真中央の黒い筒形の製品が「コーヒー豆焙煎機 MR-F60A」です

 

担当者が「当社でなければ作れない」と語る理由

ダイニチ工業がコーヒー豆焙煎機を発売するのは、これが初めてではありません。1997年に「カフェプロ」ブランドを立ち上げ、「焙煎機能付きコーヒーメーカー MC-501」を発売。2000年には「コーヒー豆焙煎機 MR-101」を発売しています。

↑左が「コーヒー豆焙煎機 MR-101」で、右が「焙煎機能付きコーヒーメーカー MC-503(MC-501の後継機種)」(撮影:中田 悟)

 

では、今回なぜ新製品を発売するに至ったのか。担当者によると理由は大きく2つあるといいます。1つは市場にコーヒー豆焙煎機は数あれど、味の満足度や焙煎の精度といったクオリティと求めやすい価格の両立に課題があると感じていたから。もう1つは、家庭で飲まれるコーヒーの量が増加している事実からです。

 

全日本コーヒー協会によると、2020年の1人あたりが1週間に飲むコーヒーは、11.5杯で2002年以降の調査で過去最高。なかでも家庭での消費量も増加しており、2020年は7.5杯と過去最高だったそう。

↑近年は外出先でコーヒーを飲む量が減っている反面、家庭で飲む量が過去最高に

 

また、コーヒーの種類別でみると、レギュラーコーヒーの消費量が増加しており、2020年にはインスタントコーヒーを超える4.4杯で過去最高に。つまり、コーヒー需要の高まりとともに、家庭で本格的なコーヒーを楽しむ人が増えているのです。

 

こうしたトレンドを受けて開発されたのが、家庭で手軽に使える本格モデル「コーヒー豆焙煎機 MR-F60A」。本機のポイントは①「高い焙煎精度」②「コンパクト」③「低価格」の3つです。

 

①「高い焙煎精度」については、熱風の通り道に2つの温度センサーを搭載。1つめのセンサーで熱風を狙った温度に調整し、2つめのセンサーで気温や豆量の変化による温度のずれを修正するため、常に適切な温度に管理できるといいます。②「コンパクト」については、一般的な家庭のキッチンの棚に収納でき、持ち運びがカンタンなサイズ(高さ272×幅242×奥行186mm)と質量(約2.2.kg)を実現。③「低価格」については、熱風式を採用したことで部品点数を少なくし、コストを削減。3万3000円(税込)という価格を実現しています。

↑本機は2つのセンサーによる高い焙煎制度がカギ。なお、同社が行った消費者調査「新たに焙煎機を購入する場合、もっとも重視する機能」の回答では、「操作が容易である」と「焙煎の精度」が同率1位だったそうです

 

↑焙煎方式は、渦状に下から噴き上げる熱風式。均一でムラの少ない焙煎を実現しています

 

本機について、開発担当の渡邉 玲さんは以下の通り解説してくれました。

 

「焙煎機というのは、条件次第で大きくバラつきが出る非常に繊細なマシンです。当社は開発にあたって2か所の温度センサーを設け、詳細に温度を測定しながら状況を見極め、細かく制御できる機能を実現しました。

 

この技術は、当社が長年暖房機や加湿器の開発を行ってきたなかで得た知見によるもので、特に熱の制御や送風の制御を生かしたものとなります。開発を振り返ると、このコンパクトさと価格で高品質な焙煎機能をもった機器というのは、当社以外に作れないと感じました。そう思えるほど難しかったですし、自信作です」(渡邉さん)

↑新製品のプレゼンを行うダイニチ工業、コーヒー豆焙煎機開発担当の渡邉 玲さん(撮影:中田 悟)

 

また、渡邉さんいわく、本体に価格の安い樹脂を使う一方、熱を使う機器であるため安全性の基準をクリアするのに苦労したそう。もっとコンパクトにすることも可能でしたが、サイズを追求するあまり安全性を損なうことがないよう、適正なサイズを確保したといいます。安全性が問われる石油ファンヒーターでトップを走る企業なだけあって、本機でも特に安全・安心を重視して開発されているようです。

↑操作は朝煎りから深煎りまでの5段階から選ぶだけ。焙煎は長くても20分程度で完了。手軽に家庭で焙煎が楽しめます

 

焙煎度の違うコーヒーを飲み比べ

自宅で焙煎できることの最大のメリットは鮮度です。コーヒー豆はおおむね、焙煎3日後程度から14日後までが飲みごろというのが一般的(焙煎したての豆は炭酸ガスが多く味が不安定)。ピークを過ぎると酸化によってコーヒー豆の香りが飛び、味も劣化していきます。

 

つまり、豆のポテンシャルをコントロールできるのが、自家焙煎の魅力。この日は「コーヒー豆焙煎機 MR-F60A」で焙煎後に数日間味安定させた、ベストコンディションの豆が計4種類用意されていました。その内訳は、「モカ・ブレンド」の焙煎度1と3(5段階中)の2種類と、「コロンビア・ブレンド」の焙煎度3と5の2種類、計4種類。それを中挽きで粉にしたものが、ハンドドリップで提供されました。

↑ダイニチ工業ではコーヒーの生豆(写真下部の2種)も数種販売。シャーレに入った写真下左の豆が「モカ・ブレンド」で、写真右が「コロンビア・ブレンド」。その上の4種類が焙煎した豆になります

 

その味は実際どうなのか? GetNavi webでは、発表会でスペシャルゲストとして参加していた渋谷の名喫茶「茶亭 羽當(ちゃてい はとう)」のバリスタ・天野 大さんにお話をうかがうことに。MR-F60Aで焙煎した豆を使って天野さんが淹れたコーヒーを吟味しつつ、天野さんに新製品の感想を聞いてみました。

↑バリスタ天野さん。バリスタ歴は20年以上で「茶亭 羽當」での勤務は15年目。「茶亭 羽當」は、サードウェーブコーヒートレンドの旗手「ブルーボトルコーヒー」の創業者が「日本で最も好きな喫茶店」と絶賛する名店です

 

まずは、コーヒーを試飲していきましょう。チェックしたのは、天野さんが飲んでみてオススメだという「モカ・ブレンド」の焙煎度1(最も焙煎が浅い設定)と「コロンビア・ブレンド」の焙煎度5(最も焙煎が深い設定)を飲み比べてみます。まずは前者の浅煎りモカ・ブレンドから。おっ、これは上品。トゲのない良質な酸味で、やさしいコクと爽やかなベリー系の甘みもしっかりと感じます。

↑左が「モカ・ブレンド」の1で、右が「コロンビア・ブレンド」の5。抽出後のコーヒーの濃淡でも違いがよくわかります

 

後者「コロンビア・ブレンド」の焙煎度5は、深いビター感と明るい柑橘系のフルーティな甘みが印象的。ミルクで割ってもおいしいと思える、しっかりとしたコクも感じます。両者とも、豆の違いに焙煎の違いが加わって、より個性が際立っている印象。これだけの違いが出るのなら、もっといろいろな豆で飲み比べしたくなりますね。続いて、本発表会の協力にあたって事前に本機を試したという天野さんに、使った感想も聞いてみました。

 

「熱風焙煎は、炭火焙煎と違って表面から直接焼かないので、豆の中から温かくして持ち味をジュワッと引き出すのが特徴。焙煎の魅力が深いところから出ますし、特に深煎りだとより効果的です」(天野さん)

↑豆の状態が新鮮かつ焙煎の状態も最適なので、お湯を回し入れたときの泡もきめ細かくてキレイ! 香りもフレッシュで、会場はおいしい空気に満ちあふれていました

 

天野さんは、浅煎りにも感銘を受けたとか。

 

「今回、初めて熱風焙煎の浅煎りでモカを飲んでみましたが、こちらもいいですね。熱風焙煎だからしっかりした甘さやまろみが出て、面白い味わいだと感じました。例えるなら、米国系サードウェーブコーヒーの浅煎りにありがちなシャープな酸味ではなく、まろやかな酸味です。豆自体もうちの店(茶亭 羽當)と遜色がないクオリティで、抜群においしいですね」(天野さん)

 

天野さんは、「僕も欲しくなりました」と語るほど本機を気に入った様子。「ぜひ、これでマンデリン(インドネシア産で、深煎りがオススメな豆)を焙煎度5で飲んでみたい」とのこと。

 

さらに、「本機を使うと、豆と焙煎のことを自然と勉強するようになるはずで、それはすごくいいこと。コーヒーがもっと好きになるはずです」とも語ってくれました。確かに、本機があれば「あの豆をこの焙煎度だと絶対ウマイ……いや、この豆をこう煎ったら一体どうなる……?」などとあれこれ想像しつつ、とことん自分好みの味を追求できますね。すでにコーヒーにハマっている方、これからハマりたい方は、ぜひダイニチの「コーヒー豆焙煎機 MR-F60A」に注目してみてください。

↑MR-F60Aの魅力を語る天野さん