寒い冬になると気になるのが空気の乾燥。目が覚めると喉が喉がイガイガ、肌はつっぱって口の端はカピカピになり、ときには血がにじむことも。しかも空気が乾燥すると風邪やインフルエンザのウイルスが浮遊しやすく、これらの病気に感染しやすくなります。さらに、女性ならば気になるのが、肌の乾燥による肌荒れですね。そこで、マストになってくるのが加湿器です。
そこで今回は、加湿器のなかでも特に売れ筋の「ダイニチプラス ハイブリッド加湿器 HD-RX316」(以下、HD-RX316・実売価格1万7060円)を使ってみました。本機の製造元のダイニチは3年連続で加湿器のメーカー別数量・金額シェアNo.1(※)に君臨するメーカー。本機を含むRXシリーズはその主力となっています。ではなぜ本機は多くの人に支持されているのか、あらゆる角度からその理由を検証していきましょう。
3つの方式にはそれぞれメリット・デメリットがある
さて、みなさんは、加湿器には大きく分けて3つの方式があるのをご存じでしょうか? ひとつはヒーターでお湯を沸かし、その水蒸気で加湿する「スチーム式」。次に、水を振動させてミスト状に噴霧する「超音波式」。最後に、フィルターに水を含ませ、このフィルターに風を当てて加湿するのが「気化式」です。
実は、これら3つの方法には、それぞれメリットとデメリットが存在しています。まずスチーム式と超音波式はパワフルな加湿能力が魅力である一方、パワフルすぎて加湿しすぎてしまい、部屋に結露などの弊害が発生する可能性も。結露は木材の腐食や金属のサビの原因となるほか、カビの原因にもなるので、避けたいところですね。また、ヒーターを使用するスチーム式は電気代が高いうえ、熱い蒸気が吹き出すので、子供のいる家庭ではあまりおすすめできません。超音波式は、タンクの水が汚れて雑菌が繁殖していた場合、雑菌ごとミストにして拡散させてしまう危険があります。気化式は安全性は高いのですが、吹出口の風がやや冷たく、室温が下がる場合もあります。
そこで注目したいのが、二つの方式を複合させ、両者の弱点を補いあう「ハイブリッド式」です。今回使うHD-RX316は、気化式とヒーターを融合させたハイブリッド式。基本構造は気化式ですが、よりパワフルに加湿したい場合は、ヒーターで加熱した風をフィルターに当てて加湿能力をアップします。気化式なのにパワフルで、しかもスチーム式のような熱い蒸気は発生しません。また、気化した水を使用するので、雑菌入りの水を噴霧してしまう危険性もないんです。
【方式を解説した関連動画はコチラ!】
湿度をチェックして自動でコントロール
加湿器のなかには、やみくもに加湿するだけの製品も多いですが、HD-RX316は部屋の湿度をチェックして賢く加湿するのも特徴。乾燥しているときはヒーターを使ってパワフルに、湿度が安定したらヒーターを切って湿度をキープと、自動で湿度をコントロールしてくれるのです。ヒーターをずっと使っていると電気代が多くかかりますが、これを限定的な使用とすることで、電気代が格段に節約できるんです。
もうひとつ注目したいのが「のど・肌加湿」モードを備えている点。気温が低いときは喉や肌が荒れがちですが、湿度を70%などの高めに設定することで、これらの保湿をサポートし、部屋が暖まると湿度を60%程度まで下げてくれるモードです。つまり、喉・肌をベストのコンディションに保つため、自動でコントロールしてくれるわけですね。
コンパクトかつハンドル付きでどこにでも持ち運べる
今回試用したHD-RX316の適用床面積は洋室8畳。このため、リビングで家族全員で使うにはあまり向いていません。ただし、そのぶん本体サイズは325×325×150mmと非常にコンパクト。質量はわずか約3.3kgです。本体上部にはハンドルも搭載されているため、女性でも軽々と部屋から部屋へと持ち運ぶことが可能。このため、我が家では昼は書斎、夜は寝室と、さまざまな場所で大活躍しました。
ちなみに、リビングなどもっと広い部屋で使いたいという場合は、同シリーズのサイズ違いを選ぶのがオススメ。洋室14畳用のHD-RX516(実売価格1万9220円)、洋室19畳用のHD-RX716(実売価格2万2250円)、洋室24畳用のHD-RX916(実売価格2万6780円)も用意しているので、よりパワフルな加湿を求めるならコチラを選ぶといいでしょう。
普通に使っていれば運転に気づかないほど静か
なお、本機は静音性も抜群です。運転音は、耳を近づけてようやく聞こえる程度。たまにタンクの水が移動するとき、微かにコポっという音を立てるのですが、そこで初めて運転していることに気づくという状態でした。この静音性の高さゆえ、寝室で使うのにもピッタリ。さらに「おやすみ加湿」モードを使えば、最初の1時間は静かさを優先して最小運転音の約13dBで運転(これは、近くにいても音が聞こえないくらいの静かさ)。そして、人が寝入った1時間後から「静音」モードでしっかり50%まで加湿してくれます。このため、就寝中に音が気になるといったことは一切ありませんでした。就寝中の静音性もポイントですが、個人的にはテレビを観ているとき、すぐ横に置いて加湿できるのもお気に入り。なんといっても静かなので、テレビや音楽鑑賞などの邪魔になりません。
ちなみに、新潟のダイニチ本社には運転音を調べる技術チームがあるとのこと。夜の7時ともなれば、本社から一切の騒音が消えるそうで、そうなると運転音チームがいそいそと動きだしてデータの採取を開始するそうです。そこまで静かになる本社もスゴイですが、そのような環境でないと測れない運転音もスゴイ。また、そのような環境で鍛えられただけあって、本機の静音性がずば抜けているのも納得ですね。
タンクやフィルター周りのメンテナンスが簡単!
加湿器は水を使うだけに、清潔性は非常に重要。その点、HD-RX316は水タンクはもちろん、フィルター部まで簡単に洗うことができます。水タンクはフタが大きめにデザインされており、女性の手ならスッポリと入るサイズ。なのでタンクの隅まで簡単に掃除ができました。さらに、フィルター部は本体横から簡単に引き出すことができ、各パーツを水でジャバジャバ洗い、しっかり乾かすことが可能です。ちなみに、フィルターは通常ワンシーズンで交換となりますが、クエン酸で洗うことで5シーズンもの連続使用が可能。コストパフォーマンスも抜群ですね。
風邪予防、肌の乾燥対策に欠かせない一台
最近は冷え込みが厳しくなってきたため、エアコンを使用することが多くなりました。いままでは、エアコンを使用すると、乾燥して「喉のイガイガ」「顔のツッパリ感」に悩まされていたものですが、本機を使用してからはまったくありません。起床時も同様、喉がスッキリと通る感覚で、目覚めも爽快。風邪の予防はもちろん、肌の乾燥対策としての実力を実感しています。この快適さを経験したいまとなっては、本機のない冬は考えられません。
ちなみに、人は同じ温度でも湿度が高いと体感温度は高く、湿度が低いと寒く感じます。そのため、冬に湿度を上げることで、エアコンの設定温度を低くして電気代を節約するといった使い方もできるかもしれませんね。加湿器本体の電気代も少ないことですし、今年の冬の電気代がいまから楽しみです。
ダイニチ工業 http://www.dainichi-net.co.jp/
※2013~2015年度(年度=4月1日~3月31日)加湿器 メーカー別数量・金額シェア ダイニチ(全国有力家電量販店の販売実績集計/GfK Japan調べ)
撮影/高原マサキ(TK.c)