米マイクロソフト(以下、「MS」)は先週、チャットAI技術を統合した検索エンジンBingとウェブブラウザーEdgeのアップグレードを発表しました。それに続き、WordやPowerPointなどOfficeアプリにもAI機能を追加する準備を進めているとの噂が報じられています。
テックメディアThe Vergeの情報筋によると、同社は今後数週間のうちに、OpenAI(人気のChatGPT開発元)の技術と自社のPrometheusモデル(ChatGPTの技術を独自に強化したもの)を統合した「生産性向上計画」、つまりOfficeアプリのアップデートを発表する準備を進めているとのことです。
今のところ3月発表を予定しており、同社がOpenAIへの投資を通じて検索と生産性アプリ(Office)をいかに速く改革したかを強調する狙いとされています。これまでMSはOpenAIに多額の資金を投じており、1月末にも今後数年にわたり数十億ドルの投資をすると発表していました。
具体的に、どういう機能がOfficeアプリに追加されるのか? 有料ニュースメディアThe Informationは以前、メールの返信を提案する機能や、Wordでユーザーの文章を改善するほか、Outlookでの検索機能を改善するためにGPTモデル(OpenAIの技術)がテスト中だと報じていました。
またThe Vergeは、MSがPowerPoint用のグラフやグラフィクスの作成支援にも取り組んでいるとも付け加えています。
ほかMSは今月初め、営業担当者向けアプリ「Microsoft Viva セールス」にOpenAI関連のAI技術を搭載し、売り手が自分のニーズに合った選択肢を選ぶだけで営業メールを作れると発表していました。ここに挙げられた機能の数々は、ちょうどMSがOutlookでテストしてきたとされる機能に似ているようです。
なぜ、MSがAI技術と自社アプリの統合をここまで急いでいるのか? やはりThe Vergeの情報筋によると、同社は当初、新しいBing AIを2月下旬に発表する予定だったものの、Googleが同様の発表(Bard)を準備していると察知し、前倒しにしたとのことです。
これまで検索エンジンやAIの分野では、MSはGoogleに遅れを取っている印象がありました。が、今年(2023年)は検索エンジンでも大きく巻き返しつつ、OfficeアプリがAI技術により飛躍的に賢くなるのかもしれません。
Source:The Verge