先日、イーロン・マスク氏は、米OpenAI社の最新チャットAI技術「GPT-4」を超えるAIの開発を少なくとも6か月間、中断するよう呼びかける公開書簡に署名しました。しかしその一方で、マスク氏は大量のGPUを買い込んで生成系AIの開発プロジェクトを進めていると報じられています。
米Business Insiderによると、最近マスク氏は、Twitter社内に残る2つのデータセンターのうち1つで使うために約1万個のGPUを購入したそう。匿名の関係者は、Twitterがデータセンター級のGPUをAI業務に使う予定がなければ、これほどコストを掛ける理由はないだろうと述べています。
このプロジェクトは生成系AIを開発し、Twitterの持つ莫大なデータを使って学習させる見通しとのこと。具体的にどのように活用するかは不明ですが、検索機能を強化したり、広告ビジネスの立て直しを支えたりする可能性があるようです。このニュースが本当であれば、マスク氏がGPT-4以上のAI開発を中断するよう訴えたことも、何らかの意図があったと思われても仕方なさそうです。
マスク氏はOpenAIの共同創設者の1人ですが、最近は同社が利益追求に転換したと声高に批判してきました。「私が1億ドル(約133億円※)を寄付した非営利団体が、なぜか時価総額300億ドル(約4兆円)の営利団体になったのか、いまでもよく分からない。これが合法なら、なぜみんなそうしないんだ」と3月にツイートしたことがあります。
※1ドル=約133円で換算(2023年4月13日現在)
I’m still confused as to how a non-profit to which I donated ~$100M somehow became a $30B market cap for-profit. If this is legal, why doesn’t everyone do it?
— Elon Musk (@elonmusk) March 15, 2023
しかし、米メディアのSemaforによれば、2018年にマスク氏がOpenAIの買収を提案したところ、サム・アルトマンCEOらに拒否されたとのこと。その後にマスク氏は同社の取締役を退任し、約束していた10億ドル(約1330億円)の寄附をストップしたと報じていました。
また昨年末には、マスク氏はOpenAIがTwitterのデータベースにアクセスすることを封じています。マスク氏は自分が誕生に関わったOpenAIと、真っ向から対決するつもりかもしれません。
Source:Business Insider
via:Engadget