パナソニック サイクルテックから、e-bikeの新モデル「XEALT L3」(以下、L3)と「XEALT S5」(以下、S5)が出ました。L3は街乗りに適したライトスポーツバイク、S5はアウトドア向けのオールラウンダーで、それぞれ異なる顔を持っています。では、実際の乗り味はどう違うのか、今回この2台に試乗する機会を得ましたので、その体感をレポートします。
通勤・通学や街乗りに最適なL3
メーカーが「e-bikeの裾野を広げたい」という思いで開発したというL3は、通勤・通学や街乗りに最適なモデルです。一般の電動アシスト自転車にも使われるドライブユニットを採用することで価格を20万円以下に抑えつつ、e-bike向けのチューニングを加えてアシスト力を強化。従来のe-bikeではケイデンスが約50rpm以上になるとアシスト力が落ちてしまうという弱点がありましたが、L3はそれを克服しています。具体的には、80rpmくらいの高ケイデンス域までアシストしてくれるので、早く漕いでいるときにも十分な後押しが得られます。
試乗会では、アップダウンのあるコースが用意されました。L3の特徴を特に実感できたのは、坂道でギアを軽くしてたくさん漕いだとき。通常であれば自然とケイデンスが高くなり80rpmを超えてきますが、踏み込んだときの負荷の軽さはしっかりと維持されていました。乗り心地は起伏に左右されることなく、快適です。
アシストのモードは、HIGH、AUTO、ECO、NO ASSISTの4つ。AUTOモードでは状況に応じてアシストパワーを変え、ECOモードではペダルを漕ぐ力と同等のアシストを行ないます。アシストを受けたときの感覚は、後ろから押されるというよりは、足にかかる負荷が単純に軽くなっているという印象です。走り出しで急にグイッと行くことはないので、安全に乗れるように感じました。なお、ECOモードでも十分なパワーがあるので、急な坂道でもない限り、そのほかのモードは使わずともよさそうというのが筆者の感想です。
L3は車重が20kgに抑えられており、タイヤも太くはないので、NO ASSISTでもある程度軽快に漕ぐことができました。万一のバッテリー切れにも、それほど怯えずに済みそうです。
【XEALT L3 概要】
- フレームサイズ:390 or 440mm
- カラー:4色(マットチャコールブラック、シャインパールホワイト、エアグリーン、ソニックローズレッド)
- 質量:20.0kg(フレームサイズによらず共通)
- タイヤ:700×38C
- バッテリー容量:12.0Ah
- バッテリー充電時間:約4.0時間
- 走行距離:約45km(HIGH)、約58km(AUTO)、約90km(ECO)
- メーカー希望小売価格:19万5000円(税込)
- 発売時期:発売中
アウトドア向けのユーティリティー性が光るS5
アウトドア向けのオールラウンダーであるS5は、街も山も快適に走れるユーティリティー性が特徴です。雨中の走行や、荷物が多いときに備えて、前後のフェンダーやリアキャリアを標準装備しています。
ドライブユニットには、すでに発売済みのマウンテンモデルXEALT M5(以下、M5)と同じGXドライブユニットを搭載。このユニットは、90Nmの高トルクでアシストします。高ケイデンス域でもアシスト力が落ちないのは、L3と同様です。
小柄な人でも取り回しがしやすいよう、タイヤサイズは大きすぎない27.5インチを採用。ただし太さは2.0インチと極太で、高い安定性を発揮します。試乗会で砂山を乗り越えたときにも、地面をしっかり捉えてくれました。ただしタイヤが太いぶん、舗装路を走るときにはL3より明らかに重いので、街で乗り回すぶんにはL3を選ぶのが無難かもしれません。
モニターがカラーになっているのも特徴のひとつ。L3では、ケイデンスと速度を同時に確認することはできませんでしたが、S5ではそれが可能です。アシストモードはL3と同様の4つを搭載しています。
【XEALT S5 概要】
- フレームサイズ:390 or 440mm
- カラー:2色(メタリックダークグレー、レーザーブルー)
- 質量:25.4kg(390mmモデル)/25.5kg(440mmモデル)
- タイヤ:27.5×2.0
- バッテリー容量:13.0Ah
- バッテリー充電時間:約5.5時間
- 走行距離:約75km(HIGH)、約99km(AUTO)、約139km(ECO)
- メーカー希望小売価格:36万8000円(税込)
- 発売時期:7月上旬より順次
XEALTブランドのe-bikeは、マウンテンモデルのM5が先行して発売されていました。今回のL3とS5の発売によって、ラインナップが拡充され、街乗りからアウトドア、スポーツシーンに至るまで、幅広いニーズをカバー。特にL3は通勤・通学の足として、あるいはe-bikeのエントリーモデルとして、高いポテンシャルを持っています。試乗会でこれに乗った筆者も、そのまま乗って帰りたくなるくらい、魅力的な一台でした。