クレジットカードやキャッシュレス決済をより便利でおトクに利用したい、というビギナーの願いを叶えるべく、カードの鉄人・岩田昭男師範が切れ味鋭いアドバイスを送る連載企画。今回は、物価高が続く昨今、その値上がりぶんを少しでも取り返せる高ポイント還元率のカードを紹介します!
【第6回】インフレで増えた出費を少しでも多く取り返せるカードがほしい!
【解説する人】
岩田昭男
クレジットカード分野のオピニオンリーダーとして、30年以上取材・研究に携わる。『あなたの生活をランクアップさせる プレミアムカード』(900円/マイナビムック)など著書・監修書多数。
【今月の悩める子羊】
大極 守(だいこく まもる)
妻と高校生・中学生の2人の子どもと暮らす会社員(44歳)。ここ数年物価高が止まらず、育ち盛りの子どもを抱え、生活のやりくりに苦労している。そこでクレジットカードのポイント還元で物価高に対抗できないかと思い、道場を訪ねた。
食品から光熱費まで何もかも値上げ値上げで、音(ね)を上げそうです!
○ポイント還元率の高いカードを教えてほしい!
○値上がりした光熱費でたくさんポイントが貯まるとうれしい
○年会費が高くてもそれを補って余りある高ポイント還元が期待できるなら加入を検討したい
師範 物価高に対抗できるカードを探しとるのはお前か。
大極 はい。いろんなモノの値段が上がっている影響が家計にも出てきまして。日頃からけっこう節約していますが、近頃は目に見えて出費が増えています。クレジットカードなどのポイントで、少しでも家計の負担を減らせないかと……。
師範 ふむ。物価高に対抗するには、何はともあれポイント還元率が鍵。特に6月からは電気料金が大きく値上がりし、一層の負担になっとる。カード選びでも、電気代や通信費など固定費の支払いでトクできるかに留意すべきじゃ。
大極 具体的にはどんなカードがオススメですか?
師範 注目は、各通信キャリアが発行するゴールドカード。NTTドコモならdカード GOLDじゃな。年会費1万1000円ながら、毎月のドコモのケータイ利用料とドコモ光の利用料1000円(税抜)ごとに10%のdポイントが還元される。ここで注意すべき点はまず、10%ポイント還元の条件がdカード GOLDの「所有」であること(※1)。つまり、dカード GOLDホルダーであれば、支払いを他の還元率1%のカードで行うことで合計11%の還元になるというわけじゃ。
大極 おお、それはおトクな裏技ですね!
師範 注意点の2つ目は、ドコモ光料金の10%還元を受けるのにdカード GOLDとドコモ光回線の紐付けが必要なこと。具体的には2つを紐づけるペア回線の設定が必要じゃ。
3つ目はケータイ利用料についてじゃが、10%還元対象は基本使用料と通話・通信料、付加機能使用料、ドコモの月額課金サービスなどに限られる。通話料と合算払いしたケータイの購入代金やd払い利用額は、10%還元にはならん。
大極 うん、まあ常識的に考えればそうでしょうね。
師範 一方、電気代に関しては、ドコモでんきGreenと契約しその電気代をdカード GOLDで支払うと、電気代(基本料金と従量課金ぶん)の6%がポイント還元される。ただ、ドコモでんきは世界的なエネルギー価格高騰の影響で、現在新規申し込みを一時停止中。当面申し込み再開はなさそうじゃ。
大極 うわー、それは残念! まあそれでも、ケータイ料金とネット回線利用料の10%ポイント還元は魅力です。特にうちは4人家族だし、通話料をまとめて払うと恩恵が大きそう。
師範 おっと、残念ながら10%還元対象は本人の回線ぶんのみ。家族が10%ポイント還元を受けるには家族カードを発行する必要がある。ちなみに18歳未満の子どもは家族カードが持てないので、10%還元も受けられん。
大極 では、妻だけでも家族カードを発行します。
師範 一方、auユーザーと好相性なのがau PAY ゴールドカードで、au携帯電話、auひかりの利用料支払いについて、同カード所有で利用額1000円(税抜)につき100ポイント、決済100円につき1ポイント、合計最大11%ぶんのPontaポイントが貯まる。
家族が通話料で10%ポイント還元を受けるにはau PAY ゴールドカードの家族カードが必要なこと、20歳未満はゴールドカードの家族カードが作れないことなどは、先のdカード GOLDと同条件。ケータイの購入代金やau IDを使ったショッピング代金の通話料合算払いが10%ポイント還元対象にならないのも同じで、年会費も1万1000円じゃ。
大極 au PAY ゴールドカード1枚で11%還元なのはわずかに有利と言えるかもしれませんね。
師範 電気代とガス代に関しては、auでんき・都市ガス for auに契約すると、利用額100円につき1ポイントの通常還元に、利用額100円につき2ポイントのゴールドカード特典が付き、合計最大3%還元となる。なお、auでんきは一部エリアで新規申し込み一時停止となっており、ほかのエリアもいつ停止になるかわからん。
大極 希望者は迷わず、早めに申し込むほうが良さそうですね。
師範 楽天グループにも楽天プレミアムカードという上級カードがあるが、楽天カードでも十分おトク。楽天市場にはSPU(スーパーポイントアッププログラム)というポイントアッププログラムがあり、楽天のサービスをより多く使うほど、楽天市場での買い物でポイントがより多く貯まる。
例えば、楽天モバイルのRakuten最強プランを契約しているダイヤモンド会員ならポイントが+3倍、楽天カード所有者は楽天カード通常ぶんと特典ぶんで合計+2倍、楽天銀行の口座で楽天カードの引き落としを行い、かつ給与、ボーナス、年金を受け取ると+1倍と、ここまでで楽天市場での買い物で+6倍のポイント還元率になる。一方、年会費1万1000円の楽天プレミアムカード所有で得られるポイントアップ特典は+2倍と、高還元率を狙う者にはややおトクさに欠ける感が否めん。
大極 楽天プレミアムカードには楽天モバイルの通話料が10%還元されたりしないんですか?
師範 そういう特典はないが、楽天市場以外でも楽天証券の投信積立など複数のグループサービスでのポイント還元アップがある。その意味で、他の大手キャリアとは一線を画しとる。
ちなみに、ソフトバンクユーザーならオススメはPayPayカード ゴールド。年会費1万1000円で、ソフトバンクのスマホの通信料などの10%、ソフトバンク光/Airの利用料の10%、ソフトバンクでんきの利用料の3%相当のポイントが貯まる。合算払いした端末購入代金やショッピング代金が10%還元の対象外などの条件はドコモやauと同じ。ソフトバンクでんきの新規受付は一部WEBのみというエリアもあるが、現状受付停止にはなっとらん。
なおPayPayは、このところサービスの見直しが続いとる。要はPayPayカード/PayPayカードゴールドへの囲い込みを強化していて、すでに同カードを持っているユーザーはよりおトクにPayPayを利用できるぞ。すでに他にメインで貯めているポイントがある場合は、PayPayとの紐付けについては事前にしっかり検討するのがよかろう。
【今月の注目カード】
ケータイ利用料や回線/プロバイダ契約料でのポイント還元をはじめ特典満載のおすすめカード
NTTドコモ
dカード GOLD
持っているだけで(※1)ドコモのケータイ/ドコモ光の利用料金の10%相当がポイント還元。ギガホ・ギガホライト・ahamoに契約する同カード会員は、ドコモでんきGreen(※2)の電気料金の6%がポイント還元されます。
購入から3年間最大10万円ぶんのケータイ補償も付帯。国内・ハワイの主要空港のラウンジが無料で利用できるほか、海外で最大1億円、国内で最大5000万円の旅行傷害保険が自動付帯され、航空機の欠航・遅延も補償されます。前年のカード決済による買い物累計額が100万円以上で1万1000円、200万円以上で2万2000円相当のクーポンがもらえ、さらにおトクです。
国際ブランド | Visa/Mastercard |
ポイント還元率 | 1%(dポイント) |
年会費 | 1万1000円 |
※1:7月1日より提供開始したeximoプランを契約の場合は、 携帯料金の支払いをdカード GOLDに設定(定期クレジット設定)した場合に10%ポイント還元となります。なお、現在は期間限定の特典として、定期クレジット設定なしでも進呈率UPボーナスとして10%ポイント還元しています。詳しくは、こちらをご確認ください。
※2:「ドコモでんき」は新規申し込みを一時停止中
au携帯電話料金のカード払いで、11%ぶんのポイントが貯まる!
auフィナンシャルサービス
au PAY ゴールドカード
同カードでの支払いで毎月のau携帯電話利用料の10%をポイント還元、通常ポイント1%と合わせて最大11%還元を受けられるカード。auでんき・都市ガスfor auの利用料を同カードで支払うと、通常ポイント1%+ゴールドカード特典2%の、合計最大3%相当のポイント還元が受けられます。
au PAY マーケットでの買い物では最大9%相当をポイント還元(※2)。海外旅行で最大1億円、国内旅行で最大5000万円の傷害保険が自動付帯され、国内の主要空港とハワイのダニエル・K・イノウエ国際空港ラウンジを無料で利用できます。
国際ブランド | Visa/Mastercard |
ポイント還元率 | 1%(Pontaポイント) |
年会費 | 1万1000円 |
※2:支払い方法に「au PAY カード」を選択して利用すると1.5%、「au PAY ゴールドカード」の利用で2%、au PAY マーケット内店舗からのポイント1%の合計4.5%を常時還元。これに毎月1000円以上の電子書籍購入による1%還元などを加算、全条件達成で9%還元となります
楽天市場での買い物のほか街中の買い物でもどんどんポイントが貯まる!
楽天カード
楽天カード
楽天市場など楽天グループの各種サービス利用や普段の買い物でポイントがどんどん貯まる年会費永年無料のカード。楽天市場で同カードを使って買い物すると100円につき3ポイントが還元されます。楽天カードから楽天ペイアプリにチャージし楽天ペイ(楽天キャッシュ)で買い物すると合計1.5%相当のポイントを獲得。
楽天Edy機能(選択可能)と楽天ポイントカード機能も搭載しています。最大2000万円、傷害・疾病治療時最大200万円の海外旅行傷害保険(利用付帯)が付くのも魅力です。
国際ブランド | Visa/Mastercard/JCB/American Express |
ポイント還元率 | 1%(楽天ポイント) |
年会費 | 永年無料 |
スマホ利用料・プロバイダ契約料の10%、電気料金支払いでも3%相当のPayPayポイントが貯まる!!
PayPayカード
PayPayカード ゴールド
カード決済時にソフトバンクの通信料の最大10%、ワイモバイルなら最大3%のPayPayポイントを付与(※3)。ソフトバンク光/Airの利用でも利用料の10%のPayPayポイントが付与されるほか、ソフトバンクでんきと契約すると利用料の3%相当のPayPayポイントが付与されます(※3)。通常の買い物の際は、事前に「PayPayあと払い」への登録をしておけば、カード決済でもPayPayあと払いでも、PayPayステップによる1~1.5%ぶんのPayPayポイントが付与されます。
さらに「PayPayカード ゴールド」ならゴールドカード特典0.5%が加算され最大2%付与に。海外最大1億円(自動付帯)、国内最大5000万円(利用付帯)の旅行保険が付き旅行の際も安心。国内・ハワイの主要空港ラウンジサービスも付帯されます。Yahoo!プレミアムの全特典も無料で使い放題です。
国際ブランド | Visa/Mastercard/JCB |
ポイント還元率 | 1.5%(PayPayポイント) ※PayPayカード ゴールドの付与率 |
年会費 | 1万1000円 |
【もっと詳しくなるためのキーワード解説】
ペア回線
dカード GOLDに登録しているドコモケータイの契約者名義とドコモ光インターネット回線の契約者名義を同一にすること。ペア回線を設定しておくと、ドコモ通信料・ドコモ光契約料の10%ポイント還元のほか、ドコモとドコモ光のセット割が利用でき、ギガホ プレミアやギガライトなら毎月最大1000円、カケホーダイやパケあえるなら毎月最大3850円の割引が受けられます。
すでにドコモケータイを契約していてドコモ光を新規契約する場合は、申し込み時にペア回線の対象にしたい携帯電話番号を登録すればOK。ドコモケータイもドコモ光もすでに開通していて、新たにペア回線登録する場合は、dカード GOLDデスクへの電話やドコモショップで手続きを行います。dカード GOLDの「ペア回線」に限らず、ケータイ通話料やインターネット接続サービスなどでのポイント還元特典を受けるには、各サービスの情報連携が不可欠です。
ダイヤモンド会員
楽天会員は「ダイヤモンド」「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」「レギュラー」の5段階の会員ランク制度を設けており、ランクごとに異なる特典が提供されます。ダイヤモンド会員の条件は、過去6か月間でポイント獲得数が4000ポイント以上、ポイント獲得回数が30回以上であることと、楽天カードを持っていること。
ダイヤモンド会員にはランク1年キープでプレゼントが当たるほか、限定のポイントキャンペーンに参加できる豪華特典や、毎月18日に楽天市場での買い物時のポイントが合計4倍(要エントリー)になるなどの特典が与えられます。
サービスの見直し
PayPayはこの夏同社サービスを大幅に見直します。まず7月1日からは、PayPayステップの達成条件である支払い回数30回のカウント条件が「300円以上」から「200円以上」に“改善”される一方、PayPayステップのポイント付与が従来の「支払い金額×1.5%(小数点以下切り捨て)」から「支払い200円ごとに3ポイント還元」となり、200円に満たないぶんは切り捨てに。
さらに、「ソフトバンク・ワイモバイル まとめて支払い」によるPayPay残高へのチャージも、9月1日から毎月2回目以降のチャージには2.5%の手数料がかかることになりました。ユーザーが今後これにどう反応するかが注目されます。
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構成/佐伯尚子 文/平島憲一郎 監修/岩田昭男