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クレカ
2023/1/24 6:30

クレカで気候変動対策?2023年ならではの「クレジットカード&決済システム」とは?

クレジットカードやキャッシュレス決済に関する“ビギナー”の悩みにクレカの鉄人・岩田昭男師範が答える「クレカ『錬金』道場」が雑誌GetNaviからGetNavi webへお引越し。記念すべき移転第1回は、2023年に注目すべき、クレカと決済の動向について解説します!

【第1回】2023年ならではの、ワクワクできるクレジットカードが知りたい!

 

【解説する人】

岩田昭男

クレジットカード/キャッシュレス決済分野の取材・研究に30年以上携わるオピニオンリーダー。近著に『キャッシュレス・マガジン 2023 Winter – Spring』(900円/ マイナビムック)』がある。

 

【今月の悩める子羊】

宗河 鷹也(むねかわ たかなり)

都内在住の独身会社員(33歳)。2023年を迎え、新しいクレジットカードを持ちたいと考えている。ついては、使うとワクワク感のあるカードや、利便性が圧倒的に高いカードなどの情報を知りたく、道場を訪れた。

 

今年は、使って楽しい刺激的なカードを持ちたいですね!

○ポイント還元だけじゃないワクワク感のあるカードを持ちたい

○できれば年会費無料のカードがいい

○2023年のクレジットカードやキャッシュレス決済のトピックも教えて!

師範  年が変わってクレジットカードも新しいものを持ちたいというのはお主か?

 

宗河  はい。高ポイント還元率のカードはもちろん有益ですが、もっとワクワク感のあるカードもほしいなと思いまして。

 

師範  ワクワクするカードと言えば昨年、独自のコンセプトを持つクレジットカードがいくつか登場しとるぞ。まず、SAISON CARD Digital for becozは「気候変動対策」がテーマの1枚。個人のCO2排出量を可視化するサービス「becoz wallet」に決済データを自動連携し、カード利用履歴に基づくCO2排出量を確認できる。例えば「鉄道移動よりも飛行機移動の方がCO2排出量が多い」というのが具体的な数値で示されるんじゃ。

 

宗河  そんなのを見ると「今回は鉄道でゆっくり旅をしてみるかな」という気にもなりますね。

 

師範  さらに「becoz wallet」経由でカーボンクレジットを購入し、個人のカーボンニュートラル達成のためのオフセットも行える。

 

宗河  国や企業がやってることを個人でもやるってことか。これはクレジットカードを使う意識がまったく変わりますね。おもしろい!

 

師範  メルカリが昨年11月に発行を開始したメルカードは、カードにリサイクル素材を採用。メルカリでの購入にメルカードや後払い決済サービスの「メルペイスマート払い」を利用すると、最大4%ポイント還元される。還元率はこれまでのメルカリやメルペイの利用実績などで決定。このカードがおもしろいのは、メルカリでのモノの売買を「サステナブルな行動」と定義していることで、これにより「社会貢献」と「おトク」が結びつくんじゃ。

 

宗河  世の中のためになってポイントも多く貯まるなら文句なしです! ちなみに2023年に注目の動きってほかに何かありますか?

 

師範  ひとつはBNPLがますます普及しそう。ペイディなどが台頭し、ECサイトでもクレカなしで後払いが可能になった。ちなみに「ペイディあと払いプランApple専用」を登録するとiPhone14シリーズが最大36回、ほかのApple製品も最大24回手数料なしで分割払いできる。Amazon.co.jpでも手数料無料の6回分割払いが可能じゃ。

 

宗河  最新iPhoneはかなり値上がりしたけど、36回払い可能なら思い切って買っちゃおうかな。

 

師範  さらに2023年は首都圏でも鉄道でのタッチ決済の実証実験が開始。夏に東急電鉄がVisaなどのクレジットカードでのタッチ決済とQRコードを使った乗車券サービス試験を始める。サイト上で企画乗車券を事前購入し、タッチ決済対応のクレカまたはスマホに表示されたQRコードを改札機にかざせば通過できるそうじゃぞ。

 

宗河  私はSuicaで特に不便は感じませんが、海外からの旅行客だったら手持ちのクレカでそのまま電車に乗れて便利ですね。

 

師範  そもそもクレカのタッチ決済に利用されるNFCチップは従来Suicaなど交通系ICに搭載のものより処理速度が遅く、JR新宿駅など1日の利用者数が莫大な駅では使えなかったが、最新技術で処理速度も高速化。一方、現時点でQRコードは読み取り精度にやや心配が残る。QRコードを使う自動改札機は2024年下期からJR東日本管内で順次導入予定。それまでに読み取り精度の向上が不可欠じゃ。

 

【今月の注目カード】

CO2排出量を可視化し生活に“環境価値”という視点を提案するカード

クレディセゾン

SAISON CARD Digital for becoz

カード決済データを元に個人のCO2排出量を算定するアプリと連携し、カーボンニュートラルなライフスタイルをサポートするコンセプトカード。専用アプリ上に発行するデジタルカードで、プラスチックカードは発行しません。

国際ブランドMastercard
ポイント還元率0.5%(永久不滅ポイント)
年会費無料

 

メルカリ、メルペイでの利用実績に応じてメルカリでの還元率が最大4%に!

メルカリ

メルカード

メルカリ、メルペイでの利用実績をもとに、メルカリでの購入で最大4%還元! カード決済とメルペイの後払い(iD決済、コード決済)でポイントが付与されます(※)。メルカリ以外の還元率は1%。アプリ連動で決済後すぐ利用通知が届き、不正使用を防止できるのも魅力です。

※:「メルカード」保有者が還元の対象

国際ブランドJCB
ポイント還元率1〜4%(メルカリポイント)
メルカリ以外での還元率は1%、メルカリでの購入は最大4%となる
年会費無料

 

事前登録なしにメアドと携帯番号での認証だけで後払いできる決済サービス

Paidy

ペイディ

ECサイトでの支払いを翌月まとめて後払いにできるBNPLサービス。事前登録不要で、メールアドレスと携帯電話番号による認証だけで買い物できます。専用アプリで本人確認すれば、分割手数料無料の「3回あと払い」に加え、Visa加盟店で使える「ペイディカード」が利用できます。

支払い方法コンビニ払い/銀行振り込み/口座振替
事前登録不要(ペイディカードを作るにはアプリ上で本人確認が必要)
分割払いペイディアプリで本人確認すると3回分割の手数料が無料(銀行振り込み、口座振替のみ分割手数料無料、Amazonなら手数料無料の6回分割払いも利用可能)

 

【もっと詳しくなるためのキーワード解説】

カーボンクレジット

森林保護や植林、太陽光発電推進などにより生み出したCO2の削減量をクレジット(排出権)として発行・販売する仕組み。企業はどうしても削減しきれないCO2排出をこのクレジット購入で相殺し、CO2排出量“実質ゼロ”、つまり「カーボンニュートラル」を実現できます。「becoz wallet」はこれを個人でも行えるサービスを展開。日本の森林保全・省エネルギー・再生可能エネルギーのクレジットから選んで相殺できます。

 

BNPL

デジタル後払い決済を指す用語で「Buy Now Pay Later」の略。独自の与信審査をしており、登録後はすぐに利用開始できます。手数料無料で分割払いも可能。海外ではコロナ禍をきっかけにBNPLが急成長。日本でもPaidyやGMOペイメントゲートウェイ、メルペイなどがBNPLサービスを提供しており、決済手段にBNPLを選べるECサイトも増えています。

 

NFCチップ

「TypeA/B」規格のNFCチップ搭載のタッチ決済対応クレジットカードは海外では交通機関利用にも使えますが、処理速度の基準は0.5秒以内。Suicaなど「FeliCa」規格を採用した交通系ICカードの処理速度0.2秒以内と比べるとかなり遅めです。そこで交通機関向けの新システムでは改札での処理内容を簡略化。タッチ決済対応クレカでも0.25~0.3秒の処理速度を実現しています。

 

QRコードは読み取り精度にやや心配が残る

JRなどの各交通機関がQRコード対応自動改札機の導入を検討しているのは、磁気切符からQRコードへの置き換えを狙ったもの。磁気切符を処理する自動改札機のメンテナンスコストは大きく、QRコード導入でそれを大幅削減できます。その際に課題となるのがQRコードの読み取り精度で、スマホの輝度や画面をかざす角度により即座に読み取れない場合も多いようです。

 

構成/佐伯尚子 文/平島憲一郎 監修/岩田昭男