オランダのごみ捨て場は、ごみ箱は地上にありますが、ごみ自体は地下に収納される形になっています。外からごみが見えないため景観も良く、臭いに悩まされることもなく、日本のようにカラスなどにごみ袋を荒らされる心配もありません。ごみ捨て場の課題を解決できる、オランダの画期的なごみ収集方法を紹介します。
景観を乱さず、臭わない
首都アムステルダムやロッテルダムのような都市では、ごみ捨て場に設置されたごみ箱が地下の収納庫とつながっています。地上のごみ箱にごみ袋ごと捨てると、そのまま地下に収納される仕組み。
地下に隠れている収納部分は深さ2メートルほどあり、収集員は収集車のクレーンを使って、ごみ箱ごと地下から引き揚げてごみ袋を回収。このシステムは自動化されているため、収集員は一人で済みます。日本のように複数の収集員が手作業で行う必要がないので、効率的なうえ人員不足も解消できます。
オランダがこのシステムを導入している理由としては、合理性や景観を重視する国民性が挙げられます。オランダのごみ収集は、住民にとっても効率的なのです。
まず、ごみ回収箱の種類は燃えるごみやプラスチックなどの普通ごみと、ビン類、紙類のみで、日本のように細かく分別されていません。細かい分別は住民ではなく、ごみ収集所で行うのです。
また、地下収納のため、日本のようにごみ捨ての時間や曜日が限定されておらず、いつでも捨てることが可能。ごみ収集車が来るのも週2回ほどで、分別回収が必要な日本のように、ほぼ毎日ではありません。
日本ではきちんと分別していないごみは回収されないこともあり、放置されたごみが溜まってしまうこともあります。景観に悪く、周辺の住民も迷惑しますが、そもそもオランダでは「収集拒否」という考え方がないので、そういったトラブルは発生しません。
また、オランダでは多様な人種が住んでいるため、日本のような分別ルールを住民に同じように課す仕組みを運用するのは難しいという事情もあるかもしれません。それよりも、ごみ収集所で分別するほうが、はるかに合理的であり、景観も守られます。
このようなオランダのごみ収集方法は、ごみにまつわる住民の不便さや問題を解消できる画期的なシステムと言えるでしょう。日本も取り入れることができたら、住民のストレスやトラブルの軽減につながると思われます。
執筆/Etsuko Iwahori