ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす! 「ランニングシューズ戦線異状なし」
2023「サロモン」夏の陣②「ウルトラ グライド 2」の巻(前編)
ランニングのシーズンは、10月から3月。夏の弛緩した空気が引き締まる秋から、心地よく走る季節が始まり、空気が冷えてタイムも上がってくると、レースも本格化する。ということで暑い夏は、ランナーと言えども、プールで泳いだり、風を切って自転車に乗ったり、涼しい高原でワチャワチャしていたい季節なのである。
ということで、本ランニングシューズのインプレ連載も、今回はリゾート気分で高原を駆け抜けるトレランシューズにフォーカス。そのトレランのトップブランドと言えば、フランスが生んだサロモン(Salomon)である。
サロモンは、1992年にトレランやMTB、カヤックなどを組み合わせたアウトドアの複合競技であるアドベンチャーレースのための専用シューズを開発。以降サロモンは、徹底した“ライト&ファスト”な製品づくりを通じて、トレランカルチャーを牽引し続けてきた。
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それは“滑るように”、“ウルトラ長く走れる”トレランシューズ⁉
「サロモンのシューズ作りには“ライト&ファスト”が徹底されています。軽量であれば速い移動が可能ですし、履く人のパフォーマンスの低下も軽減できます。時間を短縮できれば、行動中の食料や水なども必然的に減らせるので、ザックなどもコンパクトにできます。ゴールに早く着いて観光することも、さらに先まで進むことも可能になります」
と語るのは、前回もご登場いただいた、サロモンのイケメンMD(マーチャンダイザー)山村 拓さん。ロケ地も同じく、八王子・高尾山の麓にある、サロモンのマウンテンスポーツカテゴリーのコンセプトショップ「TAKAO MOUNTAIN HOUSE」からお届けする。
山村さんが、GetNavi web読者のために、ビギナーにもお薦めのトレランシューズとして紹介してくれたのが「ウルトラ グライド 2」。ウルトラ グライド 2の“ウルトラ”は、100㎞や160㎞(100マイル)のウルトラ長いレースにも対応するタイプという意味。シューズを横から見ると、ソールの形状が揺りかごのようなロッカー構造になっていて、滑る(Glide)ように進むことから、“グライド”という命名となっている(2は、その二代目!)。
ゴツい印象のトレランシューズながら、重量わずか260g!
「ウルトラ グライド 2にも、サロモンの“ライト&ファスト”は結実されています。ミッドソールには、衝撃吸収性に富んだEVA素材に、反発性の高いオレフェンを配合した『エナジーフォーム』という軽量素材を使用しています」(山村さん)
ゴツいイメージのトレランシューズだが、重要はわずか260g(27㎝片足)。エナジーフォームは、軽量ながら着地衝撃へのレスポンスが高く、トレランシューズに求められる、前後だけでない左右などの動きや、絶えず変わる歩幅にもクイックに反応するという。
また、アウトソール(靴裏)には、粘着性が高く、ラグ(凸部)を付けた「コンタグリップ」と呼ばれるサロモン独自のラバーを搭載している。ウルトラ グライド 2のコンタグリップには、乾いた岩や泥、木の根、濡れた岩などにも対応するオールテレインタイプを採用しているという。
「コンタグリップとミッドソールとのシナジーで、衝撃を吸収しながら推進力に換え、確実に路面をグリップするので、走破性が格段に良くなっています。日本やヨーロッパなどの、急峻で複雑な地形に刻まれたトレイルで求められる、細かいステップや足さばきにも、ウルトラ グライド 2は十分に対応できます」(山村さん)
「長距離のトレイルでも軽快に走れるシューズですので、ウルトラ グライド 2は、コアな方だけでなく、トレラン初心者の方にもおすすめできる一足です。足を入れた履き心地の良さである、フィット性に富んだアッパーも“ライト&ファスト”には欠かせません」(山村さん)
足首回りのフィット性は、足の甲に当たる部材であるシュータン、そしてかかとを包み込むヒールカップが大きく左右する。下の写真のように、ウルトラ グライド2の足首回りはリッチそのもの。シューズに足を入れただけでも、ふんわり、すっぽりと包み込んでくれる。
アッパーに搭載されシューレース(靴ひも)の機構は、ザ・サロモンとも言うべき逸品。ワイヤ―を引いてストッパーで止めるため、締め上げが均一化できる(サロモンでは「クイックレース」と呼んでいる)。
さらに、サロモンが誇る「センシフィットテクノロジー」が、シューレースの締め上げに連動して、手のひらで足を包み込むようにアッパーと足をフィットさせる。トレラン初心者のたおやかな足にも、100マイル先のゴールを目指すトレラン猛者の足にも、等しく優しく接してくれるのだ。
次回は、いよいよ「ウルトラグライド2」を実走!
初心者から、ウルトラロングな100マイルのトレランレースまで対応するというウルトラグライド 2。ということで後編では、ウルトラグライド 2を実際に、履いて、歩いて、上って、下って、走って、ジャバジャバしたりする。
普段の本連載とは、ちょっと違う評価法を採るのは、トレランシューズを目的や走力に応じた速度で評価するのが適切ではないから。なので、路面状況に応じたシューズの反応を中心にレビューを行う予定だ。本連載初のトレランシューズのレビュー、ウルトラ グライド 2の威力や如何に!
撮影/中田 悟
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