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2023/7/27 20:00

2023年夏のトレラン入門者向け、サロモンおすすめのトレランシューズ!/大田原 透の「ランニングシューズ戦線異状なし」

ギョーカイ“猛者”が走って、試して、書き尽くす! 「ランニングシューズ戦線異状なし」

2023「サロモン」夏の陣②「ウルトラ グライド 2」の巻(前編)

 

ランニングのシーズンは、10月から3月。夏の弛緩した空気が引き締まる秋から、心地よく走る季節が始まり、空気が冷えてタイムも上がってくると、レースも本格化する。ということで暑い夏は、ランナーと言えども、プールで泳いだり、風を切って自転車に乗ったり、涼しい高原でワチャワチャしていたい季節なのである。

 

ということで、本ランニングシューズのインプレ連載も、今回はリゾート気分で高原を駆け抜けるトレランシューズにフォーカス。そのトレランのトップブランドと言えば、フランスが生んだサロモン(Salomon)である。

 

サロモンは、1992年にトレランやMTB、カヤックなどを組み合わせたアウトドアの複合競技であるアドベンチャーレースのための専用シューズを開発。以降サロモンは、徹底した“ライト&ファスト”な製品づくりを通じて、トレランカルチャーを牽引し続けてきた。

↑「ウルトラ グライド 2(ULTRA GLIDE 2)」1万9800円(税込)。サイズ展開:メンズ25.0~28.5㎝、ウィメンズ22.0~25.0㎝。カラー展開:メンズ4色、ウィメンズ4色。ソール厚:前足部26mm /かかと32mm。ドロップ(踵と前足部の高低差):6㎜。重量:260g(27㎝片足)

 

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それは“滑るように”、“ウルトラ長く走れる”トレランシューズ⁉

「サロモンのシューズ作りには“ライト&ファスト”が徹底されています。軽量であれば速い移動が可能ですし、履く人のパフォーマンスの低下も軽減できます。時間を短縮できれば、行動中の食料や水なども必然的に減らせるので、ザックなどもコンパクトにできます。ゴールに早く着いて観光することも、さらに先まで進むことも可能になります」

 

と語るのは、前回もご登場いただいた、サロモンのイケメンMD(マーチャンダイザー)山村 拓さん。ロケ地も同じく、八王子・高尾山の麓にある、サロモンのマウンテンスポーツカテゴリーのコンセプトショップ「TAKAO MOUNTAIN HOUSE」からお届けする。

↑今回お話を伺った、サロモンの山村 拓さん(右)。日本での展開商品の選定やプロモーションをマーケチームと連携して行う。トレランはもちろん、アウトドアスポーツとサッカーを愛するイケメンMD。左は、渋面エディターの筆者

 

山村さんが、GetNavi web読者のために、ビギナーにもお薦めのトレランシューズとして紹介してくれたのが「ウルトラ グライド 2」。ウルトラ グライド 2の“ウルトラ”は、100㎞や160㎞(100マイル)のウルトラ長いレースにも対応するタイプという意味。シューズを横から見ると、ソールの形状が揺りかごのようなロッカー構造になっていて、滑る(Glide)ように進むことから、“グライド”という命名となっている(2は、その二代目!)。

↑GetNavi web読者にすすめてくれたサロモンシューズ2足。左は、今回紹介するトレラン用の「ウルトラ グライド 2」。右はロードラン用の「エアロ グライド」。いずれも同じ、軽量にして衝撃吸収性と反発性に富んだミッドソール「エナジーフォーム」を搭載している

 

ゴツい印象のトレランシューズながら、重量わずか260g!

「ウルトラ グライド 2にも、サロモンの“ライト&ファスト”は結実されています。ミッドソールには、衝撃吸収性に富んだEVA素材に、反発性の高いオレフェンを配合した『エナジーフォーム』という軽量素材を使用しています」(山村さん)

 

ゴツいイメージのトレランシューズだが、重要はわずか260g(27㎝片足)。エナジーフォームは、軽量ながら着地衝撃へのレスポンスが高く、トレランシューズに求められる、前後だけでない左右などの動きや、絶えず変わる歩幅にもクイックに反応するという。

↑ウルトラ グライド 2は、靴底が揺りかごのようなアールを描くロッカー構造。このロッカー構造で得られる“滑るような”乗り味が名称となっている。ミッドソールの「エナジーフォーム」(白い部材)は、衝撃吸収性に優れたEVAをベースに、オレフェンの配合比率で反発性をコントロールしている

 

また、アウトソール(靴裏)には、粘着性が高く、ラグ(凸部)を付けた「コンタグリップ」と呼ばれるサロモン独自のラバーを搭載している。ウルトラ グライド 2のコンタグリップには、乾いた岩や泥、木の根、濡れた岩などにも対応するオールテレインタイプを採用しているという。

 

「コンタグリップとミッドソールとのシナジーで、衝撃を吸収しながら推進力に換え、確実に路面をグリップするので、走破性が格段に良くなっています。日本やヨーロッパなどの、急峻で複雑な地形に刻まれたトレイルで求められる、細かいステップや足さばきにも、ウルトラ グライド 2は十分に対応できます」(山村さん)

↑前足部のラグ(凸部)たちは、傾斜に噛んで滑らないようにデザインされている。赤のコンタグリップマークの真下のラグは、他のラグに比べて僅かに高く、硬度も持たせており、下りの際のスリップを防ぐ配置になっているという。一体成型で実現させる製法は、企業秘密だとか

 

「長距離のトレイルでも軽快に走れるシューズですので、ウルトラ グライド 2は、コアな方だけでなく、トレラン初心者の方にもおすすめできる一足です。足を入れた履き心地の良さである、フィット性に富んだアッパーも“ライト&ファスト”には欠かせません」(山村さん)

 

足首回りのフィット性は、足の甲に当たる部材であるシュータン、そしてかかとを包み込むヒールカップが大きく左右する。下の写真のように、ウルトラ グライド2の足首回りはリッチそのもの。シューズに足を入れただけでも、ふんわり、すっぽりと包み込んでくれる。

↑ウルトラ グライドを含めたサロモンのトレランシューズのアッパーの最大の特徴は、非対称のシュータン(甲に当たる部材)。枝や岩に当たりやすく、砂や泥が入りやすい外側が広く、ねじれからも保護してくれる(内側は、ふっかふか!)。足首回りのクッションも、ふっかふか!

 

アッパーに搭載されシューレース(靴ひも)の機構は、ザ・サロモンとも言うべき逸品。ワイヤ―を引いてストッパーで止めるため、締め上げが均一化できる(サロモンでは「クイックレース」と呼んでいる)。

 

さらに、サロモンが誇る「センシフィットテクノロジー」が、シューレースの締め上げに連動して、手のひらで足を包み込むようにアッパーと足をフィットさせる。トレラン初心者のたおやかな足にも、100マイル先のゴールを目指すトレラン猛者の足にも、等しく優しく接してくれるのだ。

↑サロモンのトレランシューズのシューレース(靴ひも)は、ワイヤーを引いてストッパー(黒い部材)で止める「クイックレース」が採用されている。止めたワイヤーとストッパーは、左の靴のようにシュータン上部のポケットに格納できる。オレンジの部材は、センシフィットテクノロジーに連動しており、ワイヤーを引くことで、足全体を手で包み込むようにホールドされる

 

次回は、いよいよ「ウルトラグライド2」を実走!

初心者から、ウルトラロングな100マイルのトレランレースまで対応するというウルトラグライド 2。ということで後編では、ウルトラグライド 2を実際に、履いて、歩いて、上って、下って、走って、ジャバジャバしたりする。

 

普段の本連載とは、ちょっと違う評価法を採るのは、トレランシューズを目的や走力に応じた速度で評価するのが適切ではないから。なので、路面状況に応じたシューズの反応を中心にレビューを行う予定だ。本連載初のトレランシューズのレビュー、ウルトラ グライド 2の威力や如何に!

↑今回のロケ地は、サロモンブランドのコンセプトショップ、東京・八王子の「TAKAO MOUNTAIN HOUSE」。京王線高尾山口駅から、高尾山ケーブルカー清滝駅に向かう小径沿い、年間300万人の観光客が通るというフィールドに直結したショップだ。次回は、高尾山の山中よりお届けしよう!

 

撮影/中田 悟

 

 

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