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2023/9/14 20:25

iPhone 15シリーズと新Apple Watchハンズオン! 今年はどのモデルがおすすめ?

アップルがカリフォルニアの本社Apple Parkで開催したスペシャルイベントにおいて、2023年モデルのiPhone 15シリーズやApple Watch Series 9など注目の新製品を発表しました。ここでは、イベントの模様を振り返りながら、各新製品を体験した筆者のファーストインプレッションをレポートします。

↑アップルの米国本社Apple Parkで開催された新製品発表イベントを現地で取材しました

 

世界中からジャーナリストがApple Parkに集結

6月にアップルが開催した世界開発者会議「WWDC 23」以来、筆者にとって今年2度目のアップル本社での取材となりました。今回iPhoneやApple Watchの発表会は本社敷地内の特別な施設であるSteve Jobs Theaterの大ホールで開催されました。

↑カンファレンス開幕前のSteve Jobs Theater

 

↑Steve Jobs Theaterに登壇したティム・クックCEO

 

スペシャルイベントはオンラインでも配信されましたが、現地では冒頭にアップルのティム・クックCEOがステージに立ち、「アップルの仲間たちと共につくった素晴らしいプロダクトを、今回もみなさんに紹介できることをとてもうれしく思う」とスピーチ。アップルはコロナ禍以降、対面開催のイベントステージは現地に招待された参加者も同時配信されるオンラインストリーミングの動画を着席して観るスタイルでそろえています。今後もしばらくこの形式が定着しそうです。

 

ただ、ステージのプレゼンテーションが動画であっても、エキサイティングな発表があった際には都度、スクリーンに向かって大きな歓声があがるところが「さすがアメリカ!」と、感じるところです。

 

カンファレンスの終了後は、同じSteve Jobs Theaterに設けられたハンズオンエリアでのプロダクト体験が待っています。アップルの新製品にいち早く触れる機会とあって、招待されたジャーナリストも気分が高揚する楽しい時間です。

↑iPhoneのハンズオンエリアに大勢のジャーナリストが押し寄せてきます

 

値上げしたiPhone 15シリーズ

今秋のスペシャルイベントで登場したのは、iPhone 15シリーズ、iPhone 15 Proシリーズ、ならびにApple WatchのSeries 9とUltra 2などです。プレスリリースではワイヤレスイヤホンのAirPods Proも発表されましたが、ハンズオンエリアに展示はありませんでした。

 

iPhone 15シリーズは6.1インチの「iPhone 15」と6.7インチの「iPhone 15 Plus」の2機種。昨年登場した大きめのPlusが今年も継続された格好です。ストレージ容量が最も少ない128GBのモデルはiPhone 15が12万4800円(税込)から、iPhone 15 Plusは13万9800円(税込)から。2022年モデルのiPhone 14シリーズから5000円ほど値上がりしています。

↑左が6.7インチのiPhone 15 Plus、右が6.1インチのiPhone 15

 

iPhone 15 Proシリーズも6.1インチの「iPhone 15 Pro」と6.7インチの「iPhone 15 Pro Max」の2機種が登場。ウワサされてきたiPhone初のUltraモデルはなかったものの、カメラを中心に唯一追加された機能があることから、事実上iPhone 15 Pro Maxは今年発表のラインナップの中ではフラグシップモデルとして君臨するiPhoneになりました。

 

こちらもストレージ容量が最も少ない128GBのモデルはiPhone 15 Proが15万9800円(税込)から、iPhone 15 Pro Maxは18万9800円(税込)からとなり、Proは1万円、Pro Maxは2万5000円の価格上昇となりました。

 

いずれも値上げとなりましたが、Proシリーズは初のチタンボディを採用するなど、充実の機能を満載しています。ポイントとなる機能を振り返ってみましょう。

 

汎用性の高いUSB-Cを搭載、ケーブルをまとめられるのはやっぱり魅力

iPhone 15シリーズはアップル独自設計による「A16 Bionic」チップを搭載しました。iPhone 14 Proシリーズと同じチップであることから、Proシリーズ並みの底力を持つスタンダードシリーズのiPhoneが誕生したと受けとめることができます。

 

新製品についてはすでにGetNavi webで速報もしていますので、詳細を繰り返すことはしませんが、ここでは筆者がハンズオンで体験したインプレッションを伝えたいと思います。

 

アップルは2022年登場のiPhone 14/iPhone 14 Plusから内部設計を大きく変えて、強度を保ちながら部品構成を最適化。結果として本体質量の軽量化を実現しています。そのノウハウを継承したiPhone 15シリーズもまた軽く、スリムなスマートフォンになりました。

 

見た目は、背面ガラス全体にカラーを埋め込む技法を初めて採用したことから、従来のiPhoneに比べて透明感のある淡い色合いになりました。

 

デュアルレンズカメラはiPhone 14シリーズと同じく、ふたつのレンズを斜めに並べたデザインとしています。広角と超広角によるデュアルレンズカメラは、広角側に48MPの高解像度センサーを搭載しました。センサーの中央部を切り出して劣化のない2倍ズームを実現する機能も搭載され、少し遠くの風景や手もとの料理、人物などにカメラを一歩近づけてダイナミックな写真・動画を撮りたいときに便利に使えそうです。

↑広角カメラと超広角カメラのデュアルレンズシステム。広角カメラが2倍ズーム撮影に対応しました

 

今回発表されたiPhone 15シリーズの4機種はすべて、コネクターがLightningからUSB-Cに切り替わりました。これにより、たとえばiPhoneで撮影した高画質・大容量のビデオや複数の写真を、ケーブル経由でより速くMacなどにバックアップできます。しかし、なにより便利なのは、最近のガジェットはUSB-Cを採用する製品も多くあり、Macや最近のiPad、ワイヤレスオーディオなど多くのバッテリーを内蔵するガジェットと充電ケーブルをまとめられるところが魅力的です。

 

(編集部注:イベント後に、iPhone 15およびiPhone 15 Plusはデータ転送速度がLightningと同じであることが明らかになっています

↑iPhone 15/15 Proシリーズの4機種にUSB-Cコネクターが採用されました

 

ほかにもiPhone 14 Proから搭載された、ディスプレイ側の新しい情報表示インターフェースであるDynamic IslandがiPhone 15シリーズに搭載されました。デザイン的にも「新しいiPhone」の統一感が生まれたように思います。

↑Dynamic Islandも搭載。各種情報にアクセスしやすくなります

 

こだわりの写真や動画を撮影するならiPhone 15 Pro Max

iPhone 15 Proシリーズは、iPhoneで初めてボディのメイン素材にチタニウムを採用しました。見た目に新鮮なだけでなく、軽量で剛性の高い金属であるチタンの特徴を活かした「アップル史上最も軽いProモデル」であることから、イベントに集まったジャーナリストにも一番人気の新製品でした。

↑人だかりが絶えなかったiPhone 15 Proシリーズのハンズオンエリア

 

本機はこれまでのProシリーズ同様、トリプルレンズカメラシステムを継承しています。6.7インチのiPhone 15 Pro Maxは画面のサイズが大きいだけでなく、トリプルレンズカメラを構成する望遠カメラで光学5倍ズーム撮影ができます。画質に優れる光学ズーム撮影は35ミリフイルム換算で120ミリに相当する単焦点レンズです。また、デジタルズームもProの最大15倍に対して、Pro Maxは最大25倍までサポートします。

↑Pro Maxは最大5倍のズーム撮影に対応します

 

iPhoneで“プロなみ”のこだわりを込めた写真や動画を撮影して楽しみたい人は、iPhone 15 Pro Maxを選ぶべきです。ただし、高精細な写真や動画を撮りまくってしまうとストレージの空き容量が気になるところ。iPhoneはできる限り大きなストレージの機種を選んで、9月18日から提供されるiCloud+の6TB(月額3900円・税込)、12TB(月額7900円・税込)のプランを活用する手もアリです。

 

もうひとつ変更点として、iPhone 15 Proシリーズは左側の側面に、サイレントスイッチの代わりに新しい「アクションボタン」を搭載しました。iOSの設定からフラッシュライトやボイスメモ、拡大鏡など、ボタンを押したときに呼び出すアプリや機能を選べます。筆者はインタビュー取材のときによくボイスメモを使うので、アクションボタンを活用したいがために次はiPhone 15 Proシリーズに買い換えるつもりです。会議の議事録でボイスメモを利用する人は、同じような活用が考えられるでしょう。

↑左サイドにアクションボタンが新しく搭載されています

 

↑アクションボタンにはいくつか割り当てられる機能のプリセットがあります

 

Apple Watchのジェスチャー操作「ダブルタップ」に期待

Apple Watchは2022年の秋に発売されたタフネスモデルの最新モデル「Apple Watch Ultra 2」と、着々と進化を遂げてきたナンバリングモデルの「Apple Watch Series 9」が登場しました。

↑新色ピンクのアルミニウムケースが追加されたApple Watch Series 9

 

Apple Watch Series 9にはApple Watchで初めてのカラーバリエーションとして「ピンク」のアルミニウムケースモデルが追加されます。価格は41ミリのアルミニウムケースモデルが5万9800円(税込)から。Apple Watch Series 8からケースの種類・サイズのモデルは変わっていません。

 

Apple Watch Ultra 2は初代モデルと同じデザインの49mmチタニウムケース仕様。価格は4000円アップの12万8800円(税込)です。

↑Apple Watch Ultra 2も登場します

 

ふたつの新しいApple Watchにはアップルが独自に設計したウェアラブル向けの「S9 SiP」チップが搭載されます。高い性能と省電力駆動を実現したハイパフォーマンスなチップを載せたことによって、Siriによる音声操作でできることが増えたうえに、音声操作に対するレスポンスも向上しています。

 

注目なのは、S9 SiPチップとApple Watchが搭載するさまざまなセンサーが連動することによって実現した、新しいジェスチャーユーザーインターフェースの「ダブルタップ」です。

↑高性能なS9 SiPチップが、Apple Watchに搭載される各種センサーとの連携で実現する「ダブルタップ」が便利に使えそうです

 

Apple Watchを身に着けている手の、親指とひとさし指を2度たたくようなフィンガージェスチャーによって、ユーザーが画面やボタンに触れることなく片手だけで操作できるようになりました。たとえばタイマーの停止、音楽の再生、アラームのスヌーズなどができ、便利な機能です。実機で体験しましたが、指による操作に対する反応が小気味よく正確なので、実際に使う機会が方々で訪れるでしょう。

 

ダブルタップはApple Watchの発売後、10月に予定しているソフトウェアアップデートで追加されます。

 

なお、ヘルスケア系の新機能が物足りない印象ですが、9月19日に配信がスタートするwatchOS 10にはメンタルヘルスのセルフチェックやサイクリングのワークアウトが充実する機能などが盛りだくさんです。

 

最後に、今年のおすすめモデルはバランスが取れているApple Watch Series 9。昨年Apple Watch Ultraを買った人、Apple Watch Series 8やApple Watch SEからのステップアップを狙っている人など、幅広くおすすめしたい完成度です。

 

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