長い歴史を持ち、これまで世界を席巻してきたシティSUVのトヨタ「RAV4」は今も高い人気をほこる。その理由を分析するべく、今回はトップグレードでもあるプラグインハイブリッドモデルを試乗した。ほかのSUVに勝っている部分はどこか、パワーユニットによる違いとはなんだろうか?
■今回紹介するクルマ
トヨタ RAV4 PHV(BLACK TONE)
価格:563万3000円(Zグレード)
世界で人気を誇るクロスオーバーSUVのプラグインハイブリッドモデル
世界中でこれだけ多くのSUVが販売されているなかで、トヨタのクロスオーバーSUV・RAV4は今も昔も世界トップクラスの人気を誇っている。1994年の初代モデルデビュー時は革命児のような存在で、当時はまだSUVが「クロカン(クロスカントリー車)」と呼ばれていた時代。街中でも映える「ライトクロカン」の先駆けとして、またたく間にヒットモデルとなった。
時代を経て、いつしか街の風景に似合うクロカンが、「シティSUV」や「クロスオーバーSUV」などと呼ばれるようになるのだが、グローバルモデルであったRAV4は北米でも好評で、モデルチェンジのたびに北米市場に合わせるかのようにサイズが大きくなっていった。現在では間違っても「ライトクロカン」とは呼べない、全幅1855mmの立派な「ミドルサイズSUV」である。
日本ではサイズ感が合わなくなってしまったため、実は先代型は国内販売されなかったのだが、2019年に登場した現行型は、登場するやいなや驚くほど好調なセールスを記録した。当初は、ガソリンエンジンモデルとハイブリッドモデルのみの設定で、翌20年6月に追加されたのが、今回紹介するプラグインハイブリッドモデルのRAV4 PHVである。
エクステリアもインテリアもこだわりの見えるデザイン
今回試乗した車両のグレード名は「BLACK TONE(ブラックトーン)」。実はこれ、2022年10月でカタログ落ちしてしまったグレードで、現在、RAV4のPHVモデルは「Z」という新グレードのみ販売されている状態なのだが、基本性能はBLACK TONEから変更されていない。
RAV4のラインナップのなかでも、PHVモデルはトップグレードの位置に置かれており、グリルやバンパーまわりなどフロント部に専用のメッキモールやLEDランプなどが装着され、高級感が高められている。
RAV4自体のデザインについては、直線基調でカクカクしていて、なんだか変形ロボットのようなイメージ。その世界観をうまく壊さないように上質にまとめられているが、幼少時に変形ロボットアニメを見て育った30~40代にとってはこのカクカクデザインが、懐かしくもあり、なんだか新しくもあり、支持される理由のひとつになっているようだ。
一方でSUVらしさ、たくましさといった力強い雰囲気はトレンドをしっかり押さえていて、常に世界のトップセールスを争っているトヨタのデザインここにありという自信が伝わってくる。
インテリアもこのクラスのSUVのなかではデザインが凝っている。外観に合わせた力強さとモダンさを合わせたような上質な雰囲気ながら、物入れや装備もかなり充実していて、王道のSUVらしい堂々とした佇まいと、使いやすさが両立している。
操作部はそれぞれが使いやすい場所へ配置され、あらゆる人にしっくりくるように設計されている。また、SUVらしく着座位置が高いため運転自体はイージーだが、前述のとおり全幅がそれなりに広いため、あまり運転に慣れていない人は、狭い路地や駐車場などですこし苦労するかもしれない。