文房具
筆記用具
2024/1/7 20:00

インクの粒子に秘密あり!ボールペン「マットホップ」に注入されたマットにくっきり発色させる技術

筆者は50代のオジサンなのだが、心の奥には野生の乙女が棲んでいるので、正直なところ「かわいい」とか「夢夢しい」ものに目がないことは、この連載でも何度か語ってきた。かわいい雑貨や文房具を見つけると、テンションと共に血圧も上がり、動悸・息切れを起こすこともあるほど。初老のかわいいもの好きは、地味に命がけである。

 

残念ながら生来の超不器用ゆえにうかうかと手出しはできないが、いわゆる“デコ”にも憧れの気持ちが強い。手帳やペンケース、スマホが派手にかわいくデコられているのを見ると「いいなー、やってみたいなー」と思うし、最近のJK文化である “お菓子パッケージ落書き” (市販のコンビニ菓子パッケージにペンで書き込みして飾る遊び)なんかも、すごく楽しそうだ。そこで今回は、誰でもそういったデコに挑戦できそうな、デコに最適なボールペンを紹介したい。これを使えば、筆者にもできるかしら。

 

マットな質感でくっきり発色するデコ用ボールペン

ぺんてるから発売された「MATTEHOP(マットホップ)」は、とにかくパキッと鮮やかでマットな発色に特化した、顔料ゲルインキボールペンである。ボール径は1.0mmでカラーラインナップは全14色。もちろん単色売りもあるが、原色系の「オリジナル」と、ちょい甘めな「スイート」の各7色セットがおすすめだ。なぜならパッケージがお菓子みたいでかわいいから。

ぺんてる
MATTEHOP(マットホップ)
各200円(税別)
14色展開

 

↑お菓子みたいな紙箱パッケージが楽しい「オリジナル」と「スイート」の7色セットは各1400円(税別)

 

筆記性能としては、マットな発色に加えて高い隠ぺい性を持ち、黒い紙面やポラロイド写真にもクッキリ書けるというところが最大のポイントとなる。それだけを聞くと、1990年代のギャル文化で猛威をふるった、かの「ハイブリッドミルキー」直系の子孫! という印象を受けてしまうが、実はマットホップとハイブリッドミルキーの発色の仕組みはかなり違う。

↑全14色のラインナップ。白地と黒地で雰囲気は変わるが、いずれもマットな発色が楽しめる

 

ハイブリッドミルキーのインクは、中に修正液の成分である酸化チタン(非常に隠ぺい力の強い、白の顔料)を含んだもの。これによって黒い紙でも美しく発色できるが、ラインナップは白っぽいパステル色に限られる。対して、マットホップはインク顔料の粒を巨大化させ、かつ高濃度に配合。大粒の顔料は光を強く乱反射させるので、光沢の少ないマットな発色ができる、という仕組みだ。顔料粒が隙間なく紙に乗るので、隠ぺい性も高い。

↑「マットホップ」の発表会で展示されていたインクの模式図。顔料粒の大きさが高発色の秘密だ

 

実は書いた瞬間は「お、濃いな」ぐらいの印象なのだが、たっぷり出たインクが乾くにつれどんどんマットさが増してくる。インクが乾くことで顔料が紙の上に定着するので、乾いてからが本領発揮ということになるのだ。ちなみに、黒い紙などに書いた場合も、まだ濡れている状態では隠ぺい力がフルに発揮されない。そのため、印象としては乾くにつれじわじわと色が出てくるように見えるのだ。

↑書いた瞬間(左)と筆記後1分経過(右)の様子。時間と共にじわーっと発色していく

 

↑ボールペンと言うよりは不透明インクマーカーに近い発色が面白い

 

乾いた後の発色と塗り跡の雰囲気は、ガッシュ(不透明水彩絵具)のベタ塗りのような感じ。もしくは他社製品ではあるが、三菱鉛筆の「ポスカ」の筆跡が近いかもしれない。ポスカのあの発色がボールペンで書ける……と言うと、興味を惹かれる方はかなり多いのではないだろうか。

 

Z世代に占有されるのはもったいない!  書いて楽しい新世代ペン

ラインナップの中で特に興味深かったのが、白系カラーのアイボリーだ。パッキリと鮮やかな白ではなく、軽く黄みがかったようなオフホワイト系で、マットな発色との相性がとてもいい。コピー用紙などの白でもギリギリ見えるぐらいの色合いなので、黒やカラー紙に使うだけじゃない、面白い使い方も考えられそうだ。

↑「ハイブリッドミルキー」白と「マットホップ」アイボリーホワイトの比較。柔らかなアイボリーの落ち着きがいい

 

それ以外の色も本当にパッキリと力強い発色なので、面を塗るように使うととにかく目立つ。とにかく他に類を見ないタイプの色が出るボールペンなので、ただグリグリと色を塗っているだけでも、非常に楽しいのだ。さらには、紙だけでなくポラロイド写真やフィルムなどのようなツルツルした面にもインクが乗るのは嬉しいところ。何にでも書けるという用途の幅広さも、重要なポイントと言えるだろう。

↑マットカラーならではのインパクトの強さは、こういったカード作りなどにも大活躍しそう

 

例えばJK文化のひとつであるお菓子パッケージへの落書きに使うと、光沢のある面にマットな筆跡がとても目立つため、いっぱい落書きしたぞ! という満足感が強く得られるはずだ。この辺りはさすが、落書き・デコ用ボールペンとして作られただけはある。ただし耐水性がほとんどなく、乾いたあとでも水に濡れると即にじむので、ドリンク類やアイスクリーム系のパッケージには使わない方が良さそう。

とにかくどこに書いても「目立つ!」のひとこと。他のゲルボールではありえない楽しさだ

 

メインターゲットは「JKを中心としたZ世代」とのことだが、この楽しさは全年齢共通で間違いない。塗ってるだけでも充分に遊べるが、やはりせっかくなので、お菓子箱への落書きなんかもやってみたい。だってZ世代ばかりが楽しそうなの、ズルいだろう。

 

その他にも、例えば手帳で記念日や大事な予定の日を目立たせたり、塗り絵などに使ってみるのもオススメ。色鉛筆やマーカーとは全く違った表現になるので、マンネリ解消にも役立ちそうだ。