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2024/2/1 6:30

西川貴教「『SEEDシリーズ』最新作の主題歌としてだけでなく、日本のアニメそのものの捉え方に変化を与えられる楽曲に」映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』主題歌「FREEDOM」

ガンダムシリーズの中でも屈指の人気を誇り、プロジェクト発表から約20年の歳月を経て、念願の公開となった映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』。その主題歌「FREEDOM」を歌うのは、アーティスト、声優としてテレビアニメの「SEEDシリーズ」を支え、盛り上げてきた西川貴教さん。小室哲哉さんとの初コラボなど大きな話題を呼んだこの楽曲で西川さんが目指したもの、そして自身にとっての「ガンダム」への思いをたっぷりとうかがった。

 

西川貴教●にしかわ・たかのり…1970年9月19日生まれ、滋賀県出身。ソロプロジェクトのT.M.Revolutionとして音楽活動を展開するほか、西川貴教名義でも活躍。ドラマや映画、舞台など俳優としても多くの作品に出演し、声優として『機動戦士ガンダムSEED』、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に参加した。X(旧Twitter)Instagram

 

【西川貴教さん撮り下ろし写真】

テーマにしたのは時代を超越した人や運命の“繋がり”

──ついに『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が公開されました。西川さんにとってはテレビアニメの「SEEDシリーズ」で主題歌や挿入歌を担当されていただけでなく、2002年の『SEED』ではミゲル・アイマン役として、2005年の『SEED DESTINY』ではハイネ・ヴェステンフルス役として出演もされていましたので、今回の約20年越しの公開には感慨深いものがあるのではないかと思います。

 

西川 本当におっしゃるとおりです。劇場版の製作自体はテレビアニメが終わってすぐくらいに発表されましたが、そこからおよそ20年。その間、ずーっと“プロジェクトは着々と進行中”だとか、“今は止まっているらしい”といった、まことしやかな噂だけが流れていましたからね(笑)。正直、映画の公開日が決まってからも、僕は最後の最後まで訝しがっていました(笑)。だからこそ、完成作品を拝見したときは込み上げてくるものがありましたね。

 

──今作には主題歌「FREEDOM」での参加になりましたが、楽曲自体はどのような流れで作っていかれたのでしょう?

 

西川 今回はすごく悩みました。この劇場版『FREEDOM』にはどういった楽曲がふさわしいのかと考えていく中で、単純にシリーズ完結編の主題歌ということだけでなく、日本におけるアニメーションそのものの捉え方を考えてもらえるような曲にしたいなという思いがあったんです。というのも、今やアニメーションやゲーム、コミックは日本の文化を象徴するものとして世界中に広がりを見せていますが、僕がまだ小さかった頃……それこそファーストガンダムが作られていた時代のアニメは、まだまだ子どものためのものという印象が強かったんです。

 

──確かに、『機動戦士ガンダム』も作品の中身を見れば大人が楽しめる内容やクオリティでしたが、世間的には“ロボットアニメ”という大きなジャンルで括られてしまっていたように思います。

 

西川 そうなんです。でも、そのファーストガンダムなどを見て日本のアニメのすごさや素晴らしさを知った我々がこうして大人になり、今度はアニメに携わる側や作る側になった。つまり、アニメ黎明期の昭和に生まれた僕らがいて、日本のアニメーションが進化を遂げた平成という時代に作られた『ガンダムSEED』があり、今こうして令和の時代に新たな劇場版作品が生み出されたわけですから、今回の主題歌では、そうした時代性を超えた楽曲を届ける責任があるんじゃないかと思ったんです。そのためには、音楽でさまざまな時代と文化を築いてきた小室(哲哉)さんの力が必要だと思い、今回は初コラボという形でプロデュースをお願いしました。

 

──小室さんといえば、ガンダムファンとしてはやはりTM NETWORKの「BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)」(映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』主題歌)が思い出されます。

 

西川 もちろん、僕も同じです。今回の楽曲にどんなメッセージ性を込めていけばいいのかと悩んだ際、その答えを見つけるきっかけになったのも、実は「BEYOND THE TIME」でした。というのも、2019年のガンダム40周年のとき、LUNA SEAが『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』のオープニングテーマとして「BEYOND THE TIME」をカバーしていたんですね。それを聴きながら、いろんな思いが僕の頭の中を去来していったんです。彼らとは年齢もほぼ同じですし、二十歳ぐらいの頃から同期として切磋琢磨してきた仲でもある。そんな仲間たちが、時を越えて僕と同じように「ガンダム」の主題歌を歌っている……。その繋がりに運命的なものも感じたんです。それに、なんといっても「ガンダム」という作品自体にも長きに渡る時代性があり、人と人との出会いや別れなどがテーマとして描かれていますからね。『SEED』を締めくくる主題歌として、この“時代を超越した繋がり”というメッセージはまさしくぴったりだなと思ったんです。

 

──歌詞を拝見しても、そのテーマを強く感じることができます。

 

西川 歌詞に関しては、劇場版の製作が発表されたときの第一弾キービジュアルを見て、すぐにイメージが浮かびました。そこにはキラ・ヤマトとラクス・クラインだけが登場していて。「ガンダム」といえばモビルスーツ同士のバトルやアクションが象徴的ですが、そうではなく、あえて“人間同士の繋がり”を見せることを選んだと福田(己津央)監督がおっしゃっていたので、そうした監督の思いも歌詞にも踏襲しています。

 

イラッとするシンの言動が、僕を20年前に引き戻してくれました(笑)

──サウンドの作りも、ぜひ映画館で体感してほしいと思える、壮大かつ深淵さのある楽曲になっているなと感じました。

 

西川 もちろん、歌だけの単体で聴いていただいても楽しめる楽曲になっていますが、僕もこの「FREEDOM」は映像と1つに重なることで生まれるケミストリーがたくさんあるなと思いました。たしか、初めて少しだけお披露目したのが、昨年11月に文京シビックホールで行われたイベントで。そのときに僕が主題歌を歌うということと、小室さんがプロデュースを手掛けてくださるということ、さらには楽曲を使った最新ティザーが公開になったんですよね。ファンの皆さんにとってはいきなり情報量が多すぎて、少し混乱されたと思うんですが(笑)、同時に大いなる期待を寄せてくださっている声も耳にしましたし、その期待に応えるだけの楽曲になっているなと自負しています。

 

──実際に劇場で「FREEDOM」が流れるシーンをご覧になって、どのような印象を持ちましたか?

 

西川 少しおこがましい言葉になってしまうかもしれませんが、まさしく僕がイメージし、目指していたものになっているなという感動がありました。楽曲をお渡ししてからも、監督が劇場公開するまでの間に、映像面で細かい調整をしてくださったそうなんです。例えば曲が流れ出す際、僕のボーカルにお客さんが集中しやすいようにと、その直前のシーンまであったSEを全部抜いてくださったり。本当にこの曲を大切にしてくださっているんだなとうれしく思いましたね。

 

──なるほど。では、映画自体の感想もお聞きしたいのですが、西川さんの目に『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』はどのように映りましたか?

 

西川 一瞬でテレビアニメの頃の感覚に引き戻させてくれる力を感じました。そう思えたのは、福田監督が描こうとしている世界観の強さはもちろん、キャストの皆さんが当時と変わらぬフレッシュな表現をされていたことも大きかったように思います。キラやアスラン・ザラを演じられた保志総一朗さんや石田 彰さんがテレビアニメのときと同じように主人公然とした表現をされている一方で、鈴村健一さん演じるシン・アスカにも昔と変わらないイライラさせられる感じがあって(苦笑)。鈴村さんといえば、いまや多くの若手声優が憧れる存在ですし、事務所の社長業をこなす傍ら、10年以上に渡って「AD-LIVE(アドリブ)」という舞台のプロデュースもされている。人として非常に成熟された方なのに、当時と同じように、しっかりと見る人をイライラさせるお芝居を表現されているんです(笑)。だからこそ、20年という時間の流れを感じることなく、スッと「SEED」の世界に入っていけたのだと感じました。

 

──たしかに。また、物語も今の時代とどこかリンクし、考えさせられるところがたくさんありました。

 

西川 そこも「SEED」や「ガンダム」のすごさの1つですよね。SFでありながら、常に現実と地続きであるといいますか。恐らく、今作のストーリーや構想自体は随分前に作られていたのだと思います。テレビアニメの脚本を書かれていた両澤(千晶)さんがご存命だった頃からあったテーマだったはずで。にも関わらず、今の時代にすごくフィットしている。世界では絶えず紛争が起きていて、どこを正面にして物事を考えていけばいいのかが分からない。今作を見たとき、まさにそんな“今”の時代を予見したかのような内容になっていて驚きました。

 

── “正義”そのものの定義を考えさせられるという意味では、テレビシリーズのとき以上に、より登場人物たちの善悪を分けづらい物語になっているように感じました。

 

西川 そうなんですよね。テレビシリーズの頃と比べ、SNSが発達したことで個人個人が自分の正義を主張できるようになり、“正しさ”の意味がさらに複雑化していきました。そんな混沌とした時代だからこそ、1人ひとりがどの道を選ぶのかが大事になってきていて。でも、その根底にはやはり“人が人を想う気持ち”や人間愛がないといけない。この「SEEDシリーズ」は、まさしくそのテーマがしっかりと描かれた作品だなとあらためて感じましたね。

 

ボディスプレーは、シーンに合わせて気持ちにスイッチを入れてくれる最高のアイテム

──最後に、このGetNavi webではご登場いただく皆さんに、お仕事をする上でのマストアイテムやプライベートで愛用しているお気に入りアイテムなどをお聞きしているのですが、西川さんは何かありますか?

 

西川 今日もカバンに入れてきたのですが、 TOM FORDのボディスプレーです。TOM FORDはシーンに合わせた香りの重ね付けを推奨しているんですよね。たしかに香りって時間とともに薄くなったり、変化していくものなので、そこに新たに別の香りを付けて足していくという使い方はしたことがなかったなと思って。それで、いくつか種類を購入し、場所や時間など状況に合わせた香りを作って楽しんでいるんです。

 

──何種類ぐらいお持ちなんですか?

 

西川 普段使い分けているのは4〜5種類くらい。それ以外にもストックがあります。今日たまたま持っていた「LOST CHERRY」もそうですが、ネーミングからも分かるように、これまでにちょっとなかったような発想の香りが多いんです。

 

──興味をそそられるネーミングですね。それに、香りは気持ちにも変化をもたらすので、シチュエーションごとに香りを使い分けるというのも面白いです。

 

西川 そうなんですよね。僕にとって香りは日常生活におけるスイッチみたいになっているところがあるんです。女性にはアクセサリーや、洋服やバッグなどにつけるちょっとした小物など、その日の気分によって楽しめるアイテムがたくさんありますが、男性だと腕時計やメガネぐらいだと思うんです。そうした中、TOM FORDのこのボディスプレーはすごくいいアイテムだなと思って。その時々によって、手軽に香りで日常にアクセントをもたらしてくれるので、いつも便利に使わせてもらってますね。

 

 

 

<INFORMATION>

西川貴教 with t.komuro「FREEDOM」(『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』主題歌)

2024年1月24日(水)リリース

※完全生産限定盤(CD+ガンプラ):6,000円(税込)
・オリジナルガンプラ(HG 1/144 フリーダムガンダム [ポラライズドクリア])
・『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』絵柄アナザージャケット(4種)

※通常盤:1,300円(税込)
・カップリング「Believer」収録

購入はこちら
https://erj.lnk.to/FREEDOM

 

『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』

2024年1月26日(金)全国上映中

(STAFF&CAST)
企画・制作:サンライズ
原作:矢立肇、富野由悠季
監督:福田己津央
脚本:両澤千晶、後藤リウ、福田己津央
キャラクターデザイン:平井久司
メカニカルデザイン:大河原邦男、山根公利、宮武一貴、阿久津潤一、新谷学、禅芝、射尾卓弥、大河広行
メカニカルアニメーションディレクター:重田 智
音楽:佐橋俊彦
製作:バンダイナムコフィルムワークス
配給:バンダイナムコフィルムワークス、松竹

キャスト:
キラ・ヤマト……保志総一朗
ラクス・クライン……田中理恵
アスラン・ザラ……石田彰
カガリ・ユラ・アスハ……森なな子
シン・アスカ……鈴村健一
ルナマリア・ホーク……坂本真綾
メイリン・ホーク……折笠富美子
マリュー・ラミアス……三石琴乃
ほか

『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』
公式サイト https://www.gundam-seed.net/freedom
X  https://twitter.com/SEED_HDRP
TikTok https://www.tiktok.com/@seed_freedom_official
※2024年3月31日(日)23:59まで期間限定

 

撮影/干川 修 取材・文/倉田モトキ ヘアメイク/浅沼薫(Deep-End)