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2023/8/21 6:30

東雲うみインタビュー【完全版】「プラモデルを始めたらものすごい充実感が味わえました」

グラビアアイドルとして活動する一方で、ディープなプラモデル趣味が話題となり、現在はモデラ―としても活躍する東雲うみさん。彼女がハマるキャラクタープラモデルの世界をナビゲートしてもらった。GetNavi本誌掲載インタビューから完全版としてボリュームアップしたWebオリジナルインタビューをお届け。

※こちらは「GetNavi」 2023年9・10月号に掲載された記事を再編集したものです。

 

ナビゲーター
アイドル・モデラ―

東雲うみ

しののめ・うみ…1996年9月26日生まれ。埼玉県出身。血液型AB型。身長162cm、B90・W59・H100cm。“グラビア界の二刀流”として活躍するほか、YouTuberとしても活躍。X(Twitter)InstagramYouTube

【東雲うみさんの撮り下ろし写真】

 

活躍を想像し、具現化できる自由さが好きです!

──どのようなきっかけでプラモデルに興味を持ち始めたのでしょうか?

 

東雲 大学生の時に、たまたま秋葉原に遊びに行ったんです。そのときに通りかかったお店にアニメ『機動戦士Zガンダム』の主人公メカのZガンダムのプラモデルの完成品が飾られていて。それがすごくかっこよくて、もうひと目ぼれだったんです!

 

──それまで、いわゆるガンダム作品を好きで見ていたんですか?

 

東雲 そのころはガンダムをよく知らなかったんです。シャアやアムロが出るとか、かつて大ヒットした作品だという程度。でも、そこで見たZガンダムの完成品が気に入って、それがプラモデルのキットでそのお店で売っているというのをその場で知って、値段もそんなに高くなかったのでとりあえず買ってみようと。それが始まりですね。

 

──それはどれくらい前ですか?

 

東雲 5年前くらいです。そのときは買ったZガンダムをとりあえず普通に説明書どおりに組み立てて、「プラモデルも面白いな」って思いました。もともと細かい作業は好きだったので、組み立てるのも楽しくて完成しただけで満足でした。その後、Zガンダムが活躍するアニメがあることを知って、テレビシリーズの『機動戦士Zガンダム』を見たら見事にアニメにもハマりました。主人公のカミーユも大好きになって。そこから「ガンダム作品をちゃんと見よう」と思って、最初の『機動戦士ガンダム』から順を追って宇宙世紀の作品を全部見ていったんです。

 

──背景を勉強して、そこからさらにガンプラを楽しむようになったんですね。

 

東雲 プラモデルに関しては、アニメにハマった後に、自分が組み立てたZガンダムを他の人はどんなふうに作っているのかが気になって、SNSで調べてみたんです。そうしたら、同じキットを作っているはずなのに、塗装したりアレンジしたりと、めちゃくちゃかっこよく作っている人がたくさんいらして。それがきっかけで、「どうやったらこんなふうに完成させられるんだろう?」といろいろとネットで調べ始めました。その結果、塗装や改造の仕方によって仕上がりが違うことを知って、そこから自分でもやるようになりました。

 

──最初のプラモデルのYouTubeの動画は、Zガンダムでしたね。

 

東雲 そうです。今から2年前くらいにアップした動画ですが、あの頃はすでにかなりプラモデルにハマっている状態でした。でも、プラモデルが好きで、趣味で作っていることはグラビアのお仕事を始めて最初の1年くらいは隠していました。正直、「グラビアの子がビジネスでガンプラを好きだと言っている」というふうに見られるのがイヤだったんです。本当に大好きで趣味として楽しんでいることだったので。知り合いや仕事でご一緒する方には「プラモデルが好き」という話をしていたのですが、ずっと公表していませんでした。でも、せっかく完成したら人に見せたいという欲求が出てきて……。また、仕事でご一緒する方も「それは世に出した方がいいよ」と言ってくれて。そうした経緯で最初のYouTubeのプラモデル制作動画を撮りました。あのときは、その後のこととか考えていなくて、とにかく自分の好きなものを世に広めたい、完成品を見せたいという気持ちだけでした。

 

──プラモデル好きは、お父さんや兄弟などの影響などがあったのかと思っていたんですが、そんなことはないんですね。

 

東雲 兄弟もいませんし、父親も「プラモって何?」というくらい何もわかっていないです(笑)。私自身、もともと『トランスフォーマー』や『パシフィック・リム』などのロボットものの映画が中高生のころから大好きで。でも、女子校だったので同じ趣味を共有できる友達もおらず。唯一、外国人の英語の先生が『パシフィック・リム』好きで話が合ったくらいですね。大学に入ってからは、教授がガンダム世代でガンダムの話ができるようになったり。だから、同世代でこうした趣味が合う友達はいないんですよね。

 

──ロボットが好きなんですね。

 

東雲 ロボットは大好きです! 私は立体としての造形から入るタイプなので、正直アニメは「観なくてもいいや」くらいに思っていたんです。でもZガンダムを作ったらすごく愛着が湧いて、「このモビルスーツは映像ではどう動いているんだろう」と思って。おかげで、プラモデルだけじゃなく、アニメにも見事にハマりました(笑)。

──プラモデルの「ここにハマった」というようなポイントはどこですか?

 

東雲 細かく言うとたくさんあるのですが、やっぱり自由度の高さですね。私は作り始める段階で妄想するのがすごく好きなんです。「この子はどう戦ってきたのか?」というのを想像するし、どういうストーリーのもとに仕上げたらいいか……というのを制作する前の段階で考えて、イメージするのがまず楽しくて。参考に他のモデラーさんが作られたものを見て想像するのもいいですし、箱の中のキットを見て「どう仕上げようか」と妄想するのも楽しい。作り始める前にまず「考える」時間を持つのがひとつの楽しみ方だと思いますね。

 

──動画を拝見すると、制作前のプランニングをしっかりされて作られていますね。

 

東雲 実際に作っていく過程でも結構シミュレーションしながら進めていきますね。まず、素組み状態のプラモデルの写真を撮ってiPadに取り込んで、カラーリングのプランを練ったり、スジ彫りなどのディテールアップする箇所を写真に描き込んだり。そうした作業に没頭できるのもプラモデルの魅力だと思います。私は、プラモデルを作るときには、絶対にコンセプトを決めるようにしています。例えば、映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』に出てくるクスィーガンダムを作ったときは、劇中のシチュエーションに合わせて、夜明けの空、太陽が昇っていく様子を表現しようと思ったんです。そういうコンセプトを決めると、そこからどんどんいろんな想像が広がっていって。太陽が昇るなら、ガンダムの中心をオレンジ色っぽくして、そこからフワァーっと広がる空の色にしようとか。そうした完成品像が頭の中に完全に見えた状態で始めたいんです。もちろん、実際に手を動かすと「ここは違うな」ということはありますが、完全に作りたいものにこだわってイメージしてから作っている感じですね。

 

──改造作業もマニアックかつかなり高度な作業をされていますよね。そういう知識はどこから取り入れているんですか?

 

東雲 そこはすごく言われます。「1人でこんなふうにできるわけがない」とか「裏にバックアップしているモデラーがいる」とか。そう思われるのはちょっとイヤです。実際には全部自分で調べて、自分で作業しています。今だったら、モデラーさんのブログやYouTubeの動画など、自分が熱を持って調べようと思えば、いくらでも情報を入れることができますよね。だから、あらゆる手段を使ってものすごく調べています。例えば、ナイチンゲールを作ったときには曲面にディテールを追加する方法として、プラ板を熱で収縮させる「バキュームフォーム」というやり方があると知って、それをやっているモデラーの方のブログを参考にさせていただいたり。動画では載せていないですが、実際の作業では5枚くらいプラ板を無駄にするほど、たくさん失敗をしていますし、そうやって仕上げているんです。動画にするときには、編集して一番いいところだけを映しているので、失敗をしていないと勘違いされやすいんですね。

 

──YouTubeでは、いろんなジャンルの配信をされていますが、中でもプラモデルに関する動画だからこその良さはありますか?

 

東雲 やっぱり、共感してくれる人が多いというのは1つの魅力ですね。私は、大道芸や絵画、ギターやゲームなどもやるんですが、動画にすると大道芸は見せるだけになってしまうし、絵も自分の作風を見せるだけになるので、見ている方に同じように共感はなかなかしてもらえない。でも、プラモデルは一般に流通されていて、同じ土台を手に入れることができる。そこから、どのように自分の個性やこだわりを持って仕上げるかというところで、「あなたは、そのプラモデルをそんなふうに作ったんですね」と共感できるし、話をできる人が多い趣味という感じがありますね。

 

──プラモデルは、キットや完成品の話だけじゃなく、組み立てて仕上げるのに使う道具や材料、塗料など何を使っているかという話でも盛り上がれますよね。

 

東雲 そうなんですよ。そうした同じ趣味の人同士のコミュニケーションが楽しいですし、完成品をYouTubeに出せばたくさんコメントがいただけるのも嬉しくて。評価をもらえて「僕だったらこう仕上げる」「この発想はなかった」といろんなコメントがもらえると次の作品制作のモチベーションにもなるんですよね。

 

──プラモデルには、そうして同じ趣味を持つ仲間との交流が拡大していく魅力があるということですね。

 

東雲 特にガンプラはキットを買ってニッパーを手にすればスタートできるので、始めるのはかなりハードルが低いと思うんです。しかも、SNSで検索すると同じキットを作っている仲間がたくさんいるので、そこから友達もできますし。プラモデルを始めただけで、いろんな欲が満たされます。作りたい欲、完成品を見せたいという欲、そこからいろんな人と交流もできる。始めただけでこんなに充実感や満足感を感じられる趣味はなかなかないと思います。

 

──動画を拝見すると、東雲さんご自身も制作する模型のジャンルがどんどん広がっていますね。

 

東雲 ガンプラだけじゃなく、本当にいろいろ楽しんでいます。最近だとキャラクターの美少女プラモとかも好きですし。基本的には気になるものは手を付けています。以前、模型雑誌の企画で初めて飛行機模型を作らせていただいたことがあって。最初はスケールモデルはハードルが高くて手が出せないというイメージを持っていたんですが、実際に作ってみたら小さい中に再現されたディテールに驚きつつ、意外と簡単に作ることができる。だから、興味があったら気軽に手を出していいのかなと思いましたね。最初はうまくできなくても、いろいろなことを知ることができて楽しいですし。

──プラモデルはトライ&エラーなので、失敗を恐れずにやるのはいいことだと思います。

 

東雲 そこは本当に声を大にして言いたいですね。やらないのはもったいないって。私のファンの方でも「東雲ちゃんみたいにうまくできないから、買ったけど作れない」って言われる方がすごく多いんです。でも、そうじゃないんだよって。私も何回も失敗しているし、失敗したから世に出してない作品もいっぱいある。でも、そうやって作っていく中でいろんな発見があって、どんどんうまくなりますから。私だって、最初に動画で出したZガンダムと今の完成品を比べたら全然レベルが違いますからね。動画を見返すとどんどん上手になっているのがわかるんです。だから、「失敗を恐れずにやる」というのは大事だと思っています。

 

──現在は、グラビアのお仕事に加えて模型のお仕事も増えてきていると思うのですが、二つの好きなことをやっている感想はいかがですか?

 

東雲 すごく嬉しいですよね。本当に好きなことは仕事にしないほうがいいって言うじゃないですか。私も作例制作の依頼がきたらプラモデルが嫌いになるかと思っていたんですが、実際に依頼されて作って、それが雑誌に載ると本当に嬉しさしかなくて。ツラいところは、「締切」があるというところですね(笑)。私はもっと作り込みたい、納得できないから作り直したいと思うレベルでも出さなくちゃならないときは「ううっ……(泣)」となることはあるんですが、模型雑誌では私の作例をきれいに撮影していただいて、一番かっこいい姿を掲載していただけて、インタビューもしてもらえるので。そして、それが世に出て見てもらって、フィードバックがもらえるのは嬉しすぎて。今はやりがいしかないですね。一方で、例えば納期まで2週間という状況の中で、グラビアの撮影が何日間か入ったりすると「ちょっと帰ってプラモ作りたいのに」「早く作らないと間に合わない!」とウズウズしちゃうこともあります。グラビアも大好きだからしっかりとやりたいんですが、プラモデルの方をもっとやりたいという気持ちになっちゃうことも多いです(笑)。

 

──グラビアでご自身の姿を見てもらうのと、プラモデルを作って見てもらう。2つの仕事をしていて、感覚が近いところもあるんでしょうか?

 

東雲 あります! 私は、自分のことを自分で操縦できるプラモデルだと思っているんです。ボディメイクとして筋トレをするんですが、それはプラモデルの感覚で言うとディテールアップですよね。「お尻がこういうふうに上がればいいかな」とか「くびれの角度はこっちの方がいいな」と思ったら、それに向けて筋トレをする。それはプラモと一緒で、イメージしたものに近づける感覚です。筋トレする際も髪形を整えるときも「私がこうなったらいい」というのをまず頭の中で想像するんです。そして、その姿をプロに撮ってもらう。それは、プラモの作例と一緒で、私自身が作例みたいな感じで挑めるので、それもめちゃくちゃ楽しいです。

 

──プラモデルは気になっているけど、なかなか始められないでいる読者も多いと思うので、そういう方々にメッセージをお願いします。

 

東雲 「GetNavi」という雑誌を手にしたり、サイトを訪れる方は、その時点で何か趣味を見つけたいと思っている方が多いと思うんです。その中の1つとしてプラモデルに興味がありつつ、「まだ始めるのには早いかな」とか、「興味はあるけど失敗しそうでなかなか手を出せない」と思っている人がたくさんいるのではないかと。でも、私はそこにプレッシャーを感じずに気軽に始めてほしいなと思っています。とりあえず、興味があるけど何を買っていいかわからないなら、プラモデル売り場に行ってジャケ買いでもいいので、気になったものを手にしてみる。そして、1個組み立ててみると楽しさがわかるんじゃないかと。もちろん、作り方のセオリーみたいなものはありますが、そんなのは後から知ればいいので。恐れずに始めて、手にしたものが難しくて無理そうだったら、ちょっと簡単そうなキットを組むとか。無理せず、自分のペースでできるプラモデルがたくさんあるし、最初は失敗してもいいので、恐れずに始めて、楽しさを知ってほしいと思いますね。

 

【うみ的マストアイテムをCHECK!】

❶「やすりの親父」/長さがちょうど良くて持ちやすいし、しっかりした硬さもあって、長く使ってもヘタらない。目詰まりもしにくいように感じます。❷「メラミンスポンジ」/お掃除用品として使われることが多いんですけど、プラモデル製作では簡単なツヤ消しや塗装にも使えます。❸「ゴッドハンド 神ふで」/ムラなく塗れてはみ出さない。筆塗り派はもうこれを買ってください(笑)。❹「綿棒」/100均で売っているメイク用の綿棒がオススメ。片方が尖っていて細かい作業に向いています。

 

【うみ製作!愛すべき作品マイベスト3 】

1.  ナイチンゲール

「自作のバキュームフォーマーで外装フレームを作ってディテールアップしたり、バーニアが見えるようにメッシュ加工にしたり、黒立ち上げ塗装で渋い赤に仕上げたこだわりの作品です」

 

2.  SDF-1 MACROSS

「初めて光ファイバーを使って電飾に挑戦した作品です。何度も失敗しながら苦労しました。青が好きで、シノノメブルーという色を作っていて、それがめちゃくちゃいい感じに出てます」

 

3.  クスィーガンダム

「夜明けの朝日に照らされている海をイメージして作りました。思い描いたイメージを大切にして、絵を画くような感覚で仕上げていったので、とても思い入れがあります」

 

【INFORMATION】

うみちゃんねる @umi_shinonome

グラビアアイドル・東雲うみの公式チャンネル。登録者数は93万人(7月10日時点)。ガチでプラモデル製作に取り組む動画から、グラビアアイドルのお仕事の裏側、筋トレなどのボディメイクやコスプレ披露など、すべて本人が動画を編集してアップしている。

 

東雲うみ 「うみとボク」

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撮影/野下義光 取材・文/石井 誠