4Kテレビで映画などのコンテンツを楽しむなら、音質にもこだわりたいものです。それには手軽に高音質なサラウンドを実現できるホームシアターが必須。製品選びに重要な5項目をプロが評価し、各部門のグランプリを選出しました。
4Kコンテンツを楽しむなら 2つの規格への対応を要確認
4Kテレビが普及し、映画やスポーツなどのコンテンツをより高画質で鑑賞できるようになりました。それにともない、画質に見合うようなハイクオリティの“音”を求めるユーザーが増加中。
「サラウンド対応の高音質システムを導入すれば、劇場やスタジアムにいるような臨場感で視聴できます。サラウンドというと、たくさんのスピーカーを並べるイメージがありますが、最近はコンパクトなスピーカーを前面に設置するだけで楽しめるシンプルなシステムが主流。ホームシアターは、設置場所を気にせず、手軽にリーズナブルに導入する時代です」(湯浅)
そんな最新のホームシアター選びで注意するポイントとは?
「今回のチェック項目はどれも重要ですが、ほかに4K映像を視聴するなら『4Kパススルー(※1)』と『HDCP2/2(※2)』への対応は要確認。また、テレビのサイズやスタンドの形状、周囲のスペースなどを測って、ぴったり収まる製品を選びましょう」(湯浅さん)
※1:入力した4K信号をそのまま4Kテレビへ送信可能なHDMI端子を備えたモデル ※2:HDMIなどで映像伝送する際に用いられる最新の著作権保護規格
サラウンド部門
ホームシアターの醍醐味ともいえる、音の包囲感に優れるモデルを表彰。前後左右上下の定位をチェックした。
スリムなバーのみで豊かなサラウンドを実現
ボーズ
SoundTouch 300 soundbar
8万1000円
バースピーカーのみで本格的なホームシアター環境を構築できる。メッシュ状の「PhaseGuideアレイ」で無数の反射音を作り出し、リアルなサラウンド感を実現。クリアでパワフルな低音を再現する「QuietPortテクノロジー」も秀逸です。
↑別売のリアスピーカー(右/3万7800円)と、サブウーファー(左/8万1000円)も用意。ワイヤレスで接続可能です。
【プロが採点!】
84/100点
(サラウンド:20、重低音:13、解像感:16、設置性:19、コスパ:16)
音が様々な方向からやってくるのを感じる
「音の解像感が高くサラウンド効果も大きいため、音の一つひとつに“音源のある位置”を感じます。バーを一本置くだけ、という設置性の高さもうれしいですね」(湯浅さん)
重低音部門
低音域を、迫力ある音量と歪みのない音質で鳴らせる製品を選出。アクション映画や音楽コンテンツに向く。
ソファ下に設置できるサブウーファーが臨場感を増幅!
ソニー
HT-MT500
実売価格7万5470円
テレビ番組・音楽・映画・スポーツなど、様々なジャンルのコンテンツに合わせた音響効果を用意。また、ハイレゾ再生に対応するうえCDや圧縮音源もハイレゾ相当に変換可能です。スリムなスピーカーはテレビ視聴の邪魔になりません。
サブウーファーをソファ下に設置可能。設定を「ソファモード」にするだけで、最適な音響効果が得られます。
【プロが採点!】
86/100点
(サラウンド:16、重低音:20、解像感:16、設置性:18、コスパ:16)
ソファ下設置にすると低音を振動で体感できる
「サブウーファーからの低音はクリアかつ迫力十分。ソファ下に設置すると、ソファ全体が振動して低音を体感できます。アクション映画視聴では臨場感が抜群です」(湯浅さん)
【解像感部門】
音の輪郭が明瞭なモデルを表彰。たくさんの音のなかで一つひとつの楽器や声、物音などを聴き分けられるかを評価しました。
独自スピーカーで上方向から音が流れ落ちる
パイオニア
FS-EB70
実売価格10万9200円
サウンドバーに上向きの「ドルビー・イネーブルド・スピーカー」を搭載。天井の反射を利用した上方向からの音を加えることで、音の動きを三次元空間上で自由にコントロールできる「ドルビーアトモス」と「DTS:X」に対応します。
バースピーカーには「ドルビー・イネーブルド・スピーカー」を搭載。天井の反射を利用して上からの音を加えます。
【プロが採点】
82/100点
(サラウンド:16、重低音:18、解像感:18、設置性:16、コスパ:14)
クリアで広がりがある 劇場のようなサウンド
「音の輪郭がクッキリしている一方で、豊かな残響と広がりがあり映画館にいるような臨場感を味わえます。重低音の迫力も十分なので、映画鑑賞に適しています」(湯浅さん)
設置性部門
設置の自由度が高いモデルを表彰。コンパクトさだけでなく、部屋や家具に合わせて設置できるかチェックしました。
分離型フロントスピーカーで設置の自由度は抜群!
オンキヨー
BASE-V60
実売価格5万8930円
同社の高級オーディオシステムの技術をコンパクトに凝縮。パワフルな大音量はもちろん、深夜の小音量視聴でも奥行きのあるサラウンドを楽しめる。アップデートで、「ドルビーアトモス」と「DTS:X」にも対応(※6)。ハイレゾ再生も可能だ。
高級AVアンプ並みに豊富な入出力端子を装備。別売スピーカーの追加で、本格的な5.1 chサラウンド構成も可能です
【プロが採点】
88/100点
(サラウンド:17、重低音:16、解像感:16、設置性:20、コスパ:19)
テレビまわりが狭くても フレキシブルに設置可能
「テレビ前にバースピーカーを設置するスペースがない場合に最適なモデル。音質は鋭さのなかにも奥行きも感じられ、音楽ライブなどのコンテンツに向いています」(湯浅さん)
【コスパ部門】
価格以上の性能を誇る製品を表彰。音の完成度、機能の充実、付属品数の多さ、使い勝手などを総合して判定しました。
同社独自の技術により7.1ch サラウンドを実現
ヤマハ
MUSICCAST-P306
実売価格6万9690円
独自のサラウンド技術により、高さ約7cmのバースピーカー1本で7.1chのバーチャルサラウンド音場を実現。MusicCast機能を利用して、LAN内のPCやネットワーク対応HDD、インターネットラジオなどの音源も再生できます。
テレビとは光デジタル、レコーダーとは同軸デジタル端子で接続。付属のスピーカーは別室に置いても、Wi-Fiでつなげます。
バースピーカーの両サイドに設置されたバスレフポート。サブウーファーなしでも豊かな低音を実現します。
【プロが採点】
78/100点
(サラウンド:12、重低音:14、解像感:14、設置性:18、コスパ:20)
付属スピーカーで 音楽を聴く場が広がる
「サブウーファーなしでも、キレイでずっしりとした低音が鳴ります。Wi-Fiで接続する付属スピーカーは、寝室などに飛ばして音楽が聴けるのが便利ですね」(湯浅さん)
【私がチェックしました!】
テクニカルライター
湯浅顕人さん
PC&AVライター。アクション映画を楽しむため、迫力のサラウンド環境を重視しホームシアターを構築している。