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イヤホン
2017/7/11 12:02

“ダブル・ハイブリッド”が生む新しいサウンド! イヤホンの超新星「AZLA」誕生

近年、「Astell & Kern」など高級ポータブルオーディオブランドが続々と誕生している韓国から、また新しいイヤホンブランドが登場しました。その名も「AZLA(アズラ)」。ヨーロッパの言語をブレンドした「天空のかけら」という意味合いを持つブランド名には、この世にまだ存在しない新しいサウンドが楽しめるイヤホンを作りたい、という開発者たちの思いが込められているそうです。

↑新生ブランド「AZLA」の初めてのイヤホンが誕生
↑新生ブランド「AZLA」の初めてのイヤホンが誕生(写真のカラーはMeteor Gray)

 

そのブランド名を冠した最初のイヤホン「AZLA」が、7月末に日本で発売されます。価格はオープンですが、輸入元であるアユートの直販サイトでは4万9980円(税込)で販売を予定。カラーバリエーションはガンメタ系の「Meteor Gray」と、きらびやかな「Lunatic Silver」の2色をラインナップしています。

↑Meteor Gray(左)と
↑Meteor Gray(左)とLunatic Silver(右)

 

韓国のポータブルオーディオブランドといえば、先述した「Astell & Kern」が非常に有名ですが、ほかにも続々と勢いのある新ブランドが立ち上がっているようです。AZLAも、韓国で長くオーディオの仕事に関わってきたアシュリー・リー氏を創立者とする若駒。そのバックグラウンドにはリー氏をはじめ、ポータブルオーディオ製品の開発に長年携わってきた凄腕のオーディオエンジニアによる知恵とノウハウも横たわっています。

 

AZLAでは、同じ韓国のイヤホンブランドであるDynamic Motion(ダイナミックモーション)からの協力を得て、BA型とダイナミック型を組み合わせた独自のハイブリッドドライバー技術である「Infinity Driver」を完成させました。ドーナッツ型の11mm口径ダイナミック型ドライバーの中心に、フルレンジをカバーするBA型ドライバーを配置。それぞれのドライバーが受け持つ帯域の詳細データは非公開ながら、ユニットとして5Hz~40kHzという、ハイレゾの帯域までカバーするワイドレンジできめの細かなサウンドを特徴としています。

↑BA型とダイナミック型を組み合わせた独自のハイブリッド方式による「Infinity Driver」を搭載する
↑BA型とダイナミック型を組み合わせた独自のハイブリッド方式による「Infinity Driver」を搭載する

 

そして、AZLAのもう一つの独自技術である「Infinity Sound Technology」についてもぜひ触れておかねばなりません。こちらは高音質を実現するハウジングの技術となります。AZLAの本体は切削加工により成形したアルミボディをドライバーユニットに採用しています。アルミブロックから精密に形を切り出したユニボディ設計により、音に悪影響を与える不要共振を効果的に抑えています。このアルミ筐体に2つの大きなベントポート(ドライバーの背圧を逃がすための空気孔)を設けてエアフローをコントロールすることで、開放型イヤホンのように伸びやかでスムーズなサウンドキャラクターも同時に実現しています。

ハウジングにはドライバーの背圧を逃がすための大きな空気孔を搭載。ポリカーボネート製のシェルで全体を覆う「Infinity Sound Technology」が独特のサウンドを生む
↑ハウジングにはドライバーの背圧を逃がすための大きな空気孔を搭載。ポリカーボネート製のシェルで全体を覆う「Infinity Sound Technology」が独特のサウンドを生む

 

そしてさらに、アウトドアで音楽を聴くための遮音性を確保するためにUVコートをかけたポリカーボネートのシェルでアルミのボディをカバー。音漏れを防ぎながら、密閉型イヤホンならではの安定した力強い中低域再生を可能にしています。種類の異なるハウジング機構を合体させたことで、まさに開放型と密閉型のイヤホンが持つ特徴を“いいとこ取り”したような、ハイブリッドなハウジング構造になっています。

 

ドライバーもハウジングもハイブリッドにすることで、それぞれの弱みをカバーして隙のないサウンドを目指した、まさしく“ダブル・ハイブリッド”なイヤホンといえるでしょう。

 

このAZLAが独自に開発したイヤホンのための高音質化技術に加えて、着脱交換に対応するケーブルも徹底的に作り込んでいます。ケーブルについては専業ブランドであるLabkable社とタッグを組んで、AZLAのために設計を起こした超高純度の銀合金と銅線を使用する4芯構造のケーブルが同梱されています。

↑Labkable社がAZLA専用にチューニングしたケーブルを開発。イヤホンに標準添付される
↑Labkable社がAZLA専用にチューニングしたケーブルを開発。イヤホンに標準添付される

 

AZLAのような中上級のイヤホンはケーブルを交換しながら音をカスタマイズできるところが醍醐味ですが、本機では互換性の高い2ピン端子を採用しています。ケーブル専業ブランドから発売されている2ピン仕様のリケーブルから合うものを探して、サウンドのカスタマイズが楽しめそうです。なおAZLAには3.5mm/3極仕様のイヤホンケーブルが同梱されますが、現在バランス接続用の純正リケーブルも開発が進められているそうです。

↑2ピンのコネクターによるリケーブルに対応
↑2ピンのコネクターによるリケーブルに対応

 

↑Dignis社のハンドメイド生産によるキャリングケースと、3サイズのシリコンイヤーピースが付属する
↑Dignis社のハンドメイド生産によるキャリングケースと、3サイズのシリコンイヤーピースが付属する

 

↑バランス接続用交換ケーブルも発売予定
↑バランス接続用交換ケーブルも発売予定

 

原音のリアリティを伝えるサウンド

それではAZLAのサウンドを聴いてみましょう。上原ひろみのアルバム「SPARK」の楽曲「Wonderland」では、スピード感と濃厚さが同居する熱いメロディラインがうなりを上げます。ピアノの旋律が伸びやかにうたい、華やかなハイトーンと激しい低音まで広いダイナミックレンジの再現力を持ち味としています。ドラムスは細やかなリズムの粒立ちが良く、解像度が高くて階調性も滑らか。立体的な音場感に包み込まれます。エレキベースの低音は打ち込みが鋭く、きれいな丸みを帯びた弾力感を備えています。鋭い音の立ち上がりと解れのよさはまさしくAZLAの「Infinity Sound Technology」がなせるワザ。原音のリアリティを忠実に伝えてくれるイヤホンです。

 

ブランドの創設者であるリー氏に、ニューフェースのAZLAに一番フィットする音楽のジャンルは何か? と尋ねてみたところ「ポップスです!」と即答が返ってきました。なかでもリー氏がオススメするアーティストであるマイケル・ジャクソンの「Billie Jean」を聴いてみると、冒頭のスネアが勢いよく空気を切り裂き、ベースが深く沈み込みながらゆったりとした奥行きの深い空間を描きます。マイケルのハイトーンもまさに“天空”まで突き抜けるほどクリアで煌びやか。エンターテインメント性に富むアメリカのロック&ポップスとの相性は確かに良好。豊かな音楽性を持っているところもAZLAの魅力といえそうです。

 

筆者は今回AZLAの実機をお借りして、1週間ほど鳴らし込んでみましたが、音のつながりや空間の見通しがますます良くなり、使い込むほどに成長する手応えを感じています。純正のバランスケーブルに交換すれば、また違う魅力を引き出せそう。今から楽しみです。