“憧れの名機”と名高いライカ。その最新作「ライカTL2」のローンチイベントが7月21日、東京・渋谷にて行われた。本稿ではこれまでのライカの歩みについて触れつつ、本イベントの様子や製品の詳細をお届けする。
クラフトマンシップが息づく名門
ドイツの名門カメラブランド、ライカ。その原点は、1914年に当時のエルンスト・ライツ社の技師、オスカー・バルナックが発明した小型カメラだ。ここから現在最も一般的なフィルム、35mm判が始まり、デジタルの35mmフルサイズへと繋がる。小型かつクラフトマンシップによる高精度・高画質のライカは、大きなカメラでは不可能だった高い機動力を実現。アンリ・カルティエ=ブレッソンや木村伊兵衛など、多くの著名な写真家がライカを愛用した。
1954年に登場したライカM3から、ライカのアイコンといえるライカMシステムが始まる。2006年のライカM8から、ついにライカMシステムもデジタル化され、2017年のライカM10が最新モデルとなっている。
デジタルのライカは、コンパクトから中判までラインナップ。その中でレンズ交換式は、レンジファインダーのライカMシステムのほか、中判デジタル一眼レフのライカSシステム、35mmフルサイズミラーレスのライカSLシステム、そしてAPS-CミラーレスのライカTLシステムがある。
ライカTLシステムの前身となるモデルは、2014年に登場。ボディはアルミニウムの塊からの削り出し。繋ぎ目が一切ない、いわゆるユニボディだ。美しいアルミの質感とともに注目されたのが操作部の少なさ。シャッターボタン以外は、フラッシュポップアップを兼ねた電源レバー、動画ボタン、2つのダイヤルのわずか4つだけ。背面は3.7型のタッチ式液晶モニターを持ち、アイコンをタッチして機能の設定を行う。その操作は、まるでスマホのようだ。撮像素子はAPS-Cサイズの1600万画素CMOS。16GBの内蔵メモリーも備えている。
2015年にはフルサイズミラーレス機、ライカSLが登場。マウントはライカTと共通で、ライカLバヨネットマウントと名付けられた。そして、2016年にライカTLにマイナーチェンジ。Wi-Fi機能がiOSだけでなくAndroidにも対応し、内蔵メモリーは32GBに増えた。そして今年7月21日、ライカTLの後継機となるライカTL2が発表。東京渋谷のWOW Inc.で、ライカTL2のローンチイベントが開催された。
洗練されたデザイン、格段に向上した性能
会場では、ドイツのライカカメラ社から、ライカTL2のプロダクトマネージャー、マイケ・ハルベルツ氏が来日。ライカTL2の解説を行った。
ライカTL2のデザインは、ライカTLを踏襲。アルミのユニボディも同じだ。しかし角が面取りされ、ボタンやダイヤルの形も見直されたことで、より洗練された印象。そして内蔵フラッシュが省略された。そのため上面はスッキリして、ユニボディの美しさがより強調されている。
撮像素子は2400万画素CMOSを搭載。画像処理エンジンは、ライカM10や35mmフルサイズコンパクトのライカQと同じ「ライカ マエストロⅡ」だ。高画質と高速化を実現し、起動時間やAFは飛躍的に速くなった。またISO感度の最高はライカTLのISO12500からISO50000にアップ。1/40000秒までの電子シャッターを備え、1/20コマの高速連写を可能にしている。さらに動画は4Kに対応。背面のタッチパネルは、よりシンプルで使いやすく改良された。外観はライカTLを受け継いでいるが、このように中身は別物だ。ハルベルツ氏はライカTL2を「写真を純粋に楽しむカメラ」と表現した。
ハルベルツ氏の解説のあとは、バッキー木場氏を司会に、WOW Inc.代表の高橋裕士氏、クリエイティブディレクターの於保浩介氏、スペシャルゲストに箭内道彦氏を迎え、トークショーを開催。さらにバンドによる生演奏もされるなど、大いに盛り上がったローンチイベントであった。