iPhone 7以降からiPhoneにイヤホン端子が搭載されなくなり、それからというもの急速にヘッドホンのワイヤレス化が進んでいる。なかでもケーブルをなくした“完全ワイヤレス型”はAirPodsの登場をきっかけに各社から相次いで登場し、利用時のスタイルを重視するユーザーに支持が広がっている。そしてついにモバイルデバイスでのリスニングに特化したオーディオブランド「GLIDiC(グライディック)」からも同タイプの製品が登場した。それが「Sound Air TW-5000」である。
この製品の素晴らしいのは、モバイルユーザーのために考えられた機能をいくつも備えた高機能モデルとしながら、1万円を切る高いコストパフォーマンスを備えている点。スマートフォンとの連携もスムーズだし、使い勝手も良好と、実にお買い得な製品に仕上がっているのだ。
装着感・操作性はバツグン
このタイプのイヤホンはケーブルレスであることから、「落としてしまうのでは?」と不安がつきまとう。かくいう私もそんな印象を持っていた。ところがこのTW-5000を使ってみてそんな印象は吹き飛んでしまった。装着してみると耳にぴったり収まり、首を振っても、うつむいても外れる感じは一切なかったのだ。サイズは普通のイヤホンとして比較しても少し大きめと思える程度で、完全ワイヤレスイヤホンとしてはコンパクトな部類に入る。装着した際の重さもまったく気にならない。
使い勝手もすこぶる良好だ。充電はジュエリーケースにも似たデザインの専用バッテリーケースにイヤホンをセットしておくだけ。バッテリーの持ち時間は連続再生で約3時間と、通勤通学では十分なレベル。しかも専用ケースで充電すれば約2~3回はフル充電が可能となって合計約10時間にわたって使えることとなる。本体の電源もこのバッテリーケースから出し入れするだけで自動的にON/OFF。これなら、うっかり電源を切り忘れてしまう心配もない。
スマホとのペアリングも簡単だった。購入当初は、箱から出すとそのままペアリングモードになり、イヤホンのイルミが赤/青で高速点滅。音声でも「登録モードに入りました」とのメッセージが流れる。あとはスマホ側で「GLIDiC TW-5000」を選択すれば接続は完了する。次回からはケースからイヤホンを取り出すだけでペアリングされるので、毎回設置する必要はない。なお、登録は最大8台まで可能だ。
左右のイヤホンにはそれぞれ1つずつボタンが用意されており、これを押すことで再生や停止、曲の頭出し、音量のUP/DOWNのほか、電話着信、Siriの起動といった操作ができる。再生は左右どちらかのボタンを1回押し、停止は右(R)のボタンを2回押す。頭出しは左右いずれかのボタンを長押しすることで可能となり、次の曲の場合はRのボタンを、前の曲の場合はLを長押しする。
最初はこの一連の操作を憶える必要はあるけれど、少し使っていればすぐに慣れてしまう単純なもの。むしろ、ここまでの操作をひとつのボタン操作で行えるのは本機ならではの機能なのだ。イヤホン内にはマイクを搭載しており、ハンズフリー通話にも対応。高感度の小型マイクとデジタルエコーキャンセリング機能を組み合わせ、屋外でもクリアな通話ができた。音楽再生から通話の基本操作まで幅広く使いこなせるイヤホンに仕上がっているといっていいだろう。
音質は十分。“接続切れ”が課題
肝心のサウンドはどうか。Bluetooth規格は4.2に準拠し、コーデックは音質にも配慮したSBCおよびAACに対応している。試聴してみると、低音にこそ厚みがないものの、中高域を聴きやすくした素直な音作りという感じ。特にボーカルの聴きやすさが印象的だった。左右の広がりも十分にあり、完全ワイヤレス型としては希有な存在だ。
ロックなどではパワフルさで物足りなさを感じそうだが、その場合にはスマホ側のイコライザーで低音をブーストして対応すればいい。完全ワイヤレスということで、左右の音量が違っていたり、タイミングがずれる心配もしたが、そんなことは一切なし。この当たり前の部分がきちんと対応していたのは大きな安心につながる部分だ。
ただ、気になる部分もあった。それはスマホに接続して電車内で聴いていると、Wi-Fi受信やメールの着信時に接続が途切れる現象が見られたのだ。Bluetooth型イヤホンではよくあることではあるが、その回数が少し多いような気がした。特に左右のイヤホンがBluetoothでつながっていることもあり、途切れる時は左から右へと移動するのがわかって聴きづらく感じてしまう。
とはいえ、屋外ではAirPodsにはない高い遮音性を確保しながら価格はその半分程度でしかない。充電のしやすさや使い勝手でも明らかに本機がそれを上回っているし、そのコストパフォーマンスは驚きに値する。トータルで考えれば、完全ワイヤレスイヤホンとして本機は今後のスタンダード基準になり得る実力機に仕上がっていたといっていいだろう。