GoPro HEROシリーズとして7代目となる「GoPro HERO7」が9月27日、発売されました。歴代のGoProで培った技術はもちろん、自慢のGP1チップを進化させて映像処理性能を大幅に向上させているのが最大のポイントとなっています。ラインナップは上位モデルから順にBlack、Silver、Whiteの3タイプ。新たにより身近なWhiteが追加されています。ここでは最上位となるGoPro HERO7 Blackのレポートを、新機能をメインにお届けしたいと思います。
【今回紹介するアイテムはコレ!】
GoPro HERO7 Black
実売価格5万3460円
4K/60p、2.7K/120p、1080/240pでの撮影が可能なアクションカメラで、8倍のスローモーション撮影までもサポート。10mの防水性能にも対応。
ジンバルを使ったかのような驚異的な手ブレ補正「HyperSmooth」
GoPro HERO7 Blackで特に注目すべきは、新たに搭載された手ブレ補正機構「HyperSmooth」です。
これまでのGoProシリーズにも手ブレ補正は搭載されていましたが、補正能力には限界もあり、突然の揺れに対してはジンバルとの組み合わせが欠かせませんでした。たとえば、ランニングなどで走ると足が路面に着いたときに発生する上下方向へのブレはどうしても避けられません。それがこの「HyperSmooth」ならウソのように低減させることができるようになったのです。
次の動画は、「HyperSmooth」モードで歩きながら撮影。まるでジンバルを併用したかのような安定した動画が撮れました。
簡単にハイライト動画が作れる「TimeWarp」機能は動画の新たな表現方法だ!
動画撮影機能のもう1つの目玉として新搭載されたのが「TimeWarp」機能です。この機能は従来でいうところのタイムラプスの一種ですが、定点観測で使うそれとは違って動きながら撮影することを想定しています。
次の動画はそのTimeWarp機能を使って撮影したもの。移動している時間を短縮できるので、ハイライトで見せるのにも役立ちます。
このように、A地点→B地点までの移動する際の区間をタイプラプス撮影し、短いハイライト動画として見せることができます。再生速度は2倍から30倍まで選択できるので、場面に応じた速度調整も可能。さらには手ブレ補正を動作させた状態で使えるの点も秀逸です。動画の新たな表現方法として注目の機能と言えるでしょう。
ライブストリーミングやセルフタイマーにも対応
そして、ライブストリーミングに初めて対応。これによって、SNSなどを通してリアルタイムの動画配信が可能となりました。そのほか、撮影が縦向きでも行えるようになったのもトピックです。
意外な進化としては、これまでGoProには非搭載だったセルフタイマーの搭載があります。操作もワンタッチで行えるので、気軽にセルフ撮影ができるようになりました。
静止画でも不満ナシ! オートでも鮮明な仕上がりに
静止画撮影では「スーパーフォト」機能の追加が新たなトピックです。正直なところ、これまでのGoProシリーズの静止画は動画のおまけという感じで、あまりレベルが高いとは言えませんでした。特に強い光源が入ると白飛びが発生しがちで、夜間など撮影条件が悪くなるとノイズが目立ってしまっていて、個人的には静止画用の別のカメラとの併用が避けられませんでした。
それが、このスーパーフォト機能では、「HDR」「ローカル トーン マッピング」「ノイズ低減」の機能を有効活用してより鮮明な画像へと仕上げることを可能としました。しかもオートで撮影してこれら効果を発揮できるのです。もはやHERO7 Blackは、静止画を撮影するカメラとしても不満はないレベルまでクオリティが向上したと言っていいでしょう。
外観や操作性は従来機を踏襲。起動も速いのでチャンスを逃さない!
GoPro HERO7 Blackの外観は、従来モデルとおおよそ同じです。一目見て違いがわかるのはボディカラーぐらい。従来のグレー系だったカラーリングがほぼ黒に近いカラーリングとなりました。重量についてはなぜか1g軽量化されていますが、大きさは従来機とまったく同じ。よって、手にしただけでは従来機と全く違いがわかりません。
つまり、今回の進化はハード的なものはGP1チップの進化に特化し、それ以外のハード的スペックは基本的に踏襲されたと考えられます。しかし、それはバッテリーなど周辺機器もそのまま旧型のものが使えるというメリットも生み出しました。従来機種から使っていたユーザーにとってはうれしいポイントです。
使い勝手も従来機を踏襲したものとなっています。画面をタッチすると表示されるアイコンを操作する使いやすいもので、新機能もこのアイコンから設定できます。
画面が2インチと小さめなので、特に周辺部での反応がいまひとつに感じるときもありますが、画面を上下左右にフリックしながら使えるわかりやすさはなじみやすいでしょう。モニターの輝度も十分で、屋外でのモニタリングも問題なく行えました。一定時間過ぎると表示は消えてしまいますが、画面をタップすればすぐに復帰。起動も速いのでチャンスを逃さずにしっかり撮影できます。
簡単に「作品作り」ができるアプリで“脱・撮りっぱなし”
そして見逃せないのが、GoProには撮った映像を簡単に編集できるアプリが用意されていること。それが「Quick」です。撮影をしたあとはどうしても撮りっぱなしになってしまいがちですが、このアプリを使えば出先でもスマホ上で簡単に編集ができて便利です。
「Quick」では、動画や静止画と各種映像効果を組み合わせた、変化に富んだ作品作りが楽しめます。次の動画をご覧ください。
手間がかかっているように見えますが、編集方法はいたって簡単。ざっくりとその方法をご紹介しましょう。ちなみに、デスクトップPC用もありますが、本稿ではいつでも手元で気軽に使えるスマホ用で話を進めます。
このアプリを使うには、まずGoProアプリを使ってスマホへ画像データを転送します。そのために必要なのがWi-FiでスマホとGoProをリンクさせること。この設定をしておくと、GoProアプリを起動すると同時に取り込んでいないことを知らせる「新しいメディアがあるようです」とのメッセージが現れます。これを了解するとあとはそのまま何もしなくても、自動的にデータがスマホに取り込まれます。もちろん、取り込みたいデータだけを指定することもできます。
スマホ内に映像データを取り込んだら、次は「Quick」を使って編集作業に入ります。GoProアプリの「Q」を押すと「Quick」が起動するので、そこで新たなストーリーを作成するために「+」を押します。するとスマホ内の画像一覧が表示されるので、ここから再生する順に画像データを選んでいきます。
再生時間などはあとから変更できるし、削除や追加も自在なので、とりあえずは思いつくまま選びましょう。画像データは必ずしもGoProで撮影したものに限らず、スマホで撮影したデータを組み合わせても構いません。動画と静止画の混在も可能です。
画像データを選んだら、アプリが自動的に動画や静止画を組み合わせて生成します。注目はその生成する編集パターンを自在に選べる点で、その数は実に23種類。パターンを選ぶごとにアプリ上で最適化を図り、アッという間に動画映像として生成してくれるのです。
次にパターンを決めたら各画像データの中央付近にある鉛筆のようなボタンを押します。ここからが細かな編集となります。動画はトリミングで長さを調整できるし、静止画は強調して見せたいところを指定することもできます。動画の編集を終えたら最後は書き出して作業は終了です。
アクションカメラに“質”をもたらした驚きの進化
GoPro HERO7 Blackを使って感じたのは、その進化が“質”を高めることに充てられている、ということ。特に「HyperSmooth」で実現した手ブレ補正効果の向上はその筆頭です。電子式手ブレ補正にも関わらず、走りながらの撮影でも補正してしまうその実力の高さには驚かざるを得ません。
4Kで4:3の画角の場合など、一部の撮影モードでは「HyperSmooth」が作動しませんが、映像のクオリティ自体が上がっているので、2.7Kモードで撮影しても映像品位に関して不満はほとんど感じないはずです。
さらに、美しい静止画を撮影できる「スーパーフォト機能」も素晴らしい。輝度差があるところでもその明暗差を生かした映像として記録するのです。GoProがついに静止画の「カメラ」としても満足いくクオリティを手中に収めたと言っていいでしょう。HERO7 Blackはまさにアクションカメラに“質”をもたらしたのです。
協力:楽天市場