12月14日15日に東京・秋葉原のベルサール秋葉原で開催されたポータブルオーディオの祭典「ポタフェス」には、220を超えるオーディオブランドが集結。普段はめったにお目にかかれない製品が試聴できるとあって、人気のモデルは朝から長蛇の列ができました。私も気になるハイエンドモデルから、格安の中華ブランドのアイテムまで、仕事を忘れて聴きまくりました。もちろん、人気の新製品もきちんとおさえています! それでは早速、その模様をお伝えしましょう!
静寂と振動が共存するSkullcandyのCrusherANC
ヘッドホンのトレンドはノイズキャンセリング搭載ですが、Skullcandyはサブウーハーを搭載してブルブル震える独自機能を活かしたまま、ノイキャンをプラスしたCrusher ANCを発売。
今回は、Crusher ANCの第3の機能、個人の耳に合わせて音質調整するパーソナルサウンドを体験するための防音室まで用意されていました。この機能には聴力検査のような過程があるためうるさい会場では正しい結果が得られないからです。これだけでもSkullcandyの本気度が伝わりますね。
このほか、完全ワイヤレスイヤホン「Indy」のマンスリー限定カラーなども展示。ゴールドカラーのサングラスがおまけでもらえます。
JerryHarvey Audioが「Roxanne AION」を世界初公開!
カスタムイヤモニの神様と呼ばれるJerryHarvey氏、その最新作である「Roxanne AION」が世界初公開されました。低域×4、中域×4、高域×4の12BAドライバーで構成。3Dプリンタを使いシェルとアコーステックサウンドチャンバーを一体成形して、従来モデルより小型化に成功。ハウジングは樹脂を注入した数百層のカーボンファイバーを圧縮して作ったブロックから作られます。各イヤピースは精密な調整後に手作業で組み立てられています。最新型の7pinコネクタを採用したケーブルは高純度OFCの4N銀メッキリッツ線を使い、低域用のアッテネータを搭載。国内価格は未定ですが、海外では2299ドルと発表されています。
「Roxanne AION」はBAドライバーを使いながら、ホットで中低域に厚みがあります。BAらしく音のエッジがシャープでハイスピード、女性ボーカルも魅力的に聴かせてくれました。
一方、日本初公開となったカスタムIEMが「Jimi」です。低域×2、中域×1、高域×4の7BAドライバーを搭載。「Roxanne AION」と同じく3Dプリンタを使ったアコーステックサウンドチャンバーとの一体型シェルをカスタムIEMとして初採用。ケーブルは最新型の7pinタイプで高純度OFC銀メッキ線を使っています。情報量が多くややドライな音で、左右の空間が広く感じられました。
AZLAから謎に包まれたAZELがU1万円で登場か?
2階のアユートブースに参考展示されていたのが、AZLAの未発表新製品「AZEL」です。各種、仕様は謎に包まれていますが、試聴した印象ではダイナミック型のシングルドライバーと思われます。音も決まっていませんが、ウォームな音色でなめらか、高域がなだらかに減衰する感じでAZLAにしては大人しめの音でした。しっかりした金属製のハウジングを採用したモデルで、1万円以下で販売したいそうなので、これはお買い得なハイコスパモデルになりそうです。
ランニング向け完全ワイヤレスGLIDiC「Sound Air SPT-7000」
GLIDiCブランドで登場するのが「走る人のためのワイヤレスイヤホン」をコンセプトに開発された「SPT-7000」です。来年の1月17日に1万5400円(税込)で発売予定とのこと。独自形状のフィン付きイヤーチップにより、耳を塞がずに外音が聞ける「Runーfit形状」を実現。これによって、ジョギング時の足音が耳に響かないという効果もあるそうです。
操作はタッチセンサーでおこない、汗にも強いIPX5の防滴性能、連続再生時間は8時間で、10分充電で1.5時間再生できるクイックチャージに対応します。その音はBGM的な低音と高音がフェードアウトしたようなカマボコ型の特性に聞こえ、周囲の音がハッキリ聞こえるため、会話も楽にできました。また首を左右に振っても全く動かないイヤーチップの性能にも安心感を覚えました。
ADVANCEDから3Dプリンタを使った完全ワイヤレス「M5-TWS」
ADVANCEDからは5万人以上の耳型データを基に設計した複雑な形状のイヤーピースを3Dプリンタによって実現。コンパクトサイズとフィッティングの良さを両立しました。ダイナミック型のシングルドライバーで振動板はPHPCと呼ばれる積層カーボンで作られています。耳への装着感はカスタムイヤモニに近く耳のどこにも当たらずにスッと収まりました。連続再生時間は9時間と長く充電用ケースを使えば最長32時間再生が可能。操作はタッチコントロールを採用。実勢価格約2万2500円(税別)になります。
人気のfinal「A8000」と「D8000 Pro Edition」も聴けました!
11時の開場と同時に試聴待ちの列ができてしまうfinal。常に行列ができているためなかなか試聴できませんが、今回は閉場ギリギリを狙って、12月13日に発売ホヤホヤの「A8000」を聴きました。開発期間5年というズシリと重いステンレス削り出しのボディにベリリウム振動板を採用したダイナミック型ドライバーを搭載しています。ベリリウムはコーティングではなく振動板の素材そのものがベリリウムなので、「Truly Beryllium Dynamic Driver」と名付けられています。このドライバーは非常に敏感なためハウジングは4分割された複雑な構造になっています。価格は19万8000円(税込)のハイエンドモデルです。
Astell&Kern「SP1000」にバランス接続で聴いてみると、高域から低域までハイスピードでレスポンスのいい音、切れ味が鋭く、見晴らしのいい空間が感じられました。特に低域の解像度が高く音がモヤモヤしません。逆に女性ボーカルのエッジはカッチリしてやや硬質です。
コンセプトはトランスペアレントな音ということなので、同じコンセプトを持った「D8000 Pro Edition」も試聴しました。こちらもハイエンドモデルのヘッドホンで、AVライターの野村ケンジさんも音の良さに惚れ込んで購入してしまったという名機です。確かにフォーカスのピシッと合った音で曖昧さがありません。私には息苦しく感じられ、プロではない「D8000」の方が耳に優しいと思いました。まあ音場感からしても、私は「D8000」派です。
finalブースには、小岩井ことりさんがダミーヘッドマイクを使ってバイノーラル録音の「OYASUMIRY」も用意されていました。こっこちゃんが最終的な音決めに使ったという「E500」を使って聴くと、彼女のささやきが頭の後ろから聞こえたり、リンゴをかじる音が入っていたりして、これで眠りに誘われるかどうかは保証しかねますが、バイノーラルの立体音響は堪能できます。
次回は、DAP、DAC、ヘッドホンアンプ編をお届けします。
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