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2019/12/25 18:00

ついに始まったハイレゾ定額配信「mora qualitas」――サービスインから約2か月の「良いトコロ」「悪いトコロ」

スタジオマスターの音を広く届けたい

今回使ってみての感触としては、まだまだ発展途上のサービスであることは否定できない。話を伺った黒澤氏に、不満点も含め率直に伺ってみた。まず、対応サンプリングレートが96kHzまでに留まっている現状については、再生安定性を意識した機能面の制約ではなく、moraなりの考えがあるそうだ。

↑mora qualitasのサービスポリシーについて語る黒澤氏

 

「国内のハイレゾダウンロード配信サービスは、数字のスペックを追い求めすぎた面もあったと思います。96kHzやDSD 2.8MHzくらいまでは良かったのですが、192kHzや384Hz、DSD 11.2MHzなど、次々にハイレート化していき、本来は広く多くの人にスタジオマスターを楽しんで欲しかったのに、自ら敷居を上げてしまったという反省があります。そのためmora qualitasについては、まずは96kHzという、多くの楽曲が集中しており、ほとんどの環境で再生可能なスペックに対応を留めて、広く普及させることを目的に続けて行くことにしました。今後リリース予定のモバイル向けアプリはオフライン再生にも対応しますので、スマホのストレージ残容量にも優しい仕様になっています」(黒澤氏)

 

Amazon music HDが登場するまでは、国内でサービスを行っているハイレゾ対応のサブスクは存在していなかった。moraは、ありのままの音を聴いてもらうために、サブスクという選択肢を取ったが、それはあくまでハイレゾ(スタジオマスター)を聴いてもらうためのプラットフォームのひとつに過ぎない。

 

「mora qualitasの準備を始めた頃は、国内には競争相手が存在していませんでした。排他モードの対応は、他との差別化ではなく当然の機能として実装したのです。ストリーミングのメリットとして、人気のプレイリストから好みの曲やアーティストを探していけるというものがありますが、トラック単位で次から次へと流し聴きされてしまうのも現実です。私たちは、音楽に深くふれ合って、心に残るような楽しみ方を提案したい。それは、CDを買ってブックレットのライナーノーツを読み込むような楽しみ方を、ストリーミングでも提示できないかということです。読み物やバイオグラフィーの提供によってこれまでの楽しみ方とストリーミングを融合させたいのです。ダウンロード配信はリスナーが購入したらローカルのいちデータなので、基本的にはお客様にお任せです。ストリーミングでは、届けたい情報をこちらでコントロールし、アップデートしていける。ダウンロード配信では越えられない壁を越えていけると思います」(黒澤氏)

 

現状、mora qualitasで聴かれているジャンルは、ポップスから、ジャズ/クラシック、そしてアニソンまで満遍なく再生されており、それぞれのカテゴリーごとに大きく差は開いていないとのこと。開発元のRhapsody社は、ほかのストリーミングサービスのようにライトなポップスが多く聴かれると予想していたようで、この結果に驚いているそうだ。黒澤氏は、ありがちなストリーミング的ランキングに収まらなかったのはむしろ嬉しいことと話してくれた。筆者も同じ気持ちである。

 

国内メーカー発のハイレゾ対応サブスク、mora qualitas。1ヶ月間の無料体験ができる体験版は、常時配信中だ。ぜひ、試用して“スタジオマスター聴き放題“の世界に浸っていただきたい。

 

年明けに掲載予定の後編では、いよいよ待望のモバイル向けアプリについて、その概要や体験レポートをお伝えする予定だ。現在、UIもほぼ固まり、開発も佳境に入っているとのこと。期待して待ちたい。

 

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