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2016/7/11 21:20

「コロンブスの卵」的発見でテレビの音が劇的に聴きやすくなる! オラソニック「TW-D77OPT」の秘密に迫る

卵型のフォルムが印象的なオラソニックのスピーカーシリーズに、新たなモデル「TW-D77OPT」(2万2550円)が登場しました。従来のモデルから約5年ぶりのモデルチェンジということで、どのように進化したのか、開発者を取材。オラソニックならではの「卵型」に行きついた意外な理由も聞いてきました!

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オラソニックの卵型スピーカーは、その独特の形状から、店頭のスピーカーコーナーでもひときわ目立つ存在となっています。名前を知らなくても、外観を見れば「あれか」と思い当たる人も多いことでしょう。

 

その卵型スピーカーの新製品が「TW-D77OPT」。基本的にはテレビに接続して使うためのスピーカーで、接続は光デジタル(角形)入力またはイヤフォン端子からのアナログ入力で行ないます。ステレオミニのケーブルを使って、手持ちのミュージックプレーヤーやスマホを接続して音楽を聴くことも可能です。

 

ひと回り大きくなり、低音も改良

2011年に発売された前モデル「TW-D7OPT」と比較して、ひと目でわかるのは、スピーカー部のサイズがひとまわり大きくなっていること。また、グリルメッシュが付けられ、従来モデルの特徴でもあった、スピーカーユニット前方のディフューザー(※)がなくなっています。

※:音を拡散させるパーツ

↑左が従来モデル、右が
↑左が従来モデル、右がTW-D77OPT

 

また、背面のパッシブラジエーター(※)が、円盤状の板「プレッシャーボード」で覆われているのも異なる点です。
※:低音を強化するための、電磁気回路のないスピーカーユニット

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↑左が従来モデル、右がTW-D77OPT。赤で囲った部分がパッシブラジエーターを覆う「プレッシャーボード」

 

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「パッシブラジエーター自体の大きさも、前モデルから2割大きくしました。それにより低音部は従来60Hzまでしか出せなかったのが、さらに低い45Hzまで拡がり、音圧も上がっています。また、開口部をプレッシャーボードで覆うことで、低音部を引き締めてボヤつきを抑えています」(ソフト・ハード設計部主任 金子氏)

 

簡単さと聞き取りやすさを徹底的に追求

TW-D77OPTは、テレビと連動して自動的に電源がON/OFFされます。テレビの電源を入れれば音が出始めるし、テレビの電源を切ればTW-D77OPTの電源も切れます。アナログ接続の場合にはテレビのリモコンで音量調整も可能。そのため、「アンプとスピーカーを外付けしている」ことをほとんど意識せずに、自然にテレビの音を聴くことができるのです。

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実際に聴いてみて感じたのは、クッキリとした音の輪郭。柔らかさや厚みというよりは、カリッと硬い音質が特徴的です。そして、とにかく聞こえてくる音が多い。映画やドラマなどでは、背景で鳴っている細かな音もいっせいに迫ってきました。何度も見たことのある映像を見返してみて「ここではこんな音が鳴ってたんだ」と気付く楽しみがあるほどです。

 

「アンプ部は周波数特性を徹底的にチューニングしました。特に気を配ったのが、人間の声です。たとえばニュースでは、男性の声はこもらないように、女性の声は鼻声にならないようにしています。また、甲高い声は耳に刺さりがちなので控えめにするなどの調整をしました。これらは、実際にさまざまなキャスターさんなどの声で試しながらチェックしています」(金子氏)

 

たしかにセリフやアナウンスなどの声は際立ってハッキリ聞こえ、まさしくテレビ用に最適化された音質だと感じました。

 

「一方で、映画では臨場感も重要です。爆発音や車のエンジン音といった低音が、きちんと位置を感じられるような空間性をもって鳴るようにしました。とはいえ強調しすぎると人の声が聞き取りにくくなりますから、そのあたりはきちんと調整しています。他社の製品にあるような、『シアター』『ミュージック』などのモードは用意していませんが、どのようなコンテンツでもバランスよくなるようなチューニングになっています。低音を必要とする場合は、バスブースト機能も利用できます」(金子氏)

 

モード切り替えがないのを物足りなく感じる人もいるかもしれませんが、テレビを観るときにいちいち「これはどのモードがいいのかな」と切り替えなくてすむ、ともいえるでしょう。

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↑アンプ部。電源・音量・入力切り替えのみと、操作は非常にシンプル

 

「強度を得ようとしたら高音質になった」卵型スピーカー

同社のスピーカーはテレビ用以外にもPC用やワイヤレスモデルなどがありますが、すべてに共通するのは特徴的な卵型です。この形はデザイン上だけのものではなく、音質の向上にも役立っています。しかし最初に卵型を選択した理由は、実は音質のためではなかったとのこと。

↑右は実物大のダチョウの卵の模型
↑右は実物大のダチョウの卵の模型

「卵型は、強度の高いダチョウの卵からヒントを得ています。この形状だと、同じ素材でも四角形の箱型より強度が得られるのです。しかし、実際にモデルを作って鳴らしてみると、明らかに箱型よりも音質が良くなったことに気づきました。調べてみると、卵型スピーカーには音質上のメリットがたくさんあったのです」(金子氏)

 

卵型の高音質の理由には、「不要な反射音や音の回析が少ない」などの理論的な裏付けがあるようですが、そこを目指して設計したのではなく、やってみたら高音質だったというのが面白いところ。さしずめ「コロンブスの卵」ならぬ「オラソニックの卵」といったところでしょうか。ただ、同じ卵型に見えても、モデルが新しくなるたびにさまざまな改良が加えられているようです。

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「たとえば以前のモデルでは台の上で自由に角度を変えることができましたが、TW-D77OPTでは台に固定して底面にはインシュレーター(振動吸収材)を貼付しました。そうすることで、ガタつきや振動による音質低下を抑えられるのです。また、パッシブラジエーター自体も、素材や重さを実際に何通りにも変えてテストし、音質の良かったものを採用しています」(金子氏)

 

テレビを簡単に高音質化できる

テレビの音質に不満があっても、AVアンプやスピーカーを接続するのは大変な作業ですし、入力切り替えも煩雑なものです。AVアンプを導入したものの家族が使えず困っている、というケースも多いのではないでしょうか。前述したように、TW-D77OPTの操作はシンプルで、設置スペースも少なくてすみます。そのため、ほとんど存在を意識しないままテレビの音質が良くなった、ような感覚で導入できるわけです。

 

また、左右のスピーカーが独立しているため、テレビのサイズやスタンド形状に対して柔軟に合わせられるというメリットもあります。バースピーカーのように、テレビを買い換えたらうまく設置できなくなった、といった心配も無用。ケーブルの長さは左右それぞれ1.5mなので、最大3m離して設置できることになります。

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そのほか、たとえば最近注目されている超短焦点のプロジェクターと組み合わせても面白いかもしれません。そのコンパクトさと設置の自由度を生かし、狭い部屋でも大画面・高音質のホームシアターを構築できるというわけです。

 

「テレビの音質に不満、でも操作が面倒になるのはイヤ」という人は、一度試してみるといいのではないでしょうか。

 

【URL】

東和電子(オラソニック) http://www.olasonic.jp/
製品情報ページ http://www.olasonic.jp/tvspeaker/twd77opt.html