ノズルを交換して聴き比べてみる
ここで実際にノズルを交換しながら試聴してみましょう。Balancedのノズルは、ミドルレンジがとても肉厚で、まるで本物の人の声、楽器の音に耳を近づけて聴いているように錯覚してしまうほど鮮烈なリアリティを実感します。音の彫りが深く、ディティールの描き込みも丁寧。ジャズのビッグバンドの金管楽器はロングトーンがまっすぐに力強く伸びて、芯の力を残しながら余韻の向こうの静寂に消えていきました。
ノズルをBrightに交換するとボーカルの声に一段と磨きがかかって滑らかになりました。声のビブラートや息づかいなど、細やかな質感を伝える情報にフォーカスが合って、音の力が肌にピリピリとした緊張感を伝えます。Balancedのノズルよりも低音のバランスはやや控えめな印象。
Warmのノズルはピアノの低音、ベースやドラムスのリズムセクションにどっしりとした濃密さを加えます。厚みのある低音を土台に、中高域とバランスの良いピラミッドを形作ります。ボーカルの声質がややスモーキーになり、色気をまといます。筆者はギターが好きなので、アコースティックギターのコードストロークがゆったりとした響きを残すAONIC 5のWarmフィルタのリスニング感に愛着がわきました。
AONIC 5は「人の声」の再現性に優れるイヤホンです。イヤホンをスマートフォンにつないでNetflixのドラマやアニメを再生してみると、映像を目で見るだけではわからない、役者の感情表現が繊細に移り変わる様子を、まるで目に見えるほどリアルに捉えます。微小なニュアンスの変化を正確にトレースできるイヤホンは、シアター鑑賞にも向いているといえます。
今回紹介した3つのAONICシリーズのイヤホンは、パッケージに3ボタン式のUNIケーブルを同梱しています。
リケーブルを楽しみたくなったら、シュアからもBluetoothアダプターの「RMCE-BT2」やiPhoneのLightning端子に直結できる「RMCE-LTG」などの多彩な交換ケーブルのバリエーションが発売されていることを思い出して下さい。もちろんサードパーティー製のMMCXコネクタに対応するリケーブルにも多くの対応製品が見つかるはずです。また長く愛情をかけたくなるイヤホンがシュアから誕生しました。できれば3つの機種をぜんぶ買い揃えたい!
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