「秋の夜長にハイレゾ鑑賞」――と聞くと、なんとも濃密な時間を過ごせるような気がしませんか? その通り、大人の上質なオフにハイレゾサウンドはぴったり! この記事では、ハイレゾの基本を簡単におさらいしつつ、秋の夜長にピッタリのヘッドホンを、オーディオをこよなく愛し、幅広い知識まで身に着けてしまったプロカメラマンの福永仲秋氏が解説していきます。
———————————-
まず、ハイレゾとは高音質を表し、「音の太さ」や「奥行き感」を、「繊細な音」と「音圧」の調和により、音表現を豊かにしたものです。CD音質の44.1kHz / 16bitと一般的なハイレゾ音質である96kHz / 24bitを比べると、音域を示す周波数は約2.18倍の情報量、音のきめ細かさ表すビット数は24bitで256倍の差があります。ちなみに、「通」は96kHz / 24bitを「くんろくにーよん」といいます。
エレコムはもはや、PC&ネットワーク製品だけの企業ではない!
昨今、名門オーディオメーカーがハイレゾ対応ヘッドホンをラインナップするなか、その間に切り込んできたのがエレコムです。今回紹介するエレコムEHP-CH3000(実売価格1万230円)は、ミリタリーをイメージさせる色調に加え、武骨な意匠で旧式のプロ用音響機材を彷彿させてくれます。
このデザインは、国内外のデザイン賞を受賞している社内の若手デザイナーによるもの。個性的なフォルムのなかには、超多層フィルムを採用した「高剛性振動板」という新素材を採用し、中音域で透明感のあるサウンドを生み出してくれます。特に女性のジャズボーカルのハイレゾ楽曲では、クリアで艶やかなサウンドがエモーショナル! ずっしりとした低音にも階調があり華やかです。エレコムというと、PCやスマホ・タブレットのアクセサリーや周辺機器を出しているメーカーだと思っているみなさん! この音を聴くと、エレコムはオーディオメーカーでもあることを感じずにはいられなくなります。
もちろん、このヘッドホンが「秋の夜長オンリー」仕様ということはなく、いつでも高音質なハイレゾ音楽を楽しめます。EHP-CH3000は高級オーディオに匹敵するような性能を誇り、ハイレゾに限らずCD音源も高音質。ビジネスパーソンにもオススメで、語学学習用として英語などのヒアリングにも使えます。音に解像感があるため、細かな発音までも聞き取れるんです。
EHP-CH3000の最初の嗜み方~静かなアルバムを2枚聞け~
EHP-CH3000は実売価格1万230円と、ハイレゾ対応ヘッドホンとしては手ごろな価格帯。ただし、その性能はハイグレードヘッドホンに迫るものがあり、上級ヘッドホンと同じような楽しみ方ができます。その第一歩ととして「エイジング」の嗜みを紹介しましょう。
一般的に、新品のヘッドホン内部の振動板は、最初は可動域が狭く本来の音を出にくいです。そこで音を出力することで、固まっていた振動板が徐々に伸びやかな音を発していきます。EHP-CH3000の場合、アルバム2枚分あたりで本来の音が開花! その変化していくエイジングが、このヘッドホンを楽しむ序曲でもあります。上質な音を長く聴くためには、この序曲は静かな曲がオススメといえるでしょう。
———————————
ここからはディテールについて解説していきます。
新素材を採用した振動板は、質感のある中域と高音域のクリアな音再現を可能に。また、小さなパーツの「前置ネオジウムマグネット」は磁力漏れを防ぎ力強い低域を響かせます。
個性的なデザインは、往年のヘッドホンをインスパイアされたもの。細部を注視すると金属の質感が伝わる作り込みです。
プラグは金メッキが施されています。カーボンの付着や錆の影響を受けることは少なく、長年使い続けることができます。
縦方向に複数のラインを加工。ケーブルが絡みにくく耐性に優れています。
ディプスフィットイヤーキャップは3サイズで付属。装着した際に柔らかく感じる素材は、耳への負担を緩和させてくれます。
収納ケースとコードキーパーも付属。収納ケースは綿素材を採用し使いやすく、コードキーパーはケーブル長の調整に便利です。
エレコムEHP-CH3000
実売価格 1万230円
ドライバー口径:12.5mm
最大許容入力:100mW
再生周波数帯域:5Hz~40kHz
色:カーキ ブラック 2色展開
撮影・文/ 福永仲秋(カメラマン)